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映画: 機動警察パトレイバー劇場版 感想
1581円かよ!
 リアルロボットアニメに止めを刺したのはパトレイバーだと思う。
 以下、ネタばれバリバリで。

 べつにパトレイバーがリアルだと言うわけではないのだけれど、ロボットを現実世界のガジェットとして扱う事の徹底加減では、それまでの全ての作品をブッチしたのではないか。映画2ではおかげでロボ無しで成立するロボットアニメになっちゃったというミソが付く。しかし本作では、ロボット無しでは書けないシナリオとなっている。


■あらすじ
 1999年夏。日本の東京では東京湾埋め立て工事が急ピッチで進み、汎用作業ロボット「レイバー」が溢れていた。
 そんな中、レイバーが暴走する事件が多発、自衛隊レイバーが無人のまま暴走する事件すら発生する。

 主人公たちの所属する、警視庁特車二課の面々は、暴走事故はレイバーのOSに仕掛けられたコンピュータウィルスによるものだ、という結論に辿り着くがOSの開発者でありウィルスを仕掛けた犯人"帆場"は既に他界。東京湾埋め立て工事の中心的な浮きドック"箱舟"からの投身自殺であった。

 特車二課とつながりのある、刑事が"帆場"の足跡を追う中で、壊され、作られ、再開発が繰り返される東京という街に帆場が特別な感情を抱いている事がわかる。

 その頃、特車二課の巡査と整備員は、暴走のキーになるのは、箱舟が風にあおられて発生する低周波の"音"であることに気づく。おりしも東京湾に台風が接近している。
 台風に箱舟が唸りを上げる。首都圏のレイバーがいっせいに暴走するか。それとも。


■語り口
 1989年当時としては未来であった1999年もいまは10年以上前。
 しかし、作劇の中心にコンピュータウィルスとネット感染を使い、東京湾埋め立て工事というネタをベースにレイバーというロボットが日常に居る風景を創造したのは見事としか言いようが無い。
 ちゃんと、ロボットがそこに居る理由があり、ロボットが活躍し、ロボット出なければ成り立たないお話になっている。

 他にも、冒頭に自衛隊レイバーの暴走事件を入れた事はメカファンサービスでもあるのだろうが、世界の中のロボの位置をわかりやすく解説しているし、物語を高いテンションから開始するのに成功している。

 その後、帆場が転々としたかつての住所を辿って回る刑事の目線を通して、再開発の繰り返される東京を丁寧なロケハンと作画でつづる。実写から起こされた背景が現実との地続きである事を強調する。
 とにかく、現実、現在との間を上手くつなぐ為の小技に溢れている。

 ちなみに同じ事を実写でやられるとウンザリするのは、ケルベロス地獄の番犬を見た時に思った。
 
 その他、主人公の名前が野明(ノア)犯人の名前が帆場(エホバ)物語のキーが、箱舟と、OS(言語)。ノアはまぐれだったがこれに気づいてからはホイホイと話が固まった、とかいう話をどっかで読んだ。押井の本は似たのが多すぎてどれがどれだか覚えてない。
 後藤はゴッドだし。とかも書いてあったけど、無理あり過ぎる。
 まぁ、この辺のまとまりの良さは運もあるよなと。

 全体の流れとして、夕方の帆場自殺で始まり、夜間の自衛隊レイバー暴走、昼間の捜索を経て、夜間、暴風雨下の箱舟上陸作戦、明け方の箱舟上の決戦、カラリと晴れてエンディングと、画面の彩度がゴロっとちがうので、物語の移動感ガ強く、また物語の緊迫感ともリンクしているので、適当に見ていても面白い映画を見た感触になる。
 箱舟で始まる話が箱舟で終わるのも、いい構造。

 このあたりの設計は手馴れたプロの仕事だなと感じる。

 押井守という監督は、フリーハンドに仕事させると大抵「あるぇ?」てな感じになるけど、こういう縛りがある映像作品だと本当に手堅い仕事をする。(シナリオの伊藤の手腕もあるだろうが)
 イノセンスとかスカイクロラは原作になんか恨みでもあったのか、原作レイプが好きになり過ぎたのかは謎だけども。
 パトレイバー劇場版2作品は手放しでほめていいと思う。(ゆうきまさみから見れば、これも果てしない原作レイプなのだろうが)

補記:コミックス版は原作じゃないけど、ゆうきまさみと出淵が企画ごっこして8割固まった頃に参加した押井が、自分のカラーを強く押し出した、というグチっぽい言説を当時散見した。押井もかなり後になって、メカデザインに文句をいい、出淵がいまさらいわれてもなーみたいな事をどこかで表明していた記憶がある。いいかげんな記憶だけど。


■メカ
 冒頭付近、自衛隊の四足レイバーの暴走を、空挺レイバーのパラシュート降下で抑えるシーンは、見事な見せ場となっている。ステレオ音響をいっぱいに使った、発砲から着弾のシーンは大変耳に心地いい。
 そのほか、サンライズアニメでは結構使いまわされまくっているロボの駆動音とかもパトレイバーはパトレイバー用の音らしく、ヘンな違和感が無い。(サンライズでは、ガンダムとDrスランプで同じ音が鳴っていた。)
 全体的に、止め絵に耐える丁寧な作画。しかし動くカットはかなり少なめ。コスト計算の上の演出だろうが、非常に手堅い。

 デザインで言えば、正直レイバーには、目新しい部分が大変少ない。
 シルエットは普通の人間に近く、関節は布で隠されているタイプ。(ロボの関節は、メカデザインではもっとも気にする場所。ダイオージャみたいに直角関節が、グニっと曲がるのや、ガンダムMK2みたいに線多いくせに実在したら動かないデザインの為、模型でリデザインされるのや、ダグラムみたいにジャバラ多様で模型化で頭抱えるのなど、その世界のリアルがどのレベルかを表している場合が多い。布による隠しは勝負を避けた呼ばわりされたりする。関節を覆う装甲版をパタパタ動かしたボトムズはエポックメイキングだった。あの世界はジャバラも共存しているけど)
 しかし、警視庁のエンブレムをつけたり、有視界戦闘(パイロットが密閉されない)だったりと小技は効いている。
 特に有視界戦闘と、銃の弾こめを操縦者がコクピットから降りて行うのは、作劇を豊かにしたし、1カットにロボと人が入るシーンが多くなる為、メカを身近に感じさせる好演出を生んだ。


■キャラ
 魅力的な中年&高年層と、ちょっと食い足りない若者キャラという印象。
 そもそも篠原遊馬以外の若者キャラ(って野明だけか)には、セリフもほとんどなくて、ロボで戦うだけだから、ピカチュー扱いみたいだ。
 

■まとめ
 20年以上前の作品で、この出来ってのは凄いんじゃないか。正直今見ても、CGがショボイのと携帯電話がデカイの以外は全然気にならない。むしろ最近の作品より好み。

 パトレイバーがリアルロボットものにトドメを刺した、は半分冗談だけど、映画2ではPKOをネタにしたりしていたわけで、以後のリアルロボットものとしては色々困ってしまったとは思う。
 メカは最高のガサラキも、なにやら神秘主義&宇宙人に走っちゃったし。ガンダムは見得を切るようになっちゃった。エヴァンゲはウルトラマンの延長だからロボに数えなくて良い気がする。ボトムズはミリタリーファンタジーだしな。

 これ以上リアルなロボ設定はなかなかスポンサーがOK出せないだろう。

 まいっちゃうわね。

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2010/01/31(日) 23:24:27 | 昨日の風はどんなのだっけ?
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