島国大和のド畜生
■次世代くん ■プログラム ■アンテナ ■LINKS ■過去ログ倉庫---
amazon_logo.jpg スポンサーリンク
映画:進撃の巨人(前編) 感想
 見てきたので感想を書く。
 レイトショー。人の入りは50%ぐらい。結構な観客動員だと思う。
 自分の予備知識を述べると、原作は最初の頃に読んでいて、エレンが食われてからの巨人として復活&ノーダメージあたりで「これがアリなら先に期待できないなー」と思い追うのを中断。しかしアニメで人気爆発したのであとから16巻ぐらいまで読んだ。熱心なファンではないが、話を知らないわけではない。
 以下の文章はその程度の知識で書いている。
 また、回りくどい言い回しを避けると、どうしても偉そうな文章になってしまうのが、ただの感想でえらそうにする意図はない。

 webでひどい評価を受けているがそこまでひどくないという印象。
 以下ネタばれ全快で。
■あらすじ
 謎の巨人が多数地上を徘徊し人を捕食する未来。
 人々は巨大な壁を築きその中で巨人におびえながら家畜のように暮らしていた。

 物語の主人公エレンは壁の中の生活に不満を感じていた矢先、巨人の襲撃を受け、幼馴染のミカサを失った事から、巨人と戦う為に兵団に所属する。
 なんやかんやで巨人化して暴れる。(途中で面倒くさくなりました)

■感想:主に見た目に関して。
 進撃の巨人を日本で実写映像化する際にネックになるのは以下だと思っていた。

・日本人ばかりの貧相な絵ヅラをどうするか。
・巨人をどうするか。

 この二つの問題に対し『特にどうもしない』という手段を選んでいる。
 どうにかして欲しかった。

・日本人ばかりの貧相な絵ヅラをどうするか。
 日本人ばかりの貧相な絵ヅラというのは別に日本人を貶しているのではなく、世界的規模の話で日本人しか居ないと無理を感じてしまうというもの。
 また、人間の目は見慣れたものはちょっとした違和感に簡単に気がつくので、それがマイナスに作用する。
 まったくの外人が、まったくの知らない土地で、同じような映画を撮影していたら、カルト映画として人気が出る可能性は十分あったと思う。

 しかし、日本人がやって日本人が見ると日常との切断が足りないため違和感が大きい。
 映画などで、外人が作ったなんちゃって日本のカットでフォントの選別から「日本じゃないな」と簡単に気がつくことがあると思うが。
 よく見慣れた日本人が、よくわからない軍服着込んで、異世界に居るという絵は、これはもう、コスプレ学芸会にしか見えなかった。
 日本映画なので日本人ばかりになっちゃうのは仕方が無いとして、背景との相性や衣装との相性をもうちょっとすり合わせて欲しいと感じた。

・巨人をどうするか。
 複数の手段で巨人を描いている。
 ・CGでやる
 ・キグルミでやる
 ・特殊メイクでやる
 ・生身の人間がやる
 それぞれの手段の混合で、巨人を表現しているが、しかし『生身の人間がやる』が多すぎると感じた。
 これは、見慣れた日本人ではコスプレ学芸会に見えてしまうのと同じで、見慣れたおっさんおばさんの乱痴気騒ぎになってしまう。見事に残念な絵ヅラになってしまっていた。
 もっと、CG,キグルミ、特殊メイクの使用率を上げねば、到底安心して見れる画にならないと思う。

 特撮には『心の目で見る』という言葉がある。
 誰がどう見ても、このゴジラはキグルミだがホンモノのように見せようという心意気を買って『心の目で見れば本物だ』と自分を納得させる鑑賞姿勢である。
 だがこれは、『ホンモノのように見せよう』という心意気への呼応なので、もうちょっと頑張れたんじゃないのかなぁと感じてしまうと、心の目は鈍ってしまう。

 第9地区という映画がある。エビ星人が大量に出てくる。これは人間の役者の演技をCGのエビ星人に置き換えている。エビ星人はシルエットは人間に近いが、明らかに人間やキグルミでは無理なスタイルの箇所があり、それが『これはエビ星人だ!信じてみればエビ星人だ!』という力になっている。
 
 これが、メイクをした人間だったり、キグルミでは『ああ、これがエビ星人と言うお約束なのね』と、表現限界の悲哀が出てしまう。
 予算の限界が表現の限界になる。

 ゴジラだってそうだ。キグルミを1個つくって、『これがホンモノのゴジラだ!』と言っても信じたくなる映像にならない。複数サイズつくって視聴者の大きさの認識を曖昧にさせ、アップ用ゴジラでは表情ギミックを仕込み、周りを飛ぶF15だって模型と実写を組み合わせ、ハイスピード撮影で巨大感を演出して、やっと心意気として成立する。
 これも予算の限界が表現の限界になる。
 工夫で多少はその限界を誤魔化せる。日本の特撮はその工夫の塊でもあった。

 この心意気の成立はその時々の最新技術や流行り廃りに影響されるので、ここまでやれば良し、というものは無い。
 特撮を見たい客は、その挑戦にこそ期待して映画館に行くわけだ。

 特撮映画における、ミニチュア家屋の破壊は、その精工なミニチュアと的確な爆着技術に興奮するわけだが、CGの物理演算がそれを超えてリアルな破壊をもたらすなら、もはやミニチュアはチープに見える。(現時点では実写CG混在の破壊が一番見栄えが良いと思う)とにかく最先端の映像が見たいわけだ。

 そして。
 進撃の巨人では、巨人の出ているカットすべてに、色彩的なフィルターや画像を粗す加工がかけられ、極力巨大な人間というウソが浮き過ぎないように作っている。
 このあたり丁寧な絵作りをしていると思う。

 しかし、おっさんおばさん裸祭りを『これは巨人ですよ』と言い訳できる程ではないのだった。

 キグルミのエレン巨人等は、まだ言い訳として通る。煙でごまかしている超巨大巨人も安心してみていられる。赤ん坊の巨人もそうだ。
 しかし生身に近い巨人は残念ながら安心感が足りない。
 巨人が、人間をズームアップしただけというのでは、映像見ながら素に戻ってしまう。

 これは予算が許せば、生身の役者の演技を部分的にCGに置き換えて(顔や、人間では無理な形状)現実的な人間との切断処理としてあれば良かったと思う。

 生身の巨大な人間が攻めて来て食われるというワンアイデア作品なので、生身の人間部分を残す必要は理解できるのだが、日常と繋がりすぎてしまうパーツ(顔とか)を、もっと非日常にしておかないと、お笑いカットに見えてしまう。事実映画館では失笑が漏れていた。
 漫画の巨人も劇中の人間とはちがう体型をしていたので(手足が極端に細いなど)、そういう処理をしないと、ただの変なおっさんおばさんになってしまい、物語から冷めてしまう。
 もちろん特殊メイクで口裂けにしたりはしてあるのだが、残念ながらあからさまに作り物っぽかった。
 そういうのをどこまでごまかしきるかが勝負なので。この辺はもっと予算を割ければよかったのだろうと感じた。予算内で精一杯。

 さらに巨人が基本的にスケール変更した人間の合成で、背景も合成のため、距離感に乏しく、大小の巨人が大群で攻めてくるという絵が平面的になってしまっている。

 予算ほしいよなまったく。という感じ。

 他、ネックとは言わないまでも、進撃の巨人を日本で実写かするにあたり問題なりそうな箇所として。

・ロケハンをどこでやるか
・役者をどうするか


 があり、これらは、シナリオを弄る事で回避されていた。

・ロケハンをどこでやるか

 原作は、中世ドイツ風の背景と深い森が舞台だが、そんな場所に日本人が団体で居ては、コスプレ旅行になってしまう。
 現代より後の時代というのを、原作よりさらに強めて、町並みは無国籍に、森はビル街の廃墟に置き換えられた。とくに日本の高度成長期の団地の廃墟のような絵作りをしていて、日本人顔がそこに居ても違和感が薄い。これはやむを得ずだと思うが、成功していると思う。
 しかし、馬をオミットし車にした時点で、もっと色々なものが瓦解している。

・役者をどうするか
 自分は役者に詳しくないのだが、多分名前で客を呼べるキャスティングなのだろう。それは国産映画において絶対条件なのでしかたがない。
 しかし、原作では10代前半の少年少女が、20代前後になっているので、幼過ぎる行動が見た目とコンフリクトしている。
 この配役ならもっと、シナリオを弄らないと無理がある。
 あと無理やりのお色気シーンや、誰も彼もが立体機動なんてできそうも無いとか、配役の無理はハンパないのだった。
 これがアメリカ映画なら役者がブートキャンプに叩き込まれて軍人的な心構えと動作を叩き込まれてたりする。(予算あるっていいですね)

・良かった探し
 ココまで全体的に苦言ばかりに見えるかも知れないが、もちろん先に述べた通りそんなに悪い映画ではない。
 主に良かった絵ヅラを入れておく。
 大型巨人、エレン巨人、赤ん坊巨人など、生身の人間から距離のある巨人に関しては、それなりに見れる絵となっている。
 立体機動装置も、バカバカし過ぎないように、なるべく装着者のアップショットで背景を高速に流すカットを使って移動感をつくり、カメラを引いたカットを減らしている。カメラを引いたらギャグにしかならないから。
 こんなの実写じゃギャグにしかならないよなーという、ギリギリ付近で、よくガマンしてると思う。

(と思うがやっぱりギャグではあった。もっと上手いごまかしを期待していた)

 マッドマックスのウォーボーイズのシルクドソレイユ攻撃とか、あのヘンのギリギリの上手さってのはハンパないなと改めて感じる。(予算規模的に比べてはいけない)

 そしてラスト付近のエレン巨人大乱闘。
 登場シーンは、食われた巨人の口を裂いて現れるという、それサイズ的に腹を裂いてでてくるだろう、首をよく腕通ったな、というギャグみたいな感じではあるのだが。
 引き裂かれる巨人もちゃんと引き裂かれずドカーンて感じだし、まったくここまで伏線なしなので、あららららと言う感じでは有るのだが。
 それでもその後のアクションは良かった。
 殴っては頭蓋がパキャりと割れ、蹴っては盛大にすっころび、巨人プロレスとしては十分なアクションであり、映画のラストに持って来るのはここしかないだろうという感じだった。


■感想:主にお話について
 前編だけを見て感想をを書くのもどうかと思うが、映画は単品で評価されるべき派なので書く。

 原作ファンからは評判が悪いようだ。
 キャラ相関の改変などは自分は気にならなかった。映画の尺では必要だろう。
 しかし、その変更が、上手く行っているかというとそうとも言い切れないので首をかしげた箇所が何個かある。
 キャラクターの行動原理が幼く、時に意味不明である。
 原作では10代前半ぐらいの見た目で描かれる少年兵なので、わからないでもないが、実写映画では20前後なので、青臭いにも程があり、バカに見える。
 このあたりは丁寧な調整が必要な箇所だと思う。
 主人公が巨人の襲撃をうけヒロインを連れたまま、なぜか人波をかきわけて逆方向に移動する。意味不明だ。主人公の魅力を描く前なのでなにやってんのこの人状態である。
 巨人が潜む廃墟でイチャつき始める。ヤキモチ焼く。
 バカデカイ巨人の接近にまるで気がつかない軍隊。
 何だこの人たち状態である。

 精鋭部隊が死に絶え、口減らし同然に集められた部隊にせよ、もう少し職業軍人的な動きはできぬものか。訓練され、能力のある兵員が、それでも圧倒的な巨人に倒されていくから盛り上がるであろう話が、一般人とさほど変わらない隊員では見所が削がれる。

 また物語の配分が、微妙に感じる。
 冒頭に世界の説明をナレーションとイラストアニメで済ませたあと、日常やキャラ紹介を平穏な世界の中で行い、その後突然の巨人来襲パニックとなるのだが、事件が起こらない時間が長い。ダレる。ここでキャラクターに親近感や好感を抱くようなエピソードがあればいいが特にそういう感じでもない。説明のための説明、タメのためのタメ。
 もちろん平穏な日常があるからこそ、破壊が生えるのだが、だからといってダレ過ぎな印象をうけた。立体機動の訓練シーンでもやっときゃいいのにと思った。

 ゴジラ映画でゴジラが出るまでヤキモキさせる、という手法があるが、ああいうヤリクチの成否はかなり難しいと思う。飽きちゃうのだ。
 カリオストロの城やラピュタ、マッドマックスが1アクションのエピソードで説明をささっと済ませるように、説明のための説明シーンよりは、見所のあるシーンで説明してほしいというのは、娯楽映画だと普通の感想だと思う。

 そして2年後となり、火薬を運ぶため危険な壁外に主人公が赴くわけだが、どれぐらいの距離でどれぐらいかかるのかが曖昧なため、緊迫感が伝わらない。
 というか、車なのだしとっとと行って帰ってくりゃいいのに、単独行動してバラバラでウダウダしている。いくら寄せ集め部隊とはいえダラダラし過ぎで規律がない。
 物語が前に進んでいる感じが足りないのは致命的だと思う。

 そんな感じでシナリオや演出がぐだぐだしている。

 とにかく、マを持たせる芝居が、マが持たずにタルいとか。
 セリフが微妙であるとか。(生身の役者が発音するようなセリフではないアニメ的)
 シナリオに関しては、かなりの問題が散見され、良かった探しが難しい。
 これはしかし、原作の良かったを探すと『狂信的に突き進む人たち』による物語の進行感が良い所だと思うので、エレンの性格を変えた時点で、難度が跳ね上がっている。
 でもリンゴ食ってる場合じゃないのは栄が見た人のほとんどの感想ではないか。もうちょっとさくさく話を進めろよ。

 プロフェッショナルが巨人と対峙してもなお負ける。
 巨人を駆逐するため猪突猛進する主人公。

 物語の柱2本を変えたので、非常に話に悪影響がある。

■感想:事前情報に関して

 じぶんはシナリオに関して以下を残念に感じた。

・巨人が出るのが遅い
・立体機動装置が出るのが遅い
・エレンの性格を変える


 それぞれ、映画がタルい理由になっている。
 これは上手くやればタルくなら無いと思うので、難しい選択を選んで失敗したのではないかと感じる。

 脚本に名前を連ねる町山智浩氏が、公開前の何かのトークで上記の原作との変更は原作者の要望であると語っていたそうだ。公開前から言い訳をしていたわけでガッカリ3倍である。


■感想:どうでもいい話
 ネットでは大変悪し様に言われているが。
 それほど悪くないというか、みんな普段いい映画見てるんだなというか。
 基本的には、お化け屋敷とか、ライドとか、絶叫マシン的な楽しみかたをすればよくて「わー巨人だ! キャー食われた!」みたいに見てればそれなりに楽しめると思う。
 アトラクションムービーとしてはテンポ悪いとか、行動原理が微妙だ。とかは、マッドマックスとかが上手くやりすぎていただけで、進撃の巨人はギリギリセーフに数えれるんじゃないかな、え?ダメ?

 あと、グロいグロいと言われていたが、たいしたことは無かった。
 もっとこう、口の中で咀嚼されて、パキャッとかアバラや頭蓋が割れて、血がブシャーとか口いっぱいに広がって、、見てて口の中に血の味が広がるようなのを期待してしまっていた。(期待しすぎ)
 そしたらぜんぜんファンタジー的処理というか。
 だって、飲み込まれた胃の中でが、先に飲まれた人が見えるぐらいの明るさ。光源どこだよ。何でそんなに明るいんだよ。一寸法師かよ。みたいなリアリティレベルなので、そんなにグロいわけではなかった。

 まぁそういうのがキライな人も居ると思うし、子供が見に来る映画でもあるので、批判があるのはわかる。

 ついでに書いておくと、これは視聴者としての自分の欠点だが、人間を見分けるのが極端に苦手なため、誰が誰だかわかり難かった。みんな黒髪で似たような顔していてつらい。もうちょっと差別化してほしい。(わかる人にはあれで十分だろう)
 これも、洋画で日本で公開されるようなのはとても気を配っている。日本映画は役者の見た目ありきなのでつらい。

 途中でも書いたように、たとえばこれ、同じぐらいの予算でヨハネスブルグあたりで現地人で撮影してたりしたら、カルト人気を誇る映画になったと思う。
 日本人が日本語喋ってる映画を撮影するとどうしても日常と接続してしまうから、それを切断するためのコストが高い。仮面ライダーやウルトラマンは片足を日常に着地しているからどうにかなる。
 ガンヘッドみたいに外人の役者を使えばいいって話でもない。

 まだまだ、色々と工夫の余地があって、いい手を思いつけば、十分戦える映像にもお話にもなりそうだし、後編で何か1コぐらい隠し玉があってもバチが当たらないだろう。

 お勧めとは言いがたいが、ネットで見かけるほど悪し様に貶すことも無いだろうという映画でした。(個人的感想)



 上から順にがーと書いたら糞長くなったのであとでてにをはと重複を直す。

ワークエリア
スポンサーリンク
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
COPYRIGHT © 2004 POWERED BY FC2 ALL RIGHTS RESERVED.