島国大和のド畜生
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映画 THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦 感想
 見てきたので感想を書く。
 レイトショーで俺を含め観客5人。足投げ出し放題。
 ネタバレ全開で書くので、未視聴の方は回れ右してください。
 えらそうな書き方になっていて、われながら上から目線だなと思いますが、これ下から目線で書くと読むほうもウザイと思うので、所詮ファンの一感想として読み飛ばしてもらえれば幸いです。
■あらすじ
 劇場アニメパトレイバー2(1993)の世界観と物語を引き継ぐ実写長編。
 かつて日本で武装蜂起し首都圏を戦争状態にした、柘植行人のシンパがまた武装蜂起を引き起こし、特車2課がこれにあたる。
 同じことの繰り返しである為、プロセスなどはざっくりと削られている。
 今回は、光学ステルスヘリを用いた小規模テロとなる。

■3行感想
『雑な映画だなぁ』
『絵はいいし、面白いトコロは面白いんだけど』
『さすがに焼き直しとアラが目立つなぁ』

■俺が求めたものと得られたもの

・1本の映画として成立するものが観たかった。
 12本の短編+1としても、1本の映画としての完成度があるものが観たかった。
 しかし前作などの知識がないと楽しめない箇所がある映画だった。

・それなりの映像を見たかった。
 国産映画だと思えば文句をつけれない出来。マッチムーブ(実写とCGの合成、特に手ブレとかカメラの動きとの合成を指して言うことが多い)も良く出来ているし、セットも金がかかっている。
 アクションも国産だと思えば十分。
 一部の航空アクションは見事であった。
 アメリカのお高い映画と張れるレベルに達したかもと思う。

・新しい話を観たかった。
 殆どのタテツケ、動機、問題解決が、パト2の焼き直しであった。
 しかも、「前任者」「初代」と、前作の話ばかりしている。
 別にまるっきり新しい話がいいというのではなく、それなりに新味が欲しい。
 光学ステルスヘリだけではちょっと物足りない。
 武装蜂起への流れは随分端折っていてそのプロセスが快感であったパト2と比べると地味。
 そして先代、先代、言いすぎ。映画を単独で楽しめないものにしている。

・楽しめるシナリオが欲しかった。
 人物の心の動きが唐突で、感情の動きが理解できない。
 それならそれで、カメラ刻んで勢いで流せばいいのに、流せてない気がする。
 謎やギミックはほぼ流用だし、この映画ならではという部分に欠ける。
 いろいろ雑だ。

・俺以外や、押井監督好きとかで無い人にお勧めできる映画を求めていた。
 難しいトコロ。楽しめるかも知れない。
 ずいぶん尺の長い銃撃戦+航空アクション+レイバーによる射撃と、押井守としてはサービス精神旺盛。
(しかしレイバーの登場は遅く、他作品を見ていないと物語のタテツケの説明も足りない)

■ざっくり感想。
 期待していたものとは近いながらやはり違うので特に不満が大きくグチっぽいことばかり書いてしまうが、面白くなかったわけではない。映画を観ている間は十分楽しかった。

・一番問題に感じたのは雑なシナリオ。
 映画単品としては成立せず、しかもTHE NEXT GENERATION内でも完結しない。

 その上、アニメ作品と実写作品を同一時間帯上に置く都合上、それをつなぐ南雲元警部補が声の出演となっており、とてもカッコイイ声ではあるが、実写作品との違和感が大きい。
 それに代表されるように、アニメと実写の差をとくに丸め込もうとしないシナリオの為に違和感がアチコチで発生する。
 高島礼子の演技やカメラでの捕らえ方が完全にアニメのそれなためツライ感じになっている。セリフが実写で生身の人間が発声する用にこなれていない。
 もちろんこんなのはギャグだったり全編を通してそういうものですよという演出であれば気にもならないのだが、普通にサスペンス&ポリティカルフィクション&アクションとしてお話が動いているのでどうしても気になる。
 他短編ではコメディ調の特車2課の面々が違和感を和らげるわけだが、今回はそれも控えめだ。

 全体的にシナリオが雑で登場人物の心の動きに納得感が足りないし、各種組織の動きにリアリティがない。それを上手くごまかす小技も弱い。

 登場人物の心情の動きに納得感がない事をもうちょっと書くと。
 特車2課の面々が、命を賭けて出撃する事を納得するだけの積み重ねが足りなく感じる。
 これはパト2では無理があるなりに上手くやっていただけに気になった。
 パト2の後藤は強制も命令もしないといいつつ隊員の選択肢つぶしてあったし、ココで引けば後がない状況が構築されていた。自衛隊の出動自体が敵の目的なので特車2課でやるしかない。
 アニメなので都市部に自衛隊を繰り出せるし、戒厳令下の都市も描ける。そういう緊迫した画面と世界の切り取り方をして、登場人物が追い詰めた状態を用意。
 この状況下にこのキャラクターが置かれたら、まぁその選択肢に乗るだろう。そういう状況を組み立ててある。
 それに比べると実写版では、これ自衛隊と機動隊の仕事だよなー、肉弾戦で特車2課が出張る意味殆どないんじゃないの。という無理が祟っている。(リボルバーカノンが有る、ってだけ。)
 実写で表現し難いのは解るが。
 理屈をどう捏ねても、あそこで肉弾戦に行くだけの説得力が足りない。誰も死なないで済むだけの説得力も足りない。

・タテツケの焼き直し。
 ベイブリッジのミサイルによる破壊から始まり、東京を戦争状況にするという目的、それに対抗する為の2課の超法規的活動。これはパト2の完全な焼き直しである。でその理由をパト2の物語のキーマンである柘植のシンパの行動であるとする。
 これはさすがにいただけないと思う。もちろん前作を超える面白さがあれば問題ないのだが。

「またか」と映画を見て思った時は、ロボコップ2を思い出すのだが。
 ロボコップ1で人間性に目覚めたマーフィとしてエンディングを迎えた癖に、ロボコップ2ではまた最初に戻って人間性の回復物語をやる。もういいそれは前に見た。同じことをやるなら上回ってくれ。というアレ。
 タテツケが同じならまるで違う方向にオチがつくとか。予想をどんどん裏切っていくとか。
 同じネタを繰り返すのであれば前回よりパワーアップしてなければ見る意味が無いからやる意味が希薄。

 前はアニメだったが、今度は実写だ!

 これに価値を感じるなら、問題はないと思う。面白いし。いい絵になってるし。

 しかし、実写の弱点が多く出ている。
 パト2はアニメだったので、自衛隊の警備出動(都市部雑踏の中に戦車を出撃させる)という絵的にインパクトのある技を使えたが、実写では難度が高いので、本作では、F16の出撃ぐらいで、パワーダウンして見える。
 敵も、複数のレイバー(多脚砲台)と戦闘ヘリを使っていたのが、戦闘ヘリ1台と一般車両だけなっている。

 また、後藤田と高島礼子が、水族館や高速船で河川を移動しながらウンチクをこね回すのだが、アニメでやったことのやり直しに見えてしまう。
 しかもアニメでは「描いた物しか画に出ない」故に、マが持つ映像だったが、実写だとカメラを回せば背景が撮れてしまうので、映像が持つ意味がボヤけてしまっている。
 というか舞台が水族館や河川であるのにちょっと無理がきている。このあたりアニメ版パト1、パト2はちゃんと説明があった。(帆場の足跡を負う、盗聴対策、その他)
 実写では説明が弱いのでこういうカットが欲しくて舞台に選んだ、というのが強く出すぎに見える。

 そんな感じでアニメの手法を実写に持ち込む時に咀嚼しきれてない印象がある。
 お話のタテツケが焼きなおしなのでなおさら目立つ。

「今回はパト2と実写の16年の差分そのものを描くことがテーマ。」
 みたいな事をインタビューで言っていたが

 そのテーマを客が見たいかどうかは別の話だし。
 映画単独でもうちょっと楽しませて欲しいと思う。
 映画館に行って観る、というのは2時間で済まないコストなのだから。

・アクションは国産品だと思えば十分以上のクオリティ
 ガンアクションや格闘はまぁそんなもんだろう、というレベルだが、国産でまぁそんなもんだろうレベルのアクションが見れるなんてめったにない。

 航空アクションは、おそらく国産ではベストで、これを超える作品は知らない。
 ステルス戦闘ヘリのゴーストハウンドとF16、コブラあたりの絡みは非常にいい感じだった。
 あれは劇場で見る価値がある。

 しかし、あの鈍重なレイバーで、弾速の遅い散弾で、火器管制使わずに、その他の要因もあるにせよ、勝てるか?というとちょと無理があると思うんだ。
 灰原(ヘリのパイロット)が、遊び的に戦闘をやってるってのが無いと成立しない。
 その辺を「娯楽映画だから」としてアリとするなら、もっと娯楽に徹するべきところはいくらでもあったと思うので、余計に気になる。
 警察本部への強襲や、それでも生きている後藤田など、前作との対比として彼岸の戦争がこちら側に来たカットが必要だったのだろうが、いやしかしソレをやるならもうちょっと上手くやらないと、無理があり過ぎる。、

■どうでもいい感想
 かつてアヴァロンを撮影してた時「あっちの人は演技が大味だ。ニヤリと笑うとかが極端になる」みたいなことをインタビューとかで答えていた気がするが、今回戦闘ヘリのパイロット灰原は口元しか見えぬヘルメットで、ニヤリと口を歪めている。
 これがとても漫画アニメ的な記号過ぎて見えた。演出の問題じゃないのこれ。と思いながら観た。

 アニメならば自然に流せる演技が、実写だと目に付きすぎる、そういうカットが多い。高島礼子の喫煙強調とかスローモーションとか。これがアニメ的セリフとあいまって、違和感を生み安っぽく感じる。
 もっと自然な感じにやってもバチが当たらないと思う。題材的に。
 赤い眼鏡では過剰な演技と長台詞が気持ちよくハマっていたが、カウンターテロアクションやりながらそれは難しいだろう。
 カット刻んでプロモーションビデオ的にサクサク流せばそれでもカッコいいリッチな画像になるかも知れないと思うのだが、それはまぁ好みの問題だろう。
 脚本を違う人使うとか、脚本補佐入れるとか、プロデューサーが突っ込み入れるとか、そういうのがあると良かったと思うのだが。
 まぁ現場での力関係は知る由も無いのでニントモカントモだ。

 個人的にはとても楽しめた。
 映画館でみたかいがあった。

 しかしもっと上(たとえば海外で高く評価されるとか。国内で驚くほど売れるとか)を目指せる題材と座組で作られた映画で、しかも映像的にはほぼ満足がいく出来だったので、あとちょっとなにか、一皮剥けなかったのが自分的にはとても残念な気がしている。

 まぁ、ないモノねだりでしかない。
 楽しめたことに感謝して寝る。

 多分俺は、パシフィック・リムとかオール・ユー・ニード・イズ・キルとかに、勝つようなやつが見たかったんだろう。
 それも、局地戦じゃなくて真正面から、工夫で。


 追記:
 ほかの短編も一応感想書いてる

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