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漫画 今日もいい天気 原発事故編 感想
今日もいい天気 原発事故編 (アクションコミックス)

非常に漫画力の高い漫画家、山本おさむの、日常漫画。であったのだが、作者が福島に一戸建てを購入し、そこで生活をしていた為にいやおうなく巻き込まれた福島原発事故の話題となっている。
 職場(作画スタッフもつめるマンション)が埼玉にあり、逃げ場のない避難民よりはマシ、他県とは比べ物にならないという、被害のグラデーションの中で絶妙の位置から描く。
 掲載が、赤旗(日本共産党機関紙)の日曜版であることも含め、反原発寄りだが、現場で苦労する人に寄り添った視点となっている。
 同じ作者のそばもんの福島編は、コレはひどいと言われた美味しんぼの福岡編と対照的な距離感のある視点であった為に印象に残っている。
 漫画の感想とあわせて自分の事故以降の感覚を書く。


 さてこの「今日もいい天気」だが、夫婦と犬で暮らす作者が、福島から職場のある埼玉に避難し、付近で賃貸を狩り、福島で除染をし、また福島に住むことを考える内容となっている。
 また、他にも何人かの例が紹介されている。

 自分は、福島には知人は居るが直接の縁が薄く、震災時も家族を嫁実家に疎開させてもらっただけで(あの頃は東京圏は電力不足と物資不足があり、乳幼児抱えて生活するにはハードすぎた)大掛かりな影響は受けていない。
 自分の仕事は当時ネトゲ絡みだったので、電力が直結するので非常に困ったし、娯楽というのは日常の安定があってこそなのでそれも困った。それでも福島の人から見ればまったくもって安穏とした日常だったと思う。
 交通機関のマヒで何度かひどい目にあっているが、現場とは比べ物にならない。

 作者は、漫画の中で、自分はマシなほうだし、語れるのは自分のことだけで、ほんとうに大変な人のことは書けない、といった態度を取る。表現に対しての責任の所在を自分に持ってきている。
 東電への怒りを露にし、原発行政を進める、のらりくらりとした政府を批判する。

 当時のテンションを再現しており、今読んでも あの時のやり場のない怒りを思い出す。そして現場はまだそのような状況が続いている。
 現場と非現場というのも実はなく、全ては地続き電線続き空気続き。
 今もまだ、安定したわけではないし、悪化の可能性も高い。いまさら言うかという情報も後から出てくるだろう。

 我が家は小さい子供が居るので、今でも時折、空間線量を各種ホームページなどで確認する。
 最近でも時々とても高い数字を示す。雨や、風向きによるのだろう。
 また、原発付近の計測器は停止したままだし、80km付近は非常に高い数字を指したままだ。
 福島の人もそれ以外の人も、受け入れるしかないので受け入れている。忍従している。
 最近メディアに出てこないので、済んだ事の様な雰囲気すらあるが、何も終わっていないしこれからも危険を抱えている。

 また、漫画中に再稼動に怒るシーンがある。
 しかし、これは難しい話で、止めていれば安全というものでもない。
 さらに言えば、電力を原子力以外に頼ることは、経済的な問題以上に、シーレーンの問題にもなる。石油の輸入ルートは、限られており、中国の圧力に晒される。
 反原発は、そのまま中国やそれと利益を同じにする国を利する。運動母体に重複があるのは仕方がない。

 行くも地獄、戻るも地獄、止まるも地獄なのが、原子力行政ではないか。

 原発は借金のようなものだと思う。
 負債を未来に押し付ける事で、現在を有利に振舞うという意味で。
 借金せずに生きる事が出来ればそれがベストなのだろうが、他国も全て借金している。資金繰りで大きく差が出る以上無借金経営では立ち行かない。
 さらに言えば日本が原発を停止したところで、韓国、中国で事故があればどうせ汚染される。

 正解が無い状況下、甘い汁を啜り危険を人に押し付ける人たち。しかしその電力のメリットは我々も享受している。
 こういった複雑な感情はどうしても処理しきれない。

 原発行政は長期的視野が必要だろう。そしてそれらの情報は我々には公開されない。
 安全保障にも関わってしまうから。それは仕方が無い部分でもある。

 情報が無いなら考えても無駄で、考えても無駄な事は思考停止するしかないのだが。
 しかし掛け金が、命やら未来やらと、重すぎるので。

 難儀な話だなと思う。

 漫画は、生活者としての作者の視点と、その周囲、飼い犬のコタを通してブレることなく書かれている。
 そういったものを見て、そこから何を考えるかは、読者次第なのだろう。

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