島国大和のド畜生
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小さい軽いゲームの話
ゲーム開発の「水平分業」と「垂直統合」(かさぶたさん)(Nao_uの日記さん経由)

 基本命題自体には、反論はないのですが、細かいところにちょっと触れます。

 ゲームの仕事の規模とか進め方とかの話
ボリュームのある物をいかに効率よく作るかという課題と、小さいけれども快適で便利なものを短期間に仕上げるという課題は全然違うんですね。垂直統合型で、例えばFLASHでも、試作プログラムでもいいんですが、できるだけ少人数で、ディレクターとデザイナーとプログラマーの3人、あるいはデザイナーとプログラマーの2人、理想的には1人で組み上げる。それを毎日さわって、いじって、作って壊してをくり返した方が明らかに快適なものは作れるんです。

 これは全くそうなんだけど、現実ではそうは問屋が卸さないわけです。それは何故か。以下理由を4つ。
 理由その1
 一般的に会社では、1割の人が残り9割を食わせてるといいます。
 乱暴なことを言えば、100人開発者がいれば、エース級と言っていい人は10人ぐらい。

 小さくて軽くて手触りのいいゲームを作るには、エース級を投入しないと完成しない。全員がエースでなくても、何人かエースを充てる必要がある。
また、ディレクターはせめてソコソコの能力がないと無理。

 これは人材の活用の仕方としては、相当リッチな使い方です。

 なぜなら大規模なゲーム、たとえば100人ぐらいのプロジェクトなら、ソコソコのディレクター1人、エース4人で残りの95人の面倒を見れば、ゲームとして作れちゃう。

 同じく100人を食わせようと思った場合、5人規模のゲームを20本(100人食わせる前提で)作るにはエースもディレクターも足りない。ある程度兼任させるとしても、疲弊で死にますね。

 つまり、ゲームってどんな規模のを作るにしても、良いものを作ろうとしたら、才能持ちが数人は必要なんですよ。

 理由その2
 軽いものは、作るのも軽いと思われてます。
 自社開発で、内容で勝負して売上で利益を得るという計画ならともかく、基本的にこういった小品は、協力会社(外注)にまる投げです。しかも安価で。
 不思議なことに丁度カツカツギリギリのゲーム制作会社ってのは探すと結構あって、安くで引き受けてくれるんだけど、やっぱ出来が微妙。なんでかなと思うと何本もかけもちしてるわけです。
 投げられた方は小さい仕事だし、頑張っても利益が出ないなら、ソコソコの作りになっちゃうのね。
 これは、利益をシェアするとか、権限の譲渡とかいろいろと手段があるんだけども、そんなにうまくいってるパターンは多くないです。
 軽いものだからと、軽い作り方で、良いものになるわけではないです。

 理由その3
 軽いものを軽く作ると、確かにいっぱい作れます。で、いっぱいできちゃうと、市場にあふれちゃってもう売れない。
 レッドオーシャン。過剰供給で疲弊してしうまう訳です。プレイヤーだって軽いのばっかりで遊びたいわけじゃない。もちろん重いのばっかで遊びたいわけでもないけども、軽いの方がすでに数が莫大なので、埋もれちゃう。
 PCでネットに接続したら、カジュアル系の無料ゲームなんて数えられないぐらいあります。携帯電話でゲームサイト行ったらえらいコトになってますよ。軽いゲームプレイヤーはゲームに執着しないので、よほど付加価値がないと見向きもしてくれなかったりします。

 理由その4
 で、軽いゲームがいっぱいある中で付加価値がないと売れないわけですが。
 付加価値をつけるのに現場では限界があります。
 たとえば、脳トレにしろ、漢字検定にしろ、ああいうのは「一発芸」なわけです。
 脳トレはゲームとしてもかなり良く出来てましたが、その後に出てきた有象無象の中には、これは無ぇんじゃない?ってのも大量にありました。でもそれらは、売れたり売れなかったりです。
 脳トレは何故売れたかといえば「一発アイデア」と「広告」です。(これをもって一発芸と呼びました。ほかにいい言葉が思いつかなかったので)
 脳トレはまず、市場に無かったニッチであり、それで商売するぜ、イケるぜ!って判断ががデカい。これがいいアイデアな訳です。その上で、無茶苦茶な量の広告投下。ちょっと意識してればひっかかりますがTVCMに限らず、老人が読むような本でも広告が載ってました。えげつない。さらに脳年齢とかで脅す。やってることはみのもんた。その上でゲームとしても良く出来てる。ここまでやったから売れる。これでも運、不運で売れない場合もあったかもしれない。
 現場だけの話じゃないので、これはもう組織システムの話です。

  そんな感じで。てきとーにまとめると。

 自分自身、元々一人で全部作ってたクチだから、(おれは優秀じゃないけど)少数精鋭でゴリゴリ作りたいし、その快感は知ってるけども、それは物凄く贅沢な作り方なわけです。食える人が少ない。会社規模ではなかなか難しい。
 さらには、過当競争にさらされる。軽いゲームはタダで遊べる環境が多いし、重いのに比べれば早く作れるので、何匹目かのドジョウを狙ってすぐに過当競争化する。
 その上開発側の努力でどうにもならない所も多い。

 軽いゲームの本丸、携帯電話ゲームの開発なんて、1プロジェクトで複数ライン同時に走らせて数ヶ月で数本作るわけです。軽いのをサクサクだけどいいものを目指す余裕が無い。

 結局、商売として広い視野で戦略練らないと駄目。こういった博打を開発だけに押し付けちゃ、疲弊で死んじゃうわけです。そういう広い戦略を練れる、しかも現場の動向をキャッチアップできる、そういう組織なら生きてく道もある。そんな話じゃないかと思います。

 私が「今の日本のゲーム産業は駄目だー」つってるのは、アメリカ型の集中管理もできず、インド型の大量生産もできず、アジア型の物量作戦もできず、そのくせ、過去のやり方にしがみついてるんじゃ「そりゃ駄目に決まっとろーが」という話で。

 小さいものを作るも、今までのやり方だと、過当競争化してダメになる。
 大きいの作るにしても、やり方を変えないと自滅する。

大規模プロジェクトを効率よくこなす北米と、人件費の安いアジアに挟まれて、日本のゲーム制作には未来が無い、という主張もありました。けれども、ボクにはそうは思えません。

率直にいって、そういう考え方の人は、ゲームを舐めてるんじゃないか、と感じます。ちょっとキツい書き方だったかもしれませんね。言い換えると、頭の中が水平分業に捕らわれていて、より複雑な、より大規模な水平分業をこなすことに価値があると思い込んでおられる。


 元エントリに書かれているように欧米型の大分業型を日本で行うのははありえない。市場規模が違うから。
 でも、小さいこなれた物を作るのが、日本にしか出来ないわけじゃない。
 百度もそうですが、アジアって人海戦術を繰り返して技術を身に付けていくわけです。今はその過渡期。

 日本が持ってたアドバンテージなんて、今の製作体制見てたら無くなるなコレって思いますよ。アジアのヤツラの方がナンボもハングリー。10年待たずに日本メーカークラスまで来る、というか現に中国産のMMORPGでは既に日本では作れないクラスのものが出て来ていて、成功を収めている。韓国産のカジュアルゲームはいわゆる数打てば当たるだけど、小さくこなれたものがでてきていて、利益もおおきく出している。

 日本人から見て面白いか面白くないかはこの際どうでもよくて、市場規模として大きいところで受けてるんだから、そりゃもう文句の言いようも無いわけです。日本のリードが消し飛ぶのは早いですよ。

 だからこそ、日本のゲーム業界は今ある技術や、予算で、次の何かを嗅ぎ付けて手を打たなければいけない。

 そういう意味で、旧態依然としたゲーム屋は淘汰されていくでしょう。
 新しい潮流を見つけて波乗り出来るところは残るでしょうし、飛躍できるでしょう。自分から仕掛けを打てるところも強いでしょう。

 そういう強い所の作る物が旧来のゲームのワクにはまるかはさて置き。

 と、そんな風に思ってます。

 私は、コテコテゲーマーですが、商売上はデジタルでエンターテイメントが出来りゃなんでもいい的な、わりとコテコテゲーマーとは違う反応をしちゃってますね。はい。
 とはいえやはり、立ち位置によってものの見方は変わっちゃうのは仕方がないかと。

 なんというか、小さくて軽くて面白いゲームを作ればいいじゃない。ってのは、ゲームを舐める以前に、市場を舐めてる部分があります。


 かさぶたさんにて補足がありました。特に異議異論はないです。

 今回は誤解とかケンカ売りにならないように、残るとこは残る、ダメなトコは駄目。というオチにしてるんで、その辺は大丈夫だったと思うんですが。(成功パターンを選べないポジションもあるよ、っていう当たり前のオチ)

 それと、かさぶたさんは発熱地帯さんですね。ちょっとこちらの理解が足りてませんでした。

 そんな感じです。

2008/02/14(木) 00:01:10| 固定リンク|日記| トラックバック:0 | このエントリーを含むはてなブックマーク|
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