島国大和のド畜生
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映画:パシフィックリム 感想
 パシフィック・リムを見た。
 ロボットもの、怪獣映画が好きな人は、全員、観に行くべし。

 以下ネタバレを記述するので、まだ見てない人は回れ右して映画館へ。


■感謝したい
 なるべく情報を入れずに見に行った。
 たぶん「面白いが、悔しい」(こういうのに関われない自分や、日本の映画界の悔しさ)という感想になるのではないかと思っていた。
 違った。
 一番近い感想は「感謝」だ。これは感謝したい。監督、愛してる。


■俺史上実写ロボランキング1位
 もちろん、微妙なところや突込みどころは大量にある。
 あるのだが、それを押し流すだけの勢いがある。
 いっちゃなんだが、すばらしい。
 俺の人生における、実写ロボット映画ランキング1位が塗り替えられた。
 ちなみに2位はゴジラvs釈由美子、3位はロボ・ジョックス、その後トランスフォーマーに続く。Gセイバーはカウントしない。
 24年目にしてガンヘッドの解毒がなった。


■感謝したい映画
 パシフィック・リムがなぜ感謝したくなる映画になったのか。

 たぶんコレは「この映画のジャンルをリスペクトしている」のが本当に感じられるからだと思う。

 悪い例で出すので本当によろしくないし、マナー違反だけど、たとえばトランスフォーマー3部作がある。
 それぞれ映画館で、字幕と吹き替えを見たし、DVDも家に転がってるし、玩具もアホ程持っている。とてもよく出来ているし大好きな映画だが。

 でもトランスフォーマー映画って「ロボットに愛がない」よね。

 おそらく監督(マイケルベイ)にロボット愛がない。スタッフにはある。監督が欠いた愛をスタッフが埋めてる。
 そのイビツさに、好きなんだけどもにょもにょした感情が出てしまう。

 パシフィック・リムの監督(デルトロ)が、どれほど怪獣やロボなどの日本の文化に造詣が深いかは、よく取りざたされるが。それでも映画館でこれを見るまでは信用しきっていなかった。
 アメリカ人は平気で日本のコンテンツ切り刻んでアメリカナイズして「どうだいよくなっただろ?」的な事をやる。ロボテックとかボルトロンとかハリウッドゴジラ、ライオンキングにケチをつけるわけではないが。
 日本を扱った映画におけるモニョった感じ、好意的に扱っていても、ありがたいけどちょっとコレジャナイ感、みたいなのはどうしてもある。

 パシフィックリムはほとんどモニョらない。
 日本でのシーンは、看板の日本語フォントが日本製でないことによる違和感があるが、そんなものぐらいしか引っかからない。

 そして、違和感の無い、ロボット、怪獣。
 パシフィックリムは、ちゃんとオリジンへの敬意がある。

 「ロボット愛」「怪獣愛」にあふれている。
 残念ながら、日本人が大予算でこれを撮ってもこれほど純粋に愛を感じる出来にはならなかったんじゃないか。絶妙な距離から、日本のロボット、怪獣を見ていたデルトロだからこそ出来たと思う。

 別に見て泣くような 映画ではないのだが、泣きたくなった。
 絶叫する偏執的なラブソングを聴いた感じだ。

 見たいものを見たい形でリスペクトをこめて作ってある。
 感謝を感じてしまう。


■キグルミ巨大怪獣
 怪獣の表現が見事だ。
 なんかイグアナに逃げてしまったハリウッドゴジラや、どこまで出来がよくてもやはりキグルミである日本の怪獣映画と違って、怪獣(カイジュウ)が、実際にいたらこういう感じだろ?というところをガッツリと真正面から表現した。本当にデカイキグルミが暴れているようだ。
 ゴジラvs薩摩ドリルが、ミニチュアワークがすばらしくまるで現実のようで、しかしキグルミがショボかったので、ぱっと見、1/1の本当にでっかいキグルミが現実で暴れてるような、不思議な映像だったのだが、パシフィック・リムでそれを思い出した。
 キグルミ的質感の怪獣だが、そのでかさにあわせた表面処理によって、ああいったキグルミ怪獣が本当のサイズでいたらコレだろうと思わせる良さがある。
 怪獣映画を撮影するとして「怪獣にキグルミ的エッセンス入れようぜ?」とか、冗談でなくて本気でやるというのは、凄い判断だ。


■ロボ
 メカデザインには自分はやかましい。どんないいメカデザインでもケチをつけるところを見つけてしまう。
 パシフィックリムのロボット「イェーガー」も、デザインとしては大味だし、ギミックとしては冗談のようなものだ。
 しかし世界観にピッタリ合っている。
 怪獣、ロボ、から世界を組み上げていったのだろうからそりゃ合うだろう。

 シルエットとしてガッチリしており、無駄に線は多いが稼動軸が意識されたデザインは、ハリウッド的な、線が多くてガチャガチャしてるけどパーツの意味が良く解らないメカより好感触。
 冒頭、世界観の説明がクドイほどあり、怪獣が現れてからの世界の動きが語られるが、事実クドイのですっ飛ばしてもいいんじゃないか(物語の進行にあわせて小出しににおわせる程度でいい)と思うのだが、これはたぶん劇中登場するロボがそれぞれ個性的である理由の説明として、必要だと判断されたんじゃないのか。(各国が製造するロボ「イェーガー」と怪獣との戦いが何年にもわたって続き、その後休止される。何十台もあったロボは数台が現存するのみで、複数世代にわたるので、それぞれデザインが大きく異なる。)

「個性的なロボと怪獣が定期的に戦う世界で、物量作戦が出来ず、パイロットは2人組である。」

 この設定に合致するように、それ以外を固めていった印象。



■世界観
 ロボットは、神経接続型のマスタースレイブ方式で、2人で操縦する。接続時は2人の記憶が共有される。
 怪獣は深海にあるワームゲートを通って定期的に現れる異星からの使者だ。出現頻度が上がっている。
 人類の滅亡をかけた戦いは近い。

 この時点でリアリティを云々するにはもう無茶苦茶だ。これ以上の大嘘は無いから、ここがギリギリ線で、あとはこの嘘よりこっち側(リアル)でドラマが進む。
 要素要素がいちいち日本のアレやコレだったりするが、チョイスがとても手堅いため、あまり嫌味が無い。
 監督の中で消化されきっているのだろう。借り物感がない。
 ロボジョックスリスペクトを思わせる箇所すらある。

 大体においてこういった、ロボメカ怪獣映画なんてのは、視聴者のほうがロボメカ怪獣が好きで映画を観ながら「解ってないなぁ」などと思うのが定番なのだが、やたら解っている。
 モニョらない。



■ドラマ
 世界は危機的状態にある。そこにヒーロー、ヒロイン、サブヒーローと、かかわる人間が沢山いる。
 それぞれが、ドラマを持っている。
 長官はヒロインを我が娘のように思っている。かつての戦いで被爆している。この物語を前進させるキーマンだが退場せねばならない。
 ヒーローは失った兄弟を心にキズとして抱えている。克服せねばならない。
 子育てに失敗した男、その子供。しかし役目を果たす。
 大人気ない科学者。その成長。

 多くの登場人物の抱えている問題が示され、それがパタパタと解決されていく。
 ヒーローの問題解決のあっさり加減は、いいんだロボットバトルがメインディッシュだから、という宣言のようでもある。
 しかし、きっちりと多くの問題解決がなされる様は、ああハリウッド映画はこれがあるから強いよなぁ。という感想になる。



■どうでもいいが思ったこと
・3D映画はもう何本も観たが、未だに目が疲れる。吹き替えで見ることにしてよかった。
 (遠景がボカしてあると、わかっていても目がそこに焦点をあわせようとして疲れる)(3Dと字幕の組み合わせは自分の眼球にはキビし過ぎるので、3D映画はなるべく吹き替えを選ぶ)

・なぜ飛び道具を使わない。(殴り合いはロマンだから使わないのはいいが、、使わない理由は劇中で軽く触れて欲しい)

・ヘリコプターの出力がハンパ無い。

・日本人的にコレは違うわー。と思う要素は本当にほとんど無い。ヒロインのヘアスタイルぐらい。あと日本のカンバンのフォント。

・ヒロインがなんか常に姿勢が悪い(猫背)

・人の生死と物語の重さのツジツマが、あんまり合わせる気がなさそう。

・ヒロインを性的に強調するシーンがほとんど無い。凄いね。

・ヒーローの人生を掘り下げる気がさらさら無い。メインは怪獣とロボ。

・ヒーロースーツがいくらなんでも安っぽい。装甲のスキマから見える全身タイツがチープ過ぎる。

・ちゃんとアメリカ映画の定番にガッチリと気を配っているので安心して観れる。しかもウザく無い程度。

・意外なほどシナリオ(その進行速度、ガジェットの配置、抑揚)に気が配られている。
 このシーンは不要ではないか。というシーンがあったとしてちょっと考えると、いやいるわ;的に。

・予算の問題じゃなくて、日本的な構造じゃ撮影できないと感じる。日本の映画はシナリオが決定的に弱い。そこに人数と工数を書ける仕組みがないから。
 撮影の手順にしても、システマチックにやる手法が足りない。ハリウッド映画はもう実写とCGのパズルみたいになっているが、これを普通にスケジュールどおりに撮影をこなすのは相当ものだろう。


■まとめ
 メカロボ怪獣好きなら観ないという選択肢はない。

 なんか「感謝したい映画」という言い方をしたが。
 もう一度強調しておく。

 こういったジャンル映画は、
「お前らこういうの好きなんだろ?俺がもっとクールにしてやるぜ」
 という匂いが付きまとう。なので出来が良くても、モニョる。
 市場に向けてマーケットリサーチした内容に自意識をまぶして投下した映画というのはいっぱいある。

 パシフィックリムはそういった匂いが希薄だ。
「俺はこういうのが好きだ。お前らも好きになれ。予算ブンどってきたぜ」

 どうもこの映画は「俺が好きなモノのを市場に認めさせてやる」という匂いを感じる。
 一般向けにちゃんと加工しようとしてるし、オリジンを毀損もしない。

 不満が無いわけではないが、そんなのは小さな問題だ。すばらしく良い。

 ほんといいもの観た。

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