島国大和のド畜生
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日米、ゲームの作られ方
「Diablo III」のアートデザインは,どんな過程を経て生まれるのか?
 という記事をBBSで教えてもらったんですが、 ブリザード社のソフトは本当に流石の出来なので、ゲーム業界関係者はそれなり以上に注目していると思う。そんでもって、まったく日本の平均的な制作工程と違う。

 長いから、覚悟を決めるか、読み飛ばし推奨。


 ちょっと、説明に欲しい所を、勝手に要約すると、(抜粋だけでは無理だったんで。)
stage1
graphicデザイン、ゲームデザインの方向性を決める。ブレストを繰り返し、兎に角アイデアを出すことに集中する。
stage2
 プロトタイプを作り、問題点を洗い出す。テクスチャもなくシンプルなものでゲームを作る。
 これにはあらゆる人間が関わる。
stage3
 プロトタイプへの肉付け作業を行う。
 プロトタイプではあらゆる人間が関わっていたのに対し、ここでは人数を絞り、全員がゼネラリストで、さまざまな内容をこなしていく。
stage4
 ここまでに積み重ねてきたことに従い、完成を目指しして作業を行なうという最終段階。
 という表現がなされているが、物量を増していく作業と思われる。
 はい。かなり日本の開発とは違うと思う人が多いのではないかと。
 これでも一応結構な数の開発と会社に関わったんで、例として日本の場合を挙げてみる。
stage1
 企画段階。ここは1~数人で何をどういう風に作るかを決め込む。
 この段階で承認が取れなければ、お流れ。
stage2
 人数を絞った最小限の開発チームで、プロトタイプを作る。
 面白さの確認も重要だが、もっとも重視されるのは、「量産可能な状況に早く乗せること」。
 量産するデータ(graphicやパラメーター)を、デザイナーやプランナーなど、プログラム的な特別な知識が無い人間でも量産できるようにする。(フォーマットを決めていく)
stage3,4
 ここからは大人数で、えいやっと各パートを作っていく。

 ちなみに、他のパターンもあるけど、日本でやるには、残念ながら、この例のやり方がベストだと思ってる。
 他の日本のパターンとしては、stage2でフォーマットや量産化の為のコストをかけず、最後までプログラマが面倒を見るタイプ(プランナーは文芸屋として存在し、プログラム知識が低い)等がある。(某アニメ化作品とかもある、あの会社)
 ともあれ、大きい差としては、日本のやり方だとstepが1コ足りないし、ブリザード社のやり方は1プロジェクト中の人数の増減が激しい。

 この日米の差はどこから出るかというと、(本当は日米の差じゃなくて、ブリザードと私の知っている開発の差だけど)予算と期間、人材の流動性から来ていると思う

 ブリザード社の例は、大人数で始めて、途中で人数を絞って、また大人数で開発を行っている。
 ここで絞った人材って、どーすんねん。というお話。人材の流動性の低い日本じゃ無理。

 私が例に出した日本の開発スタイルは、最初少人数で始めて、最後を大人数で〆るタイプなので、プロジェクトが立ち上がった時に、コアメンバーを固めて基礎を制作、軌道に乗ったら人員を追加する、という流れで会社組織に優しい。他のプロジェクトの修了者を順次投入していけばいいし、後半は量産するだけなので、特殊技能の無い人を投入しても何とかなる。間に合わなければ外注や、バイト、という手段も残される。
 それでも、実際のところは、スケジュールに押され、それぞれのstageを重複して平行に流す場合が多いわけだけど。
 日本のゲーム開発は、グラフィックリソースの品質と物量が重要とされているので、(宣伝媒体にのるのはグラフィックのみ)いかに、グラフィックリソースを量産する時間を稼ぐか、に特化している。
 日本のゲームが、一時期ムービーばっかだったのも、ゲームとして完成していなくてもムービーだったら作れたからだ。
 つまり、ゲームがまだ企画者の脳内にしかない段階で、量産してるわけ。
 仕様書を書いたところで、プログラム的に実現するかどうか不明な段階で、すでにgraphicは量産されているというのは無茶な話だけど、時間が無いんだから仕方が無い。
 というか、人員を確保してしまったら、遊ばせておくわけに行かないので、見切り発車でも、プロジェクトチーム全員に仕事を発生させなければいけない。

 ちょっと前だがドラクエ7のムービーが大変お粗末だったのも、先にムービーを発注、制作し、ゲームの完成がやたら伸びたので、結果的に1世代前のムービーになってしまった、って事じゃないかと邪推している。
 最近も、ドラクエDSが一時期パーティプレイのアクションゲームになるとか言われてたけど違うみたいとか、のびのびBOYの悪夢とか(blog珍品堂さん)。この辺は幾らでも邪推できる。

 ゲームの中身が決まりきらない内にgraphicが量産されて、宣伝まで打った例は幾らでもあるわけで。

 ブリザード社は、アホぐらい売れるもの以外は発売しない。スケジュール伸びるのは当たり前、というスタンスを表明してるので、アメリカ例としても、かなり特殊なんだろうけど、それでも日本じゃ相当に無理なつくりだ。
 ちなみに任天堂は「プロトタイプ後丸ごと作り直す」と言う事を良く表明してるので、ブリザード社に近い作りといわれている。

 要するに、ゲームって、無駄な時間を使わないと面白くするのは難しい。
 しかし、経営者視点で見れば、どうみても無駄な時間なので、そんなものは短縮したい。

 それが、この辺の差になっている。
 最近ゲームが、続編ばっかりってのも、市場が保守的なのが最大要因だけど、初期設計の期間を圧縮できるというメリットもあって発生している。

 さて纏めると。
 日本式の開発は、ゲームで出来ることが限られている時は、一人の天才が居れば、効率よく良いモノが作れた。脳内と仕様書で作るべきものをそろえ、それを皆でエイヤッと作れば良い訳だからロスが無い。
 でも最近のように、その気になればなんだって出来るレベルのハードウェアでの開発は、そうは行かない。
 先ず土台を作り、土台で出来ることを見極め、骨組みをし、肉付けをしていく、という本来当たり前の工程必要になる。
 ゲーム開発は、作業だけじゃなくてその名のとおり研究開発に近い。スケジュールどおり進まないのは、当然というか。世の中そんなに甘くない。(勿論、エンジン100%使いまわし、データだけ入れ替えなら、スケジュールを守るのは難しくない。)

 アメリカはFPSやTPSなど似たゲームを作り続けているので、エンジンの流用を利かせ(新造部分はあるにせよそれでも)時間を短縮できる。
 日本は何故か、同じゲームの続編でも、エンジンを丸ごと取り替えたりと言うことが頻出する。(某レースゲームシリーズのエンジンが毎回違うのは有名)
 これは、人材の流動性の高いアメリカと低い日本で、何故か逆の事が起こっているんだけど、日本では、賃金格差が少ない為、エース級でもたいした給料じゃないので、すぐやめることや、毎回エンジンを新作する事自体を美徳としている風習があるのも原因になっている思われる。(某社とかは骨の髄まで使い回してるけどね)
 そもそも、英語圏なら、英語を使える技術者は募集をかければ簡単に集まるし、技術情報も全部英語だ。日本でソコソコの技術者を集めるのがどれだけ難しいか。
 日本は、新たな仕事の仕方を見つけなければいけない。
 少なくとも、予算権限のある人間が、いままでのやり方ではダメだ、という事に気づき手を打たねば御先真っ暗。今までのやり方はダメ、アメリカの真似も出来ない。任天堂は特殊事例。さてどうする。
 回答はいくつかあるんだけど、これはまー、俺秘密。(チラチラとblogに書いてたりするけど)

 追記的に。
 でもEAもあれだけ大きな商売をして、そんなに儲かって居ない模様。スタジオもいくつか閉鎖した。(ビッグタイトルのスタジオだ。多分ビッグタイトルを当てるとチームの単価が上がっていくんだろう。そのまま持ち続けるより、解散させ、再編成した方がメリットがあると踏んだと思われる。)
 アジア系の開発会社は人件費の安さで無茶をしたい放題だし、世界市場なので、ヤツラは今ウキウキ状態。
 日本の開発会社が何をどうすべきかのヒントは、欧米と、アジアの両方にある。
 そんでもって、日本の開発会社しか持たない武器をどう生かすか。という話。

2008/11/16(日) 17:37:55| 固定リンク|ゲーム| トラックバック:1 | このエントリーを含むはてなブックマーク|
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元記事:「日米、ゲームの作られ方」  島国大和さんが、4Gamer.netの記事
2008/11/24(月) 21:44:07 | blog珍品堂
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