島国大和のド畜生
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映画 バクマン。 感想
バクマン。
 ちょっと前に観たので、感想を書いておく。ネタバレあり。
■あらすじ
 高校生で絵の上手い最高(モリタカ)と頭がよくシナリオを作れる秋人(アキヒト)は、コンビを組んで、週刊少年ジャンプの連載を勝ち取り、ライバルたちと切磋琢磨しつつ、連載アンケート一位を目指す。

■感想(全体の配分に関して)
 ほぼマンガと同じような展開だが、映画用にゴリゴリとシェイプされている。
 秋人が最高がクラスメイトをラクガキしているのを見て絵が上手いことを知る⇒コンビでマンガを描こうと誘う⇒最高が書いていたラクガキ、想い人の小豆にもラクガキを見られれ、愛の告白と漫画家を目指すという告白を済ませるまで、冒頭からの短いシークェンスで、とんとんとんと描いてしまう。素早い。
 同期のライバル漫画家も、それぞれの芸風や、どういったマンガを描いているかを、手塚小の受賞会場でそのマンガを背景にさささと済ませてしまう。これも手早い。
 このあたりのシェイプのしかたは見事だ。

 また、それぞれの登場人物は特にマンガのキャラに似せているわけではないが、雰囲気は上手く寄せている。
 マンガ原作モノを実写映画化するとしたら、ほぼこれが正解ではないかという手際の良さ。

 物語としては、漫画家を目指してスタートを切るところから始めて、最初の連載(この世は金と知恵)で、病床にありながら1位を獲得するのをゴールとし、エピローグで次の連載に思いを馳せるところで終わる。
 この間に、個性の強いほかのキャラクターを絡めて、漫画を描く、読者アンケートを競う、というのをエンターテイメントに昇華している。
 言ってしまえば、大して盛り上がる要素がなく、TVドラマで充分な内容で、原作自体もエピソードの羅列で、明確な盛り上がりが少ない構成なので。これを映画にするために、エピソードとキャラクターの取捨選択にかなり大鉈が振るわれていてる。
 が、それがかなり上手い。適切に感じる。

 気になったところとして、小豆役の小松菜奈が、それほどヒロインとしての魅力を描かれていないとかは、弱点な気がするが、ペンネームの亜城木夢叶(亜豆と真城と高木の夢を叶える)のエピソードをがっつりカットしているのも、「2人の才能の目的達成」に物語が絞られているからだろう。小豆をイメージしたキャラが、マンガの人気の原動力になるというギミックが、重要なポジションではあるが。

 そんな感じで、全体的には原作からの改変ポイント、カットポイントが多く、しかし、それによって物語が成立している。
 映画には映画の表現の仕方があると思うが、マンガを映画にコンバートするに当たって、それをうまく達成している印象。

■感想2(登場人物に関して)
 秋人役の神木隆之介(俺の中では妖怪大戦争の天才子役として有名)が抜群に上手く、カツゼツよく聞き取り易いのに、劇中空間では大変自然に見える演技で、物語のリアリティを担保しており、最高役の佐藤 健が、少々トウがたっているの(撮影時で多分20代後半)と組み合わせても、なんとなく高校生に見えてくる。
 原作マンガでは、幼いが強い意志のある最高と、少し大人びていて、背も高い秋人という組み合わせだったが、映画では体型や年齢的な印象も逆転しているが、まぁあんまり気にならない。

 小豆がパっとしないのは、これはもう、絵に描かれた美少女を実写で演じさせるのは酷であり、カット数も絞ってライティングもバリバリ当てて撮影はすげぇがんばっていたので、これ以上を求めるとCGでも使わないとナニという感じ。
 もうちょっと印象的に似た子を探して繰ればいいのにとは思ったが、これも人によってイメージが違うだろう。

■感想3(業界モノとして)
 俺自身過去に、つけペンでマンガを書いていた時期があり(驚くなかれ、商業誌に載ったことがある。ペンネームは異なる)、作画風景の、手、指の汚れ方、作画している机の感じなど、オーバーな表現なれどリアルに感じた。
 そして、大量に画面に現れる、書きかけの原稿。見事な書きかけ原稿が、リアリティを裏打ちしている。 
 あまり上手くない原稿が、上手くなっていく、しかし王道に寄せすぎて魅力がスポイルされてしまう。体調不良の中書かれた原稿がイマイチである、それをみなの協力によって書き直したものはとても良いものになっている。これが見事に表現されているので「ウハァ!」と素直に映画を楽しめる。
 この劇中に描かれる原稿は小畑氏(漫画原作の作画者)がどの程度協力したのか知らないが、マンガの人気勝負という、映画として画にならないものを納得させる小道具としてこの映画のバックボーンを支えたと思う。

 そういう、小道具の見事さや、主人公たちの青臭い感じ、編集部の見たことのある風景。
 あと、あの編集会議の、胃に来る感じ。

 マンガ業界モノとして、打ち切りで実家に帰ったり、体壊して死んだり、そもそもがヒット率の低いバクチであることにキッチリ触れた上で、とんでもない才能(そりゃ、高校生が、小畑 健の画力と大場つぐみのストーリー構成で持込してくるんだから)で、そこを駆け上がり、しかし駆け上がったところで、それがハッピーエンドにならない。という所まで描いている。描かねばならないものはキッチリ描いた、という印象。
 そこまで書いたからこそ、無茶な才能による快進撃もドラマとして腑に落ちる。
(もっと無茶な才能をぶつけて緩和してるのは、原作も同じだが)

■まとめ
 というわけで、非常にうまいまとめ方をしてあり、充分な完成度だと思うのだけど、映画館で見る意味がどれぐらいあるかというと、爆発もメカもサスペンスもスプラッタもないので、邦画のデートムービーの難しさはあると感じた。

 オレもamazonビデオのレンタルかPSビデオのレンタルかどっちにしようかで、SDなら数十円安かったPSのほうで見た。(HDならamazonのが安い)という程度である。

 派手な部分といえば、作画風景をアクションとして見せていくシーンなどもあるが、あれはわりと蛇足な印象も。
 映画館まで行く動機として、そういった派手さは必要だと思うので(実写進撃にせよテラフォーマーにせよ、それによるヒキが強い)。邦画の呪いはあなや簡単には解けまい。大変だなぁ。と。

 そういう地味さはあるが、もともとデートムービーだったり、出ている役者が人気にある若手らしい(よくしらない)し、実際興行収益は良かったとのことなので、この映画を撮影する才能も報われたことだと思うので、良かったな。と。

 マンガを描いてみたことのある人には、無条件でオススメできる気がする。

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