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映画 オデッセイ 感想
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オデッセイ(字幕版)
オデッセイ(吹替版)

 オデッセイを見たので感想を書く。面白かった。
 GWヒマやでな人でSFに忌避感の無い人にはレンタルオススメである。って時期に書いたのだがGW終わったよ。

 原題は、火星の人(The Martian)である。

 ネット上では、火星ダッシュ村と呼ばれていた。
 以下ネタばれありで記述。見たくない人は回れ右で。
■あらすじ
 トラブルで火星に一人残されたマーク(マット・デイモン)は、生存と地球への帰還を諦めない。NASAや、彼と行動を共にしていたスタッフと協力していく。長丁場の脱出劇。

■感想
 非常に丁寧に分かりやすく撮られた映画で、SF的な味付けを抑え、エンタテインメントにまとめている。
 言ってしまえば、火星一人ぼっちからの生還するだけの話なので、それをいったいどう実現するかというSFギミックに興味がいくのだが、これもサクサクと進む。
 この手のドラマだと、悪人や、わからず屋による、マークを見捨てようという対立勢力や、計画の失敗による絶望感などで、無理やりな盛り上げが入ったりするものだが、そういうのはササーと流して、極めて淡々とミッションをこなしていく構成。

 宇宙一人ぼっちからの生還としては、グラビティがどうしても比較対象に上がる。あちらが多分に緊迫感と精神的高揚に重きを置いているのに対し、こちらは飄々淡々とした風情である。プロットは類似しているが、芸風は大きく異なっている。

 どうしても似ていると感じてしまったのは、宇宙での移動に消火器や宇宙服のエアを使う機転と、中国の宇宙開発局(中国国家航天局)の支援によって助かる所ぐらいだ。
 これは、分かりやすく好まれるアクションとしての無重力表現と、巨大化した中国映画市場を考えるとまぁこうなるかな。という印象。

 他にも比較すると、グラビティは、比較的短時間の物語であり、それゆえ感情の振れ幅が大きく、困難も幸運もピーキーで、しかしそれを納得させる勢いがある。
 オデッセイは、比較的長期間の物語であり、それゆえ勢いだけで話を進めることが出来ない。その間陰鬱な物語には出来ないので、厳しい環境下でもマークは非常に飄々としている。

 物語は、困難の大きさが解決した時のカタルシスなので、感情の振れ幅を大きくとらないオデッセイは不利なのだが、それを上手く演出でどうにかしていく。
 このあたりはさすがのリドリースコットだなと思う。
 火星での活動の映像が、いかにも地球ロケ(当たり前)に見えるところがちょろちょろあり、もう少し何かフィルターとか光源とか弄ってよーとか思ったりもするが、全体的にSFガジェットの出来の良さ、CGの作りこみの良さは、「おお、宇宙、宇宙!」と喜べる完成度で、楽しく見れた。

■感想2(ガジェット)
 実際火星への有人宇宙飛行はしていないので、この映画で描かれる全ては絵空事なのだが。
 これにリアリティを持たせる為にさまざまな手段や、ガジェットが投入されている。
 そして意外性を出すための無茶をまぶすことで、絵空事を映画に定着させている。

 特に「ははぁ」と思った箇所を列挙する。

 冒頭マークが取り残される原因となるトラブルは、わりとガチャガチャと演出していて勢いで押し流している。絵も極端なコントラストを使ったりと「じっくり見たら地球でのロケじゃん」という鑑賞者の冷めを起こさないように勢いで進む。

 そしてマークが死んだと勘違いされる大怪我だが、これの治療を随分丁寧に演出する。
 生命の危機ほど分かりやすい危機は無いので、こういう部分で観客を引き付けておき、以後の嘘を通りやすくするというよくある手段なのだが、やはり上手い。

 このあと、マークがへこたれない凹まない、飄々としたタフネスで生存へ向けてミッションを進めていく。ほとんど失敗もしない。

 長期生存のための水、空気、電気の確保。ジャガイモ栽培による食料の確保。

 そして、マーズパスファインダー(NASAのディスカバリー計画で使われた1997年火星到着、通信途絶の機材)を用いた地球との交信。
 この映画の絵空事部分と現実をつなぐガジェットとして、このマーズパスファインダーは非常に 効果を発揮する。(そんな上手く使えるもんかとは思うがロマンで乗り切れる範囲だ)

 というか、このマーズパスファインダーが登場しなければ、この映画自体が全てただの絵空事にしか着地できず、面白さを担保できなかったと思う。

 最近のハリウッド映画はこういった、現実のガジェットを映画で用いることでリアリティを確保する手段を多く使っていると思う。
 アポロ計画を使ったトランスフォーマーや、ビキニ原爆実験を使ったゴジラなど。正直現実と映画を混同する気は無いが、TFやゴジラの無神経な現実利用にイラっと来たのは事実である。

 そんな中、オデッセイの現実を毀損しない使い方で現れたマーズパスファインダーは宇宙好きのテンションを上げるには十分なガジェットだったと思う。

 その後、トラブルによる食料問題に直面したマークにNASAが食料を送ろうとして失敗、中国国家航天局の協力でそれを打開するなど、中国市場向けっぽい展開(中国の国力がそのリアリティを産んだ)があり、次の計画で使用する予定だったMAVがありと、SFガジェットのそれっぽさで、うまくリアリティを醸し出しながら話を転がしていく。
 実際原作では、もっと中国プッシュであり、映画はNASA協力のため控えめという話も聞いたが原作未読なのでしらない。

■感想3(気になるところ)
 しかし個人的に微妙に感じた場所もある。

 火星はマイナス40度ぐらいの気温、大気はほぼ二酸化炭素。大気圧は1/100。宇宙服を着ていてもちょっと、行きたくない場所なので、この、寒さ、薄さは、もうちょっと執拗に表現しなくては、過酷な中での戦いであることが弱まるのではと感じた。


 あと火星の重力は地球の4割程度なので、劇中の重力が地球準拠なのは残念だった。もちろんそんなの表現してたら撮影大変すぎてたまらんとは思うが。
 でも、しょっぱい推力で重力圏から脱出する絵が何回もでてくるので、ちゃんと低重力であると描いてあれば全然リアリティが違ったと思う。
 せめてポイントになるところだけ(物を置く、跳ねる、水)ちょっと特徴的な演出が入ればよかったのにと感じた。
 大気が薄いのは、砂嵐の表現に問題が出ちゃうので面倒な問題だったのかもしれないけれど。(原作未読)

 ガジェットの準備も、お話的になんとかうまく生還する、という話になるように準備がなされているように感じた。
 まず、電気に関しては先の計画のためのプラントがそのまま利用できているし、空気、水、も工夫と大きな工作があるにせよ、既存のプラントを利用している。
 火星脱出に使われたMAVも先の計画の為の設備を改造して利用している。

 となると、劇中におおっと感心するようなギミックは、ジャガイモ生産(火星の土+バクテリア+人糞+水+感謝祭用のジャガイモ)と、マーズパスファインダーを用いた交信ぐらいとなってしまう。
 宇宙服に穴を開けてエアの放出で推力を得るとかは、どっちかというとガッカリギミックだ。(リアリティを感じられない)
(原作では提案はされるが未使用らしい。)

 おそらく実際は驚くような科学ギミックがもっとあるのだろうけど、映画的な省略がなされている。
(多分、水の生成過程はかなりグっとくる化学式ギミックがあると思うのだが、映画では表現しても伝えにくいから、するすると流されていた。流すのは正解だと思う)
(ローバーでの移動距離が、劇中ではわかりにくいが、相当な長旅で充電なのど手間を考えると、トリッキーなことをやっているのだろうと思う)

 このあたり、映画としての分かりやすさ、撮影の問題、いろいろ含めて、ドコに着地すべきかというものなので、ナニが正解と言うものはないし、映画は綺麗にまとまっていたので、ケチをつけるのは筋違いだが。

 自分視点では、ギミックの細かいところがちゃんとしているというのは楽しく見るのに必要な要素なので。

 グラビティでも、消火器をプロペラントとして使って宇宙遊泳にはそうとうガッカリしたので、オデッセイでも、宇宙服のエアをプロペラントとして使って宇宙遊泳には、かなりガッカリした。

 せめてエアの噴出し方向と、推進方向がもっと合わせてあり、とびまわる風船のようであれば、まだリアリティが有ったわけだが、この辺のいい加減さは、ハリウッドでは宇宙遊泳は適当でいいというような暗黙知でもあるのだろうか。

■感想4(人物像)
 主人公マークは、危機的状況の中でも飄々としており、それは危機的状況だからこそなのだろうが、感情を震わせるようなことは少ない。
 一人称「ボク」で語られる火星生存日記は、非常にオタク的で、ゆるいウィットがあり、火星ダッシュ村呼ばわりされるのもわかる。
 マットデイモンでこのテイストはちょっと意外であった。

 母船のクルー、地上のNASAのクルーそれぞれが、マーク救出の為に献身的であり、中国ですら自身の計画をさておいて、マーク救出の為に一肌脱ぐ。
 とくに悪人の存在しない登場人物。

 そして、マークには、彼女とかの要素が希薄に描かれている。
 心配するのも家族のことだ。
 このあたり、かならず色々モリモリに盛って来るハリウッド映画らしくないなと感じた。

 性的ではなくとも、最後に祝福し合える異性や、解決される家族の問題などを用意しておくのは、本当にハリウッド映画だと定番だし。
 人間関係によるトラブルや、悪人、うっかり屋による問題発生も、ド定番なので。

 そういうのは、端っこにおいておいて、もくもくとプロジェクトを立案遂行していく展開は、楽しく見れた。
 ただそれだけに、ガジェットの面白さ頼りな構造なので、ならばもっとガジェットに凝って欲しい、という感想は出てしまう。

■まとめ
 面白いのでオススメできる。
 が、話の構造的に、DVDやBlu-Ray買って何度も見るというよりは、映画館や、レンタルビデオで、集中して一回見たらもう見ない、というノリになりがち。
 自分はネットレンタルで見た。

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