島国大和のド畜生
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映画 ドラえもん 新・のび太の日本誕生 感想
 子供を連れて見た。未就学児童でも安心の2時間。見事なものである。

 おっさんの自分からすると、色々と気になるところが多かったのだが、それはコレが子供向けであり、あからさまにターゲットから外れるからだと思っていたのだが、ネット上ではほぼ賞賛の声(もちろん大人の)だったので、メモ代わりに感想を残しておく。

 自分のドラえもんの知識に関しては、第一次ドラえもんブーム直撃世代だが、映画は初期数作までの視聴で、日本誕生に関しては、旧映画も原作漫画も未読である。

 以下、未見の人は回れ右で。


■あらすじ
 のび太たちは、親との確執から家出を決意した。
 しかし地球上どこへいっても、誰かの土地であるため、タイムマシンを用いて原始時代の日本へと家出する。
 そこを新天地とし、環境を作り農業を始めペットを育成し、秘密の遊び場所として通いの家出を繰り返す。
 のび太は未来の道具クローンエッグをまぜこぜに使い、ペガサス、ドラゴン、グリフォンをペットとして作成し、仲良くなる。
 時を同じくして、時空乱流に飲まれて現代日本に現れた原始時代の少年ククルは、のび太と出会う。彼は家族を敵対種族に拉致されていた。
 敵対種族はクラヤミ族といい、ギガゾンビを首長とし、中国大陸で奴隷狩りを行っている。
 ククルたちヒカリ族は、ドラえもんの力を借りて日本に渡りそこを新天地とする。
 しかしギガゾンビは追撃の手を緩めない。ククルたちはヒカリ族の仲間をさらわれてしまう。
 ドラえもんの秘密道具すら効かないギガゾンビは、実は未来人であり歴史に介入する時間犯罪者であった。
 のび太一行、ククル、ペットたちは力を合わせてギガゾンビに立ち向かう。
 冒険のあと、それぞれは少しづつ成長し、親との確執も解決する。

■感想(気になった箇所)
 子供たちは喜んで見ていたので、良い映画だと思う。
 そもそも自分はターゲットではないので、感想を書く意味は無いのだが、冒頭に述べたようにネット上の感想がほぼ賞賛であったため、気になるところをメモとして残そうと思った。

・生命倫理のアバウトさ
・優越感の嫌らしさ
・オチの無理やりさ

 あたりが気になった箇所となる。
 基本的にいい映画だし、子供向け映画に大人がやいやい言うのは本当にナニなのだが。

・生命倫理
 のび太が、クローンエッグで適当に生命の元を混ぜて、ペガサス、ドラゴン、グリフォンを作ってしまう下りは倫理に欠ける。どうなるかわからない生物の作成。その後飼い続ける覚悟の無さ。
 もともとドラえもんはかなりブラックな描写があるものだし、そういうギャグマンガだが、映画版ともなると感動巨編の体裁を整えているので、生命をもて遊ぶ行為が普通に楽しいこととして描かれてしまう。
 もちろんそれはいけない行為として、最後に別れを迎えるのだが。それはいけない行為への罰として釣り合いが取れていない。
 ミックス生物は普通に飼ってはならず、タイムパトロールを介して空想サファリパーク送りになるのだが、そもそもそういう事情がなくてものび太には飼えない。
 あの巨大生物のエサの準備も日々の身の回りの世話ものび太は出来ない。サファリパークに引き取ってもらい、きっとまた会いに行くからね、という状況は、ただただ彼を甘やかすだけに見える。
 ペットと仲が良いとはいえ、遊んでいただけだし、行方不明になったのを探しに行くのも短絡的だったし、生き物を飼うことの、厳しさ、難しさは表現しないまま、感動の別れにもっていく流れは、無責任さが目立った。(野放しよりはいいが)

(あらいぐまラスカルというTVアニメがあり、あれも手に入れた子供のアライグマをひと夏飼って森にさよならするという、絵ヅラにだまされると実は酷い事をしている話があるのだが(エスパー魔美のサーマードッグ的な)あれはエクスキューズとして親を猟師に殺された子供アライグマを飼うという構造になっている。(原作は主人公が自ら捕まえているそうだ))

 物語中にペットからのび太に寄せられる甘えや信頼は、のび太が何かを成したからでなく、その前から親としてののび太に向けられていたものだ。
 ここは、もう少し辛口の何かが欲しいと感じてしまった。

 何が起こるかわからない命を混ぜる悪行もそうだが、最後まで育てることが出来ないであろうペットを飼うという行為を美談にしてしまうと、色々と思うところはある。

・優越感
 のび太一行は、原始人であるククルや、その所属するヒカリ族に対して、自分たちより劣るものという目線を常に向けている。
 小学生が、相手が原始人にせよ、親世代や長老世代にそういう目を向け続けているのを肯定的に描くのは気になった。彼らはドラえもんの道具なしでは何も成しえない存在なのにだ。
 未来の道具ではない石槍でククルが勝利するという、定番の科学文明批判があるにせよ、バランスとして、優越感目線の強さを薄めていないと感じた。

・オチの無理やりさ
 危機一髪のところでタイムパトロールによって事態が打開される。
 歴史を変えようとしたギガゾンビの野望は終了する。
 時間を超えるならば、危機一髪になる前に問題を解決できるし、
 歴史を変えることを罪とするなら、その青いタヌキロボを重犯罪者とすべきだろう。


■感想2(とはいえターゲット向きには良く出来た映画)
 文句ばかりを連ねたが、コレは俺がターゲットでないから気になったのは明白で。
 本来の視聴者の子供にはコレでよかったのだと思う。(保護者としては、生命倫理、優越感目線と、ちょっとコレを元に子供と話さねばなと思った)
 子供が何か1つから強烈な影響を受けるというのは稀で、複数見た色々から自分の中の落しどころを見つけていくのだろうから、バランスをとるのは親の役目だろう。

 そう割り切った上で見れば、「秘密道具で新天地創造」「子供だけの新生活」「おいしい食事」「自分たちの陣地」「なつくペット」「倒すべき悪」「人助けして感謝される」「神のようにあがめられる」「後腐れ無し」と、子供的にうれしいことは一通り入っているので、上手く構成しているなぁと思う。

■感想3(リアリティレベルの難しさ)
 このお話に関しては原作漫画未読な為にどうこう言えないのだが。
 読んだことのある映画版ドラえもんの原作コミックは、さすがの藤子・F・不二雄といったところで、強引なところも、倫理的にアレなところも、物語のリアリティレベルを、低めに保ってあることで、あくまでも記号的にこなしていて、見る側の考える余地になっていると思う。
 (調べたところ、のび太の恐竜~のび太の宇宙小戦争まで漫画を読んでいた)
 自分自身は、藤子漫画では、当時モジャ公が大好きで、自殺フェスティバル最高!とか思っていたのだが、最近全集が出たので読み直したら、非常に淡々と記号的に話を進めていく芸風で(他の作品とくらべても淡々としている)あの高いテンションは漫画じゃなくて受け手の脳内で構成されたものだったのか!と関心したのだが。(だから子供心にはぶっ刺ささった。大人には刺さらないだろう)

 しかし映画という表現形式は、どうしてもその登場人物を生々しいものにしてしまう。
 ドラえもんですら、最近風に洗練された絵と音があたり、演出も丁寧になると、ギャグですよ、つくりごとですよ、と流しにくくなっていく。

 このあたり、たとえばアードマンアニメーションズとかは、ストップモーション人形アニメであるという、誰がどう見ても作り事な絵ヅラを利用してハードなボケをカマしたりするのだが。

 日本のセルアニメは、リアリティや動きの良さを追求してきた経緯があるので、ドラえもんですら獲得すべき以上のリアリティを持ってしまっていて、サラサラと流して見れない、という事情が生まれている気がする。
 おじゃる丸や、はなかっぱみたいなリアリティコントロールで、劇場映画の価値を出せるかというと難度が高いと思うし。

 単純な例を出すと「平原でバッファローに追い回されるのび太一行」みたいなのは、記号的なりギャグ的にやらないと嘘ばっかになっちゃうのだけど、映画だとちゃんと危機を演出して、でも助かった、みたいなつくりになってしまうので、この辺りの距離感の難しさ。ソコにリアルが無いことをリアルに描いちゃう気まずさみたいな。

 例えばジブリアニメはこういった演出を偏執的なまでに上手くやってしまうし、クレよんしんちゃんは、ギャグですからという言い訳を上手く利用してスペクタルをやる。

 アニメ版ドラえもんは長期の進化の過程で、どっちにも向かわなかったので、アニメーションの精度の高さと物語の記号性の距離が難しくなってしまったと思う。

 映画ドラえもんのアニメ的な絵作りはほんとうに見事で、よくもまぁ丁寧にこの絵を動かしてるなぁと感じる。お話も良く出来てる。が距離感のコンフリクトはある。

 これは、普段からドラえもんアニメを見ていないおっさんだから、そこに気が行ってしまっただけで、常に見ていればこの違和感は慣れの中に収束していると思う。

 グダグダ書いているが、これは映画ドラえもん批判とかではまったくなく「映像表現と物語のリアリティレベルの調整って難しいよなぁ」という純粋な感想。

 個人的にはもっと、原作漫画に寄せた記号的な表現、例えばのび太の恐竜2006で見せた記号的な絵と派手な動きと崩し方で、スプラスティックに話を転がしながら最後はホロリとさせるようなのが見たいなと思う。

■感想4(まとめ)
 序盤、ドンブラ粉でタイムマシンを隠すのは、これ後半でタイムマシンがどっかへ行っちゃった!的な伏線かと思ったら、敵を倒すのにドンブラ粉を使う伏線だった。
 いやそれはいいんだけど、だったらタイムマシンは4次元ポケットに入れればいいものだから、もうちょっと別なところでドンブラ粉ネタ振ってくれよと思った。(偏執的なダメ突っ込み)
 長々と書いているけど、その程度のおっさんのたわ言です。

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