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映画:パトレイバー2 The movie 感想
 パトレイバーが安価DVD化されたことも有り、俺の中で押井ブームがまた来たので、感想。
 ネタバレバリバリで。


■あらすじ
 1999年。
 汎用ロボット「レイバー」が日常的に使用される時代。
 アジアのどこかの国で、日本より派遣されたPKO陸自レイバー部隊がゲリラと接触。発砲許可が出ず1人を残し壊滅する。
 2002年。
 何者かにより、自衛隊戦闘機による横浜ベイブリッジ爆撃事件、ハッキングによる東京爆撃が演出される。
 事件に対し警察が自衛隊への警備出動を行うなど過剰反応を見せた為、一部自衛隊基地での篭城など、事態はもつれにもつれ、自衛隊の治安出動が現実となる。日本のありふれた街の景色の中に治安出動した自衛隊の戦車が並ぶ。

 飛行船によるガステロ等で緊迫していく首都東京で、ついに戦闘ヘリによる、橋、通信施設、警察の武装の破壊が行われる。
 PKO派兵の生き残りである柘植行人が見た戦場を、東京に演出したのだ。

 かつての物語の主役達が所属していた特殊車両2課はその面々のほとんどが去り、それぞれが別の日々を送っていたが、ここに終結し事態を収束させる為に出動する。


■感想
 「モニタの向こうとこちら。」がテーマとして描かれていると思う。
 PKOの陸自レイバーは、ゲリラとの戦闘で一度も肉眼による敵の目視をしていない。全てことが終わった後で、柘植がハッチを開けるとそこには晴れ抜いた空と異形の神の建築物が見下ろす。
 彼らに発砲許可を出さなかった人もまた、現実を直接視していない。戦場でない、日本、東京に住む人々も何も見ていない。
 物語序盤、レイバーシステムの研究において、眼球による直接視でないモニタシステムの開発に触れられている。出向している泉野明は「気持ち悪い」と評す。 
 自衛隊機による爆撃を探る過程で、画像解析ソフトによる機種特定を行うが、モニタの中のモニタであり、それが現実である事は証明できない。
 南雲警部が運転する車は、ヘッドアップディスプレイとして、フロントガラスに虚像を写す。
 ケーブルでつながれた移動砲台は、ケーブル切断後に自動モードで戦闘を行う。

 繰り返される「情報の信頼性」を問う内容。
 銃後も前線も戦場である事には代わりが無いのだが見ているものがまるで異なるという状況。
 切断される橋と情報。繰り返される恐怖の象徴としての鳥の映像。鳥を模したヘリによる状況(首都戦場化)の開始。(ロボットアニメなのにレイバーじゃなくてヘリによって開始されるんだよなー)

 押井守の作劇として多用される、イメージの多重投影が延々続く中、冗長な台詞回しで、戦場と日常が語られる。

 コクピットの中、官舎の中、車の中、と閉鎖空間を描き、その中の情報だけで判断する人を描く。
 東京という戦争と地続きだが、平和な銃後であると信じきられている擬似閉鎖空間の都市を描く。
 映画館という密室の中で、それらを描く。

 柘植が行った戦争状況の演出を、押井も同じように映画館という密室を利用して行い、映画館で見た観客はそれを感じることが出来たと思う。当事「これはそうとう上手い」とナマイキにも思った記憶がある。

 パトレイバー劇場版1作が、ロボットアニメを見に来た人に、きっちりロボを見せて帰した作品だとすれば、本作は、ロボットアニメを見に来た人に、騙し討ちで戦場を見せた作品だと思う。映画館を出ると現実が目に染みる。
 映画ってのはそういうものであるべきな気もする。
(トトロを見に来たファミリーに、蛍の墓を見せるのはもっと大人気ない騙し討ちだったから、パトレイバー2は可愛いもんだと思う。)
 押井の観念的な映画演出ではこのパトレイバー2がもっとも成功しているのではないか。
 現実と虚構の間にゆれる物語の中で、現実側に足を置いて物語が書かれている。以後の作品は現実への興味をどこか失ってしまい、観客との間に溝が出来てしまって感じる。
 単にオレの好みの問題もデカイんだろうけど。

 あ。忘れてた。
 非常にメロドラマな演出で、柘植(テロ犯)と南雲(レイバー隊隊長、柘植の教え子)の逢瀬が描かれる。
 とってつけたような構造ではあるけど、さすがに戦争状況だけじゃ、物語のワクと主人公チームと接点少なくてドラマにならないものなー。こういうのをちゃんと挟むあたり、バランス感覚が優れているとも思える。


■感想2
 映画の感想を書くときは、大抵、メカ、キャラ、アクション、とか要素別に書く事が多いのだけど、パト2は「情報によって戦場を演出する」ことに全てが向けられている印象があり、あまり個別で感想が出ない。よくまとまってるんだろうなと思う。
 まったくロボットアニメである必然が無いあたり、これで完結編だよなと思った。(と思ったが、3も作られている)

 お話的には、OVAの最終話の焼き直しであるが、話の軸が全然別のところにあるので気にならない。シンプルに軍事決起を書いたOVAの話も魅力的だ。

 本作は、ロボットアニメとして見ると、まったくレイバーが活躍しない、後半の見せ場のバトルシーンが、物語としては無駄。そもそもコレは特車2課が関わる事件では無いのではないか。とイビツな構造が目立つ。
 また、普通の映画として見ても、話の配分にかなり無理があり、それはパトレイバーという題材に乗っかっているから発生している印象。今回の物語では主役を張れないポジション(前作の言葉を借りると捜査権を持たない警備部)が主役を張っている為に話がストレートになっていない。

 だが、こういった話を世に出すには、パトレイバーというウツワが無ければ無理だったろう。

 これ以降パトレイバー原作チームのヘッドギアの面々はバラバラになったという。
 パトレイバーというネタを使って、やりたい方向がもともとバラバラだったのだろう。
 この映画はパトレイバーというプロジェクトの最終話としては非常に良く出来ていると感じたが、このプロジェクトを立ち上げた人たちの総意の落としどころではないだろう。

 押井守とゆうきまさみ&出淵裕の不仲はわりと当事のアニメ系情報誌でも散見されたけど、その後何年もかけてネチネチやってたみたいなので、大変ねぇと思った記憶がある。(実際は知らない)
 ぶつかる個性と才能が何かを成し遂げるが、ぶつかり続けるからケンカ別れってのはあるのだろう。


■まとめ
 パトレイバー1,2は、今のアニメファンにも、そんなに濃いオタじゃない人にも進められる、バランス感覚のいい作品だと思う。個人的には共に名作。
 演出の上手さも際立っているので、そういうのに興味ある人は是非抑えて欲しい素敵作品。
 押井守「パトレイバー2」演出ノートとかあのヘンの本とあわせてみると理屈っぽく面白いけど、単独で見たほうがキモチイイと思う。
 ほんとオススメ。

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2010/02/11(木) 18:24:03 | BIG WING WORKS+
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