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映画 キングスマン: ゴールデン・サークル 感想
 前作が大変好みだったので、今作も楽しみにしていた。
 期待に違わず、前作と同じように大変面白かった。

 頭空っぽにして見れるバカバカしさと、大量のイギリス臭い皮肉を詰め込んで、気にする人だけ裏読みをすればいい小賢しさを混ぜ込んだ小気味よい映画になっている。3やスピンオフの事を考えてとっ散らかっているところは目をつぶっておき、グロテスク&下品が嫌いでない人はオススメしたい。
 完全に、前作を見ている必要のある映画のため見に行く人は前作を見てからどうぞ。


 以下ネタバレを書くため、気にする人は回れ右で。


■あらすじ
 巨大麻薬組織ゴールデンサークルは表市場への進出をもくろむ。
 その邪魔になるであろう私設スパイ組織「キングスマン」に対し攻撃を開始する。
 キングスマンのエージェント、エグジーは、世界を股にかけてゴールデンサークルの野望を阻止せんとする。

■感想
 非常によくできている。
 ほぼ直接の前作の続編となっており、前作を未見だとわからない部分が多いが、その分前作を見ていれば、この人がこうなった、あの人がああなった、という部分が多い。
 今回、主人公エグジーを導くおっさん(メンター)として、マーリン、ハリーの存在感が濃いが、エグジー自信がエージェントとしての成熟度を増しつつ、グダグダな若者としての一面と、同種の若者との付き合いを大切に残しているなどの、理想的な立ち位置と、その立ち位置をそのまま拡大してゆく成長が描かれている。このあたりは非常に、ウケのよい素材とその成長譚として機能していると思う。
 その上で、ゴリゴリのワンカット無理やりアクションなどで飽きさせず、エログロ下品描写でスパイスを利かせつつ、グロ描写にも一応意味があるんですよ、という細かい気遣いで感心させつつ、そもそもお前ら何で単独で闘ってんの?みたいな部分は、そういうリアリティレベルの映画じゃないからという逃げを打ってある見事さである。

■続編問題の解決
 よくある、続編問題を解決している。(続編問題に関してはこちら
 続編問題とは『その話はもう見た』というもの。
 例えば、ロボコップ1は主人公のロボコップがマーフィーとしての自我を取り戻して終わる。だが、ロボコップ2はまた同じ喪失した自我を取り戻す話となっている。
 スターウォーズは3話かけて倒した帝国軍が、あっさり復活しパワーバランス的にも以前と同じになっている。
これは、この話はもう見たよという感想がどうしても出るし、以前の話は何だったんだと思ってしまう。

 物語というのは大抵は与えられた苦難を乗り越えるものだが、同じ苦難を同じように乗り越えるのはどうしても飽きてしまう。(マンネリを楽しむものは除く)

 これを回避しているものにエイリアン1、2があるが、ホラー映画の続編をバイオレンスアクション映画にする大技なので、ちょっと特殊パターン過ぎる。
 バックトゥザフューチャーは一度見た話を別の角度から見る、という大技で続編問題を解決している。
 グレムリンはただただスケールアップすることで、続編問題を解決している。

 キングスマンも続編問題を解決している。
 話をスケールアップしつつ、主人公の成長曲線は後退させず、主人公の持つ安全圏を破壊し、さらなる成長を促す。
 また、新鮮味を感じさせるための小技が多い。
 新組織の登場もそうだし。キングスマンの壊滅もそう。非常に神経が行き届いている。
 同じ監督のキックアスは、2でヒットガールがヒットガールであることを悩むという、誰がどう見ても克服するための課題が提示され、それを克服するという、いやもうそういう話はいいんだ、というものだったため、ちょっと警戒していた。(キックアス2は監督ではなく制作)
 だが、キングスマン2は見事に、繰り返し感を感じさせず、新味を出した。
 登場人物の成長曲線を戻すのはタルい。今回その役割は別のキャラが担った。普通だとそれもタルいのだが、担わせ方にいくつかの工夫があり、上手く誤魔化している。

■多分テーマ
 多分『誰が誰を捌くのか』みたいな部分がテーマというかギミックなのだろう。
 麻薬を使ったことがある人を、使ったことが無い人がそれだけで断罪してよいのか。
 人間をミンチにする描写があるが、それは普段食べるハンバーガーと残虐性は同じではないか。
 麻薬組織が70年代の幸福を享受するアメリカを模倣した拠点をカンボジアに作っている。ベトナム戦争時に幸福を享受していたアメリカのように。
 グロテスクなミンチを外部委託しつつ、自分たちは平和を享受する。あたかも正義の執行者のように。
 いったい誰が捌くのか、捌けるのかという問いの形になっていると思う。
 これは、ルールを守ることを重視するキングスマンにおいて、ルールを破るエグジーと多重構造にしてあるし、彼をここまで導いたハリーがルールを厳格に守った結果、虚ろであった事とも対になっている。ルールと罰則、罪と罰。
 で、そんなことはどうでもいいグロテスクや下品をまぶして、頭空っぽで見れるような、ノンストップアクションである。
 この匙加減がとても上手い。

■まとめ
 007もリアル方向に舵を切っているし、近年この丁度良いレベルの馬鹿さのスパイ映画というのは他になく、そのうえで、独自の味付け、下品さ、グロテスクさ、そのくせちょっと高尚な感じのスパイス、と見事な映画だと思う。
 実際のところ、グロテスクな部分も下品な部分も多分にカリカチュアされているし、リアリティレベルはとても低い。冗談のように低い。もともと傘で銃弾を弾くような世界観だし、監禁された牢屋にはトイレがないが綺麗なものだ。
 そういうのを、カラリと楽しむ映画となっている。

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