
今さっきゴジラKOMを見た。
以下ネタバレ
怪獣ボンクラに向けて作られた、
ボンクラ怪獣映画である。(誉め言葉)
今の時代にゴジラを撮ると、初代を受けつげばシンゴジラになる。
核の恐怖、化学、それに立ち向かう人間である。
今の時代に、VS物を撮影するとKOMになる。
ハリウッドゴジラ3本の中で最高傑作である。(俺評価)
リアル何それ美味しいの?とリアリティレベルを地に叩き落して、複数の怪獣が激突し世界を半壊させ、足元を人間がウロチョロするためだけに物語がある。
この物語は、カッコイイ怪獣の絵を取るためだけに奉仕しているのだ。
「お前ら怪獣プロレス好きだろ? 奇遇だな、俺も大好きなんだよ!」
マイケルドハティの声が聞こえる。
制作側の怪獣よくわかっている感は凄い。
やっている事は、パシフィックリム2と同じく、リアリティレベルを下げまくって活劇に振っているだけなのだが。
パシフィックリム2がそこかしこに「わかって無い感」を出していたのに対し、KOMは解っているのである。
博士連中がトップに座る組織は、科特隊もかくやという巨大組織で世界中に拠点と軍事力を持つ。
その博士が怪獣に触れる距離で活動している(活躍はしない)。
世界を股に掛けた移動(中国、深海、ボストン)をしているが、それを感じさせないシナリオと演出。さっぱりな位置関係と距離感。
全く意味もなく、怪獣の足元をウロウロする主人公たち。
至近距離で怪獣に殺される!!というタイミングで別の怪獣のカットイン攻撃でセーフが何度もある。
この混乱の中、お前ら良く出会えるな、という世界の広さと人物行動範囲の狭さが極端である。
こんなお話にリアリティなどを求めてはいけないのつるべ落としなのだ。
だいたいにおいてほとんどの登場人物が程よく気が狂っているので、些細なことは気にしなくてよい作りになっている。
だが、絵ヅラはことごとく良い。劇伴も素晴らしい。
CG造形はゴジラ、モスラ、ラドン、キングギドラ。それぞれ見事である。
ゴジラは、マッチョ&ファット+猪首だが、ゴジラの映像化で毎回ネックになる足首(人間過ぎるor生物すぎる)も上手い所に落とし込んでいる。スタンピード手前の表現も、後期ゴジラやガメラのようでテンションが上がる。
モスラはモスラと言ったら巨大さだろ、という部分以外は大幅にアレンジされてるが、巨大さと翅のしなりという、モスラの重要ポイントをちゃんと押さえている。コジラvsモスラのガッカリフワフワぬいぐるみの残念さは無い。
ラドンは、初代も草葉の陰で泣いているのではと思われる男前造形である。
キングギドラは、初代造形に最大限リスペクトを払いながらも、首の長さ太さ翼の形状などバランスをうまく調整し、非常に見栄えの良いヒールモンスターとして演出されている。
尻尾と顔が1つづつ順に手前からカメラにフレームインしてきてニラミを効かせるカットは、歌舞伎役者もかくやといういい見栄の切り方であった。キングギドラで見たかった映像である。
その程よくアレンジされた怪獣を、ナイスアングルで撮影しまくる。なんでナイスアングルかというと、まったく無駄に足元をウロチョロしているからだ。あの巨体がここまで近づくまで気が付かないのか? あの巨体を見失うのか? そんなこたぁしらん。
そういう絵が必要なんだから、そう撮影するんだよ。 雑もここまでくれば芸である。
CGの技術も進み過ぎているので、水や炎といった、パーティクル表現が、違和感すくなくブン回されて、嘘くさい絵がリアリティを持って迫ってくるというCG映画の正しい着地点である。
そして、劇伴である。懐かしのゴジラ、モスラのテーマなど。ある種の怪獣ボンクラはあの曲を聴くと批判精神を失う。
耳に流し込む毒である。それだけでテンションが上がる。
きっちりと初代へのリスペクトを忘れていない使い方である。
ソイヤソイヤと念仏はちょっとやかましいが。
最後に重要なことだが、一部女優の無茶押しが目立たない。レジェンダリは時々これで映画を台無しにする。
今回は、鼻につかない。ホッとした。
全体的に、かなりのボンクラ度合いであり、ドラマに全く身が入っておらず、盛り上げるためのあれこれは全部胡散臭いのだが、怪獣が出てきてドッカーン!劇伴流してドドドドーン!でだいたい腹いっぱいになれるいい映画である。
怪獣ボンクラには強くお勧めする。多くあるゴジラ映画の中で俺なら5本指に入れる。
ただし、怪獣ボンクラ以外には全く刺さらないと思う。
見る前に、初代ゴジラ~数本と、ギャレスゴジラを見ておいてよかった。
そこかしこに、あああ、あれ! というのがある。
| ホーム |
COPYRIGHT © 2004 POWERED BY FC2 ALL RIGHTS RESERVED.