島国大和のド畜生
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漫画 喧嘩ラーメン 感想
喧嘩ラーメン
 最近読み終わったので感想を書く。面白い。
■あらすじ
 名店、しょうゆ味のがんてつラーメンの息子、源田義経は元暴走族の総長だが、ラーメン作りの腕がある。
 バイクで各地をめぐり、手打ち麺や豚骨スープで勝負を繰り広げ、一回り大きくなって、がんてつらーめんを超える自分の醤油ラーメンをつくりあげる。

■感想
 作者の土山しげるは読みやすい線の整理された劇画調の漫画を描く。
 もともとアウトローものが得意であったが、喧嘩ラーメンは、暴走族+ラーメンとアウトロー+グルメという組み合わせとなり、後に喰いしん坊!でブレイクする足がかり的な位置ではないかと思う。
 土山氏の描く食品は、大変美味しそうに見える。写真をそのままトレスしただけのようなグルメ漫画もある中で、絶妙なデフォルメと線の省略がイカしている。特にカラーが凄い。色の選び方、ツヤの入れ方が見事だ。

 お話自体は、週刊漫画ゴラクに連載されていたこともあり、いわゆるああいうザックリした感じ。
 定職屋や床屋においてあって、どこから読んでもOK、どこで読み止めてもOKといったつくりになっている。
 キャラクターも類型的で、悪人は悪人ヅラしているし、情けない人は情けない顔をしている。これは読者層を考えればそれが正しい選択なのだと思うが、この後、食キングを経て、喰いしん坊!あたりで、ウンチクの捏ね方や、キャラの意味不明な立て方などに脂が乗ってきて面白くなっている。
 喰いしん坊は、大食い勝負を生業とする男が、カウボーイ的なコスチュームで2丁拳銃のように両手で箸を操りラーメンを冷ましながら食べるとか。敵の大食い集団が、食べ物を圧縮する、ジューサーで混ぜて飲み込むなど、食欲を失うような食べ方をする「邪道食い」である、などの価値観の対立とか。とにかくハッタリのカマしかたが上手くなっていく。
 倒すべきである敵の価値観があり、美味しく美しく食べるという、読者の正義感に合致する主人公が設定されている。
 そういう仕掛けに比べると、喧嘩ラーメンはシンプルなロードムービー+ラーメン勝負であり、勝ち負けの理由もそれほどハッタリが効いているワケではない。
 主人公はカジュアルに暴力を振るうし好まれるキャラかどうかは難しいところかもしれない。(漫画ゴラク読者的にはアリだろう)
 土山しげるは漫画家生活が長く、『銀河戦士アポロン(UFO戦士ダイアポロンとしてアニメ化)』の作画などから脈々と芸風を小変化させ時代にすり合わせていて、非常に手堅い、技術のある作家という印象がある。

■カジュアルな暴力
 以下からは喧嘩ラーメンの感想ではなく、「俺が劇画における暴力表現をどう感じるか。」みたいな話である。
 昔から暴力表現は好きであり、映画の良し悪しは血のりと火薬の量で決まると思っているクチではあるが、最近暴力が苦手になった。アレほど好きだったボクシングやフルコン空手が見てられない。
 これが老いというものだろう。子供の頃のような無邪気さが無くなった。

 今でも、映画での痛々しい暴力は、フィクションだし暴力として楽しめるのだが、フィクションでも軽い扱いの暴力は、素直に楽しく飲み下せなくなってしまっている。
 子供たちを見ていると、アンパンマンやトムとジェリーの暴力表現(あれものすごくバイオレンスだよね)が大好きなので、暴力を楽しめるかどうかは「現実的な暴力の痛みへの想像力」の有無によるのかなと考えている。歳を食って痛みがリアルになって来たというか。
 だからこそリアルに表現された暴力は平気だし、コミカルなものも平気だが、距離感が曖昧なものは気になるという。

 なので、喧嘩ラーメンで描かれるカジュアルな暴力がどうにも苦手だった。
 カジュアルだからこそというべきだろう。暴力沙汰が多い他、わりとカンタンにドンブリを割ったり、材料を捨てるのも気になる。
 なんだこれ、読者としての小姑化かよ。まいったなーなどと思う。(自分のことなのに制御出来ない)

■キャラクターの魅力
 やんちゃでケンカっぱやい、頭が悪くて直情的、口も悪くてヒネているが、人情味はある。
 みたいな感じの主人公だが、わりと人情味の描写が少ないので、けっこう嫌なキャラクターになっているかもしれない。
 このあたり少年漫画だと、心根の優しさや、絆の強さ、いい人であることを、しっかり描写して、共感を得ることを重視するわけだが、流石の漫画ゴラク作品である。
 ただこの、社会通念的な正しさ(少年ジャンプ的な正しさ)というのは、わりと漫画のヒットには重要なのではないかと感じていて、土山作品のブレイクは喰いしん坊からであるとすると、喰いしん坊の主人公の大原満太郎は比較的礼儀正しく、ストイックに求道的であり、相手が邪道であったために善性が際立ち、解かりやすい魅力があったのではないかと思う。
 このあたり、ずっとモヤモヤしていたのだが、荒木飛呂彦の漫画術を最近読んだら、主人公の魅力をどう組み立てるかへの言及があり、「主人公の行動や動機が読者の自然な倫理観に合致する必要」を説いていて、非常にしっくりきた。字にして読んでしまえばそりゃそうだ。みたいな。

■まとめ
 漫画読んでおいて、まったく別のこと考えてしまうのは悪い癖だが。
 喧嘩ラーメンは面白かった故に、細かい引っかかりを感じ、それが何なのかを自分なりにこね回してたら、別のまったく関係ない本に解答が書いてあったという、それは俺以外の人に意味があるのか?という読書体験であった。
 いや意味ないんだけど。
 そもそもこのブログは自分のメモ帳チラ裏なのでカンベンしてください。
 喧嘩ラーメンも、喰いしん坊も、荒木飛呂彦の漫画術もオススメです。

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