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TV 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 感想



個人的には十分楽しめたと思う。
ちゃんと最終話まで苦痛なく見れた。良いガンダム。

 以下ネタバレを書くので、見たくない人は回れ右で。


■良く出来たガンダム
 ガンダムでヤクザものをやるという試みは成功したと思うし、MSが硬く、簡単には壊れないという演出は、複雑な殺陣を可能にしたし、その前提があったからこそビーム兵器が特別であるという表現もできていたので、こちらも成功したと思う。
 壊れかけのMSが動くという作画カロリーの高さは大変だっただろうし、そういうことも含め、一話おきにバトルの無いエピソードが刺さるなどの、バランス取りもよくやったと感心する。
 玩具売り上げに影響があったかどうかはデータを知らないのでわからないが。

 あえて、個人的に気になったところをあげるとすれば、お話がとにかく雑に感じた。
 戦う以外に生きる方法を知らない少年兵がどう生きていくか、という課題は綺麗に着地したとは言い難いと思う。

 しかしこれはまぁ物語に何を望むかという個人的な部分であり、鉄血ガンダムはきっちりと成果を上げた良いガンダムだと思う。

■綺麗な着地に見えない
 何故綺麗な着地に見えないかと言えば、ミカヅキとオルガという少年兵の物語として始まったガンダムは物語が終わったあと振り返ってみれば、革命を志したマクギリスを、その犠牲にされた友人ガエリオが諫める物語となっている。

 物語の出発点と着地点がズレ過ぎている。

 そして最も大きく物語に影響を与え、成果を得るのはラスタル。
 ラスタルはほぼ過去もプライベートも描かれないのだが、彼が鉄華団とマクギリスを生贄に、よりよい世界を構築し、自らも権力を手に入れた。

 物語の主軸もズレてしまったのではないか。

 最初からこれがやりたかったのなら、そうみえるように語るべきだし、フェイクで勘違いさせたのであれば、振り返ってみた時に、ああこういうオチがつくためのフリだったんだ、というものが仕込んであっていい。

 とても場当たり的に見えるし、雑に感じる。

 この着地から振り返れば、テイワズやタービンズ、ジャスレイなどのゴタゴタは省略可能になってしまう。
 多くの尺を使って描かれた人たちが、物語への影響がほとんどない。

 せめて、オルガやミカヅキがそれらを受けて精神的な変化があればまた違ったのだろうが、それも乏しい。

■マクギリスの物語
 物語を牽引したマクギリスは、出自が孤児で名家に引き取られても虐待を受けたという過去から、力と正義を渇望し、力を手に入れた後も、自分のためではないより多く幸福を目指し、友情ゴッコに浸ることを自らのアイデンティティの障害と考え、通過儀礼として友人を殺害し、近い境遇の鉄華団に肩入れしていく。結果的に鉄華団も破滅する。
 深い考えがあるように思われたマクギリスはただただ直線的で単純な正義とそれを実現する力を目指していただけで、深謀遠慮があったわけではないという、巨大な肩透かしキャラである。
 さらに言えばどこかで破滅を望んでいたようで、どんどん旗色が悪くなっていく状況がとても楽しそうであった。

 これはこれで、物語のギミックとしてはアリだ。面白い。
 彼に付き従う、革命軍の将校たちは、マクギリスが中身のない空っぽ純粋だからこそ付き従えたのではないか。
 アホで純粋で戦場をかき混ぜることに定評のあるイオクは部下に慕われていたが、こいつらはまるで違う外面を見せながら、似たようなものだったのだろう。

 ここまで見れば、このマクギリスというキャラクターが果たした役割は大きいのだが、オチをつけることを放棄したキャラでもあるので。
 物語の決着にはコイツ以上のギミックが必要になってしまった。

■ラスタルの物語
 結局物語にケリをつけたのはこの詳しいことが何一つ描かれなかった、なんか嫌らしい感じのおっさんである。
 清濁併せのむ実務家らしいがそもそもなにやってきたんだかがあまりかかれない。物語としてこれはあまりにもバランスが悪いと感じる。

■オルガとミカヅキの物語
 彼らがガンダムという武力を手に入れて、それを使うことで世の中を泳いだり溺れたりする物語、かと思いきやそんなことは無かった。
 彼らを筆頭に、登場人物が揃いも揃って場当たり的な行動ばかりしていて、納得感が薄い。

 学が無いというのはそういうことだ、恵まれないというのはそういうことだ、現実的にはそうなのだ、と考えることもできるし、そういう言説をwebでも見たが、何言ってんだ、現実的にはガンダムなんかねぇよ。架空の空想物語に現実を言い訳に使うんじゃねぇよ。現実を言い訳に使うならちゃんと刻んで物語に混ぜておけよ、混ぜてないから唐突に感じるんじゃないの?という部分でもある。

 物語というのは出発点と着地点があって、その移動距離に誰がどう関わったか、というものだと思っている。

 1stガンダムでいえば、ジオンが連邦に独立戦争を挑み総人口の半数を失ったところから出発し、主人公のアムロたちの活躍を絡めて終戦となり、不戦条約が結ばれるところが着地点となる。

 鉄血ガンダムは、大きな戦争の後、ヒューマンデブリとして人命が軽視されている状況を出発点に、主人公オルガ、ミカたち鉄華団の活躍を絡めて、彼らを悪役として葬ることで、世界が人命を軽視しない方向に舵を切ったところが着地点となる。

 それを見れば、物語はちゃんと動いている。
 だが、別に彼らが主人公である必然性はしっかり描かれていない。

 むしろ、ガエリオやジュリエッタが、復讐鬼や偏った視点からバランスを取り戻してエンディングを迎えるという、物語としては主役的な振る舞いをしている。
 そういうオチにしたいのなら、そうなって納得がいくように、前フリが欲しいと感じる。(最終話付近になって急いでタテツケた感じが強かった)

 人間性の問題としては、オルガとミカの共依存の関係こそが問題で、あれを解決するなり、解決できませんでしたなり、次のステップに進むなりを、明確なオチにしないと序盤のフリとかみ合わないと思う。
 これは俺の読み解き方の問題で、人によっては全くしっくりくるオチだったかもしれない。

 俺の視点だと、全く同じオチであったとしても2人の心にもう少し踏み込んで、そこにドラマとしての動きがあれば、納得感があった。
 変わらないものはドラマに向かない。

 自分は物語とは詰将棋のようなものとして消化したいクチで。
 まず状況設定がなされ、そのとても解けそうにない棋譜が綺麗に解かれていく様にもっとも満足する。
 なので、明かされていなかった駒が後で追加されたり、わざとヘタな手を打って場を盛り上げるとかはあまり好きではない。
 そもそも、サッカーの試合だと思ってみていたら、実は隣のコートのテニスの試合が本題でした、みたいなのはガッカリする。
 それをガッカリさせず、おお面白かった、そういう手があったか、と思わせるのは、どれだけ伏線を張っておくか、ということだと思う。

 こういう、激しい抗争の挙句、主人公が退場して、おいしいところをトンビにかっさらわれるのはヤクザ映画では定番で、昔の松方弘樹とかのでもそうだし、北野武のその男共謀につきとかでもそうなのだけど。
 それでもあれは2時間の尺の中でオチに向けてきれいに整理されているので。
 一年程もあるこの長い物語をかっさらうトンビの、状況説明に欠けた気がする。

■まとめ
 と、グダグダ描いたが。
 最初にも述べたように、録画放置で10話も溜まっちゃった!みたいなことがなく、次の話が楽しみなるガンダムは久しぶりだったし、ヤクザガンダムと硬いMSという表現は、十分面白かった。
 このタテツケだけで十分高い評価を得れるガンダムだと思う。
 ウダウダ書いたのは、もうちょっとシナリオに納得感があればさらに上に行けたと思うのにという無いものねだりでしかない。

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