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本 ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ 感想
 ジ・アート・オブ・シン・ゴジラ[amazon]

 感想としては『庵野えげつねぇ』となる。

 自分は仕事で、ゲーム制作をしているが、集団作業で1つのクリエイティブを作るという部分では強い類似を感じる。

 本から読み取るに。
 映画を作っている人たちが、ルーチンワークで映画を作ってしまう。悪いい方をすれば手慣れで作ってしまう。
 それでは、強烈なクリエイティブにはならないから、庵野監督は、それを破壊してまわった。
 という事らしい。
 流石はトップをねらえ!の際に、気に入らない完成度の背景美術を壁に頭突きを繰り返すことで、スケジュールの無理を押して修正させただけのことはある。

 こういう、執拗なリテイクや、いじったはいいけど前の方がよかったから、前のを使う、などは、有名な監督にはつきものの逸話ではあるのだが。黒沢や宮崎でも多く聞く。
 だがこれを実際にやるのは本当に大変なのだ。人間関係をグダグダにするしそこまでやっても駄作ができてしまうこともある。

 自分の意見を通す力とポジション、失敗しても知ったこっちゃない強さ。逃げ道。キチガイメンタル。それらを持っていないとできないし、それらを全て持っていても、なかなか出来るものではない。

 そうやって、我を貫いて現場を疲弊させても、最終的に大ヒットを生めばチャラになる。プラス評価が出る。
 そこまでやれるから、名監督なのだろう。
 そんな名監督でも、すべての作品を大ヒットさせてるわけではない。


 自分もチームで仕事をする事があるわけだが、そんな確信的な暴君の下で働いたことはないし、自分が暴君をしたこともない。

 誰だって一番嫌な仕事は無駄仕事だ。
 だから、チームプレイでは、いかに無駄仕事を減らすか、リテイクが出にくいように作るか。
 複数の意見をどう調整するか。
 そんなことばかりを考えて行動してしまう。
 天才でもない人間が、天才のようなこだわりでチームを左右するのは最悪だから。

 が、逆に言えば、天才でも、こんな量のリテイクを出すという事だ。
 リテイクが発生するのは、「求める物を明確に伝えきれていないか」「力量が足りないか」「時間が足りないか」「そもそも無理である」などの理由からだから「ちゃんと伝える」事が出来ていれば、あとは出来るところまでしかできない。
 それ以上を求めるなら、できる奴にさらなる負荷をかけることになる。 

 去年の映画は豊作だったが。自分の中ではブッチギリでシンゴジラが良かった。

 それは『こういう映画が見たいが諸般の事情で無理だろう』と思っていたものが『諸般の事情をねじ伏せて現れた』からだ。

 そして諸般の事情をどうやってねじ伏せたかの一端が、この本で読み取れる。
 そりゃもう、ひどいものだ。暴君だ。だが暴君は戦に勝って関係者にその忍従の日々に対しての見返りを作った。

 間違いなく、ルーチンワークでは作れない映画。
 (一度作られてしまえば、逆算してルーチン化できるが)

 というわけで、シンゴジラみたいなのは、ちょっともう、よっぽどの、覚悟と、その覚悟を許容する周囲がないと作れないわ、と、奇跡の結晶を見るような気分になった。

 そういえば、スターウォーズ:ローグワンは、撮影完了後に追加撮影した量が莫大だったという。
 当然その分捨てられたカットも大量だったろう。(話が相当変わっている)
 良いものを作ろうとしたら、どうしてもいろいろ捨てないといけない。

 必要な無駄仕事はある。
 これハリウッド型の雇用だと、無駄仕事は無駄仕事と割り切りやすいと思うが、日本の雇用タイプだとそうとうにやりにくいと思う。そうでもないのかな。(ハリウッドでもCG会社がリテイクでつぶれたりしてるしな)

 必要な無駄仕事はある。
 あるけどやっぱり無駄仕事はヤダ。自分でやるのもヤダし人にさせるのは100倍ぐらいヤダ。

 と、本の感想ではなく、本から読み取ったことでモンモンと着地点の無い問いを。

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