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機動戦士ガンダム TVシリーズ:全話感想
 バンダイチャンネルが1stガンダムの1日1話で全話放送をした。
 1日ずつ追いかけながら。全話感想を書きました。総括尽き。
 長いので要注意。

■第1話 ガンダム大地に立つ
 何度も何度も見ていて、セリフはソラで言えるガンダム第1話。

 だがしかし面白い。

 ガンダムは、当時流行っていたロボレスアニメ(ロボットが出て来てプロレスのようにどったんばったんバトルを繰り広げるアニメ。主に玩具の販売を目的としたもの)の一種。
いかにロボレスアニメのフォーマットを残したままリアルなドラマをやるかという挑戦をしていて、有る種クライアントを騙して好き放題やったアニメと思われる。

 フォーマットとして、以下を残している。
・巨大ロボットが戦う。合体変形する。トリコロールカラー。
・主人公が少年。
・主人公の父が開発したロボット。
・解りやすいデザインの敵。
 これをリアルっぽくする為に以下のアイデアが導入されている。
・闘いは独立戦争である。
・ロボットが軍事兵器であり、量産される。
・ロボットと通常兵器を混合して扱う。
・ロボットにモビルスーツと名前をあてる。

 とりあえず、ロボットアニメのお約束の、ロボットの存在と闘いの存在を、ミリタリーと宇宙開発でうまく誤魔化してる。こりゃすげぇ。
 その後の後追いアニメは数あれどしょっぱなからこんだけの事をやってるのはキチガイじみてる。


 冒頭、宇宙戦争であることを説明するナレーションから一転、ザクのサイド7侵入で物語はスタートする。
 ナレーションで大枠を説明した後は、説明少なく描写だけで物語を進める。カッコいい。

 日常を送っていたアムロ、ハヤト、フラウが、ジオンの偵察部隊の侵攻により、いきなり戦場に放り込まれる流れは非常に上手く、着実に日常が失われていく様子が(緊急サイレン、遠くからち近づく爆発の振動、アムロの見ている前で死ぬ軍人、死ぬフラウの親族と)淡々と積み重ねられていく。

 そしてここまでの抑圧展開から、ガンダムに乗ってザクをちぎっては投げの大活躍(比喩にあらず)、溜めて溜めて爆発させる見事な展開。

 これを超える、ロボット物の第一話はそうはねぇ!

 普通に見ていて面白い描写を重ねて、主人公とその周辺の人となりを書き、主軸であるモビルスーツとは何なのかを書く。
 そのうえで、次回はなんか強そうな敵ボス(シャア)が出てきそうとか、アムロの上司になりそうな人(ブライト)は、ガミガミ言いそうとか、次回への不安と期待を引っ提げた状態で綺麗に終わる。

 この時点で、アムロは人を何人か殺しちゃってるんだけど、特に触れない。戦争状況だしな。
 面倒な描写をすっとばしつつ、それが状況説明になってる。

 コレは本当にお手本のような1話だー。

■第2話 ガンダム破壊命令
 まずこのタイトルのあざとさが見事だー!
 お話的には、シャア、セイラの因縁見せと、カイ、リュウ等顔見せ。そして初の宇宙戦闘。クライマックスにシャアザク登場。(ガンダムのビームライフル見て逃げてくんだけど)

パオロ「シャアだ。赤い彗星だ!」
ブライト「え!赤い彗星のシャア!」
パオロ「ルウム戦役で、奴一人のために5隻の戦艦を沈められた。」
シャア「見せてもらおうか連邦のモビルスーツの性能とやらを。」



 わー。濡れちゃうわ。
 この時ザクのコクピットの中で不敵に笑うシャアは、まだまだ負け癖がつく前なので非常に自信に満ち溢れている。

 あと1話もそうだけど、話が多重に進むのが見事。
 フラウ、セイラ、アムロ、ブライト、リュウがそれぞれバラバラに動いてるんだけど、時々それが場所的に交差する。この辺は富野演出のキレが凄い。

 絵的にも、カメラパンやズーム、ブック撮影(多重スクロール)で、動画を押えつつも何かとコマコマ動かしてる。やる気出しすぎの指示が来て、それに答えて作られてる感じ。男らしい。

 ただ、実際、お話やキャラの動きとしてはおかしいところも多い。
 いきなり軍人みたいな行動にでるセイラとか。 細かいところでまだ、キャラを動かしあぐねてる感じはある。でもそれも含めてやっぱ面白い。

 1stガンダムは自分が小学校の頃に見たので、スリコミも激しいから、非常に面白く感じちゃうんだけど、その贔屓目を抜いても、以降殆どのアニメ作品に影響を落としてるだけあって印所深い演出が多い。

■第3話 敵の補給艦を叩け
 旧ザク登場。
 1話で、ザク、2話でシャアザク、3話で旧ザクと、この時点では毎回新メカが登場してる。気が利いてる。
 最初は全部ザクだけで行くつもりだったが、メーカーのテコ入れによって、毎回ジオンがびっくりドッキリメカを出してくる展開になったと聞いたことがあるけども、この時点でもわりとその辺気を使ってる印象。

 話としては谷間なんだけど、キッチリ盛り上げる。
 ホワイトベース追撃の為に補給を受けるシャアと、その隙を突くアムロたち。コアファイター大活躍。生身の人間にバルカン撃ちまくり。
 ガンタンクもちゃんと活躍。それぞれのメカニックの見せ場をちゃんと作ってあるあたり、後発の作品より全然玩具CMとして優れてる気がする。

 物語はホワイトベースクルーがそれぞれのキャラを立てていくのが目立つ。
 会話される字面と、その思惑がかなり違っているセリフが多くて、すげぇシナリオだなと感じる。
 これ、声優の演技ナシでは拾いにくい。ゲーム作っててセリフ文字だけでシナリオやったりしてる身からすると素直にうらやましい。
 あと、ジオン側ではシャアが小物な感じでイイ。ドズルにへつらい、ガデムやドレンには高圧的。こうじゃないと出世しないよな!

 ちなみに、今回もシャアと戦闘をしながらも、共に撤退する展開なので、そろそろマンネリ化しそうだけれども、毎度弾切れだとか、うまく逃げたとか、上手な言い訳が用意してある。
 話の展開はソラで覚えているけど、中だるみさせない見事さ。

■第4話ルナツー脱出作戦
 今回も話的には谷間。もともとアニメって3話4話を作って軌道に乗った頃に1話2話を作るというから、この辺が谷間になるのは基本なのか知らん。
 映画版でも3話4話は大きくカットされている。

 内容はシャアが策略家であること、連邦が硬直した組織であることが描写される。
 今回は新メカなし。次にグフがでるまでこの調子だから思い切ったアニメ作ったもんだ。

 石頭なワッケイン指令に拘束されたホワイトベースクルーが独断専攻、反逆罪覚悟の上でシャアの追撃に反撃を開始する。
 なんて好戦的なホワイトベースクルー。これは当時のロボットアニメからするとアリアリだと思うが、最近のヘンにウジウジ戦いたがらないアニメに慣れてると拍子抜けだ。
 過渡期だなと思うが、本来こうあるべきだと思う。戦闘が見せ場な玩具CMアニメなのだから。

 今回もシャアとアムロがつばぜり合いしてお互い帰還するパターン(3回目)で、罠にはめてあったホワイトベースが無理やり出てきたのでシャアはあきらめて逃げた、という形。そろそろ痛み分けのパターンも尽きちゃいそうだけどまだマンネリを感じさせないようにがんばっている。
 一応これまで全部違う言い訳で水入りにしているし、そして次回は大気圏突入なので、発明的パターン。
 Zガンダムとかだと、ライバルが何度も戦いながらお互い帰還するのに果てしなくマンネリを感じたけど、やはりかなり1stは気が使われている。

■第5話 大気圏突入
 ホワイトベースは、地球に向かう。大気圏突入のタイミングにシャアが仕掛ける。

 大気圏突入時の戦闘という、ワンアイデアで1話。お見事。
 大気圏突入ネタは、その後、Zガンダムでは戦略的に使われるまでになる。
(宇宙から大気圏突入して来て戦闘行動開始って、めちゃくちゃな話だが、それっぽく見せる)

 ボトルショーであり、一話完結なんだけど、ガンダムをガンダムたらしめる要素の一つ、宇宙と地上、それを結ぶ(遮る)大気圏は重要なので為映画版でもこの話はリニューアルされて描写されている。

 でもほんと、それ以外は特に何もないやー。

■第6話 ガルマ出撃す
 これより地上編。
 ジオンの地上方面軍を指揮するガルマ。ガルマの失敗を良しとするシャア。
 戦いの中でストレスを溜めながらも戦士としての練度が高まっていくアムロ。
 ホワイトベース内は、イライラガス圧が上がっていく。当時としては大変斬新な展開。
 Zガンダムは、延々とこんな展開だったので、アレだったけども。

 今回はシャアは傍観者を決め込んでいるので「おぼえてやがれパターン」を回避。
 この後の同系列作品では、「おぼえてやがれパターン」を使う事にテレがないのだけど、ガンダムはマンネリ回避を徹底している。
 キャラクターをかなりの速度で使い捨てているのが、功を奏してる感じ。(ガルマは死ぬし、この後もラル、三連星、と順に死んで舞台から退場する。ドレンも次に宇宙に上がるまではこの辺で終わり。)
 1st以外のガンダムシリーズでは、敵も味方も美形ばかりで、最終話まで人気の都合で殺すわけにも行かず「覚えてやがれ」を繰り返すマンネリに沈むのが残念。

 メカとしては、ドップ、マゼラアタックが大活躍(やられ役として)だけども、印象に残るのは、ビームサーベル振り回して、ちぎっては投げと走り回るガンダム。
 これは怖い。自分がザクに乗っててこんなのが走ってきたら逃げる。
 
 それにしても、ガウ攻撃空母のデザインの秀逸さは凄い。18mのザクを3台、小型戦闘機を8台収容する飛行空母という冗談みたいなメカニックが、動画で見ればなんかそれっぽい感じがする。
 こういうう大雑把なシルエットでの説得力は最近のメカ物にはないなーと思う。

■第7話 コアファイター脱出せよ
 シャアの策略によって、敵陣内を彷徨う事になったホワイトベースが連邦本部と連絡を取るべく、コアファイターを弾道軌道で射出してジオン勢力範囲をまたごうという作戦が失敗する。並行してホワイトベースに乗せられている避難民が地球に下ろせと暴動を起こすが静まる。というお話。ようするに何も話は進んでいない。

 昨日まで、イライラムキーッ、グッタリとなっていた、アムロがまたイイコちゃんになってる。ブライトも随分アムロを気遣う。この辺ぶっ続けて見ると各自のテンションのムラが激しくて困る。
 毎週放送のアニメなので、当然製作現場は各話が併走していて、この辺の調整が難しいのだろう。

 話がそれた。
 今回の話では、戦艦で輸送されている避難民、戦わない人達の描かれ方がポイントか。
 守られるべき人なんだけど「えーなんでコイツら守らなきゃいけねーの?」という描き方がなされている。当時としては珍しい。
 あと、コアファイターをガンペリーのカタパルトから打ち上げるんだけど、まだ顔見せしてないガンペリーの名前が連呼されるのは、富野のアニメでは良くあるけど、あんまり良くないなと思う。


■第8話 戦場は荒野
 タイトルは超期待させるけど中身は名作劇場的。
 ホワイトベースは難民をおろす事を理由にジオンに一時休戦を申し出る。
 一時休戦中にジオンは兵を進め、ホワイトベースは偽装を用い伏兵をする。(酷いわコイツラ)
 戦争は激化する中、難民とジオン兵は心を通わせ、敵がどういう人間か、戦争状況とは何か、軍人とは何かを描く。
 今回も、シャア、ガルマは傍観者で、ガルマの手先の地上部隊が、ホワイトベースにフルボッコにされる。
 作画は荒いが良好で、ガンダムがシールドを投げてザクを倒し、またそのシールドを拾いに行って敵弾を防ぐなど、結構凝った殺陣がある。
 しかもジオン側に主要キャラが居ないので、殲滅戦。
 アムロが通った後はぺんぺん草も生えない。白い悪魔恐るべし。

 比べて悪いけど、こういうのがサッパリなかったのがZガンダムとかの致命的なところだと思う。
 Zはメカの線を増やしすぎたから、殆どの場合が画面横切りながら弾撃つだけで、戦闘にメリハリがなく、常に敵味方が主要キャラのため、殲滅戦の虚無感や快感が足りない。

 ちなみにお話的には今回もボトルショーの一話完結で特になにも進んでいない。
 1stガンダムは一話完結が多くその意味では、1話単位で安心してみる事が出来る。その後のロボットアニメではこういうのはウケが悪いのか、一話完結の物語が少ないので、あんまり本腰入れて見てない自分みたいなのにはツライ。
 エヴァンゲリオンが比較的一話完結が多かったので、世間の謎解き的熱狂とは裏腹に「わかりやすくていいアニメだなー」と思っていた。

 ということで、ここ数話、ボトルショーが続いていて見落としても平気なガンダムだけど、1話1話に工夫がなされていて、やっぱまとめてみると面白いなーと思う。

■第9話 翔べガンダム!
 ご大層なタイトルだけど、ジャンプ力とスラスター推力でガンダムが空中戦をするだけの話。
 物語は、シャアとガルマの関係を掘り下げたり、アムロが拗ねたり。
 次でガルマ散っちゃうんで、そろそろ、ガルマに死亡フラグを立てて置くのと、いずれアムロが逃亡しちゃうんで、それまでの積み重ね、といったお話。

 作画に関して。
 今回初めてそういう目で見たけど、ホワイトベースクルー女性兵士の胸がさわやかで素敵。
 最近のアニメは女性の乳をコッテリ描き過ぎてて食傷するので、これぐらいシンプルな方が良いわー。作画監督としての安彦良和の魅力大爆発中。

 お話に関して。
 ここんとこイイコしてたアムロが拗ねてる。彼の気分の上下は各話でかなり波があり、これはシリーズ構成に問題があるのだろう。各話並走で制作が進む事による問題を潰し切れていない。
 まとめて視聴すると、アムロの浮き沈みの激しさは本来の演出意図よりかなりエキセントリックな印象を与えているんじゃなかろうか。
 これが徐々にストレスが溜まっていっての脱走であったなら、アムロに多少感情移入出来たと思う。


■第10話 ガルマ散る。

 地球連邦の勢力圏に逃れるべく、移動するホワイトベース。追うガルマ。
 夜間絨毯爆撃をしかけるガウ攻撃空母、それをドーム球場に隠れてやり過ごすブライトたち。
 戦闘に慣れていくホワイトベースクルー、その上を行くシャア。そして謀られるガルマ。

 絨毯爆撃下の廃墟の都市で、遮蔽物を利用しながらモビルスーツが有視界戦闘を行う。

 ウヒー良いねー!

 18mもあるロボットが身を隠しながら戦えるとは思えぬが、まぁそこは仕方があるまい。

 実際のところ、ガンダムの戦闘シーンって、ものすごくマンネリ回避を意識している。
 毎回「覚えてやがれー!」で終わらない工夫の事は、これまでもクドクド触れたけど、普通の戦闘も色々考えられていて唸る。
 モビルスーツ肉弾戦、宇宙戦、射撃戦、大気圏突入戦、空中戦、今回の夜間シティコンバット。凄いなー。エライ。
 この辺を手馴れで処理しちゃうと、あっという間に下らないアニメになっちゃうところを見事に避ける。こういうのはシビれる。

 ちなみに自分が好きな映画のロボコップを例に挙げると、あれはバカみたいに人死にアクションが連発するお話なんだけど、死に方がバリエーション多彩。
 射殺される、車に轢かれる、車から落とされる、股間を撃たれる、工場廃液で溶ける、プラグが突き刺さる、ビルから落ちる。

 やはり、見る人をあきさせないには、マンネリを避け、常に目新しい事をする必要があるんだな。

 話がまた逸れた。
 そして今回の話でガルマが戦死退場。それを受けてジオン皇国国王、デギンザビ登場。
 この辺の話の進め方も上手い。
 最初からザビ家全員ならべてあると、コレを順番に倒すんだよな、と思っちゃうので、情報は小出しにするに限る。

■第11話イセリナ、恋の後

 ガルマをホワイトベースに殺されたので、恋仲だったイセリナが復讐をするという話。
 そりゃ戦争なんだから、殺し合いしてるし、その結果的にも恨まれる。
 みたいな事を書く傍ら、ザビ家の説明とか。
 見てから時間が経ったので印象薄くなっちゃったなー。

 ガウの上に、ガンダムとガンキャノンが飛び乗って暴れるとか、そりゃもう大騒ぎ。
 PS2の初期ガンダムは、このガウに飛び乗って攻撃が出来たので、当時ゲラゲラ笑った記憶あり。(ただしジャベリンは使えない)

 どうでもイイトコとして、イセリナはガンダムを仇だといってるけど、トドメさしたのは、ホワイトベース、ガンタンク、ガンキャノンだったりする。

■第12話 ジオンの脅威

リュウ「アムロが新米の兵隊が良くかかる病気にかかってるんだ」
ブライト「出撃させろ!」

 ブラックな職場だなぁ。

 ランバラル隊、グフ登場。「ザクとは違うのだよ。ザクとは」
 玩具屋のテコ入れによって、この辺りから、毎回びっくりドッキリメカが出るわけだけど、結果オーライだなと思う。

 ちなみに今回の「おぼえてやがれ」回避は「われわれは地球で戦うのは初めてだ。深追いはするなよ」だ。よくパターンを考える。エライ。さすがにマンネリ感は出てきたが。

 そして、ギレン演説。12話は、たいした話じゃないのに映画版のキーシーンが多い。物語の転換期だからだろう。

■第13話 再会母よ
 成長したアムロが、母と出会う話。
 二人のズレによってアムロの立ち位置が再確認される。

 ジオン勢力下での母との再会中、その際ジオンのパトロールが現れる。
 アムロは布団にもぐりジオン兵をやり過ごそうとするが失敗する。
 やむを得ず発砲するアムロと、そのように成長したアムロを悲観する母。

 これ、布団にもぐりこむ以前に、服脱げばよかったんじゃないのか。

 メカニック的な見せ場としては、やっとこさガンダム空中換装。
 そして、ジオンの地味な前線基地をフルボッコにするアムロ。えー。グフ出た次の話でこれか。やりおんな!

 お話的なトピックとしては、母親の描写だろうか。
 アニメに置ける両親というのは、もっと理想的なものが書かれていた時代に、アムロの両親の扱いは比較的リアル志向だ。つーか。男の影。


■第14話 時間よとまれ
 これも大変解りやすいボトルショー。カッチリ一話完結。
 ジオンのパトロール小隊が小型のスクーターのようなフライングポッド(ワッパ)で肉弾戦中のガンダムに時限爆弾を仕掛ける。
 その結果アムロは捨て身で時限爆弾を取り外す事になる。
 クライマックスは、この時間ギリギリにアムロが爆弾を取り外すところ。なんつー地味な。

 冒頭ナレーションにて、「全ての人類を自らの独裁の手におさめようと」と、随分ザビ家の悪役度合いUP。他、ホワイトベースクルーの疲れもピーク近い。

 地上辺は組織の事情の描写が濃ゆい。
 ジオンの小隊が、弾が足りないとか、早く本国に帰りたいとか、いい感じにグチってる。南方戦線に贈られた日本軍のようなゲンナリ加減。
 ホワイトベースクルーも本部の思惑に振り回されている。いい女役のマチルダもただのいい女としては描写してもらってない。
 そして、ジオンクルーは、爆弾をとり外した、向こう見ずで勇敢なパイロットはどんな奴かを確認しようと村の青年団を装って、ホワイトベースクルーと接触する。

 なんというか、この辺の独特の間が、1stガンダムを1stガンダムたらしめているのだなと思う。
 使い捨てのキャラクターで、物語の断片エピソードを積み重ねていく。1話完結のボトルショーなので、なくても良い話なのだけど、それゆえにキャラよりもエピソードに重みが置かれている。
 それの良し悪しはあると思うけど、1stに関しては大成功を収めているんじゃないか。

■第15話 ククルスドアンの島
 皆知ってるククルスドアンの島。
 元ジオン兵ククルスドアンは、かつて自分の流れ弾で両親を殺した戦争孤児を孤島で養って暮らしていた。ジオン軍はザクを伴って脱走したドアンを追う。
 連邦軍の救難信号を受け、そのドアンの島へ向かったアムロはドアンと反目するが、最終的にドアンと共にドアンを追ってきたザクを倒す。
 常に追われる身のドアンの追われる原因ザクをアムロは海に深く沈める。

 いやー。どうなんだろこの話。一話完結のボトルショーであり、まーそれなりでもあり、ガンダムの世界観を広げる話ではある。けど後のガンダムが継承しなかった類だ。
 確かに番外編過ぎる。

■16話 セイラ出撃

 塩が無いとか。オデッサデイとか。マクベとか。
 登場人物がそれぞれの思惑で動いていてるのは、1stガンダムの上手さだなと思う。
 その所為で、あらすじは単純でも多層的に見える。

 肉親であるシャアの情報を得る為、勝手にガンダムに乗って出撃するセイラ。わりと色々唐突な感じだけど、まぁよしというか。

 不慣れなパイロットで苦戦するガンダムを鹵獲しようとするラル隊だが、アムロのガンキャノンに阻まれ、逆にザクを鹵獲されてしまう。
 アムロのガンキャノンは全エピソード中最強に強い。ザクにキャノンだパンチだキックだでフルボッコ。


■第17話 アムロ脱走。

 おそらくスポンサーの要請で、合体シーンバンクを放送する為に、空中換装の練習をするアムロたち。
 ホワイトベースでは、鹵獲されたザクのパイロット、コズンへの尋問が続くが、あっさりと独房から脱出してしまう。が、セイラの追撃で戦死。
 アムロはアムロでブライトの命令を無視してガンタンクで出撃。(6話で命令どおりガンタンクで出たら酷い目に合ってるので、それの裏返しと思われる)
 それによって、ブライトに怒られ、フテてるところに「アムロをガンダムから下ろそうと思う」というブライトとミライの会話を聞いてしまい、ムカついたアムロは脱走する。

 アムロも大概お子様だが、ブライトも随分余裕が無い。
 同じようなミスでも、ブライトはリュウやセイラには甘く、アムロには厳しいという状況が続いていたので、この辺の流れは大変上手い。

 実際、ここまでのホワイトベースの戦果はほとんどアムロがたたき出していて、リュウや他のクルーはそれを評価している。
 しかしブライトは手に余るアムロの扱いに業を煮やしていることが多い。彼は士官候補生のエリートで、これまでも連邦の仕官にたいしワリと横柄な態度を取っているので、この時点のこの人は頼れるリーダーではなく、若い、気の回らないリーダーなのだろう。
 初期にセイラに親しげに話しかけて邪険にされてるし、この話ではミライの肩に手をかけて、プイッと外されている。良くも悪くも自信満々なんだな。
 それゆえに、制御できないアムロに苛立つ。大変丁寧な作劇だなーと思う。


■第18話 灼熱のアッザムリーダー

 おそらくスポンサーの要請で、合体シーンバンクを放送する為に、空中換装の練習を思い出すアムロ。もはやギャグとなってる。

 アムロの脱走についてアレコレ感想戦をするホワイトベースクルーだが、セイラが自分の事を棚に上げまくりで愉快。つい先週勝手にガンダム使った癖に。

 一方ジオン側はキシリアがマクベの鉱山を視察に来ている。シャアの真っ赤な軍服も大概だけど、キシリアの紫軍服も凄いインパクトだ。

 脱走中のアムロは大局的な見地なく、マクベの鉱山を叩く。
 歩兵に向かってビームライフル乱射するジェノサイドなアムロ。
 PS2版のガンダムが結構再現度高くて驚く。曲のおかげってのもあるけど、原作に愛があるな。(だったらゾック4本足にしないでくれ)
 マクベはキシリアを横にのせたアッザムでガンダムを迎え撃つ。けどすぐ撤退。だってどうでもいい基地だもん。

 今回の話も、1話完結のボトルショーで、巨大モビルアーマーが電子レンジ攻撃してくるだけという、非常に解り易いお話。


■第19話 ランバラル特攻

 おそらくスポンサーの要請で、合体シーンバンクを放送する為に、空中換装の練習を今週も思い出すアムロ。もはや繰り返しギャグとなってる。

 脱走中のアムロは行軍中のランバラル隊と遭遇する。粗筋を書くのが本意ではないので省略するが、その際のラル、ハモン、アムロ、その他兵のそれぞれの思惑が交差するところが丁寧だ。

 ランバラル隊はドズルの勅命を受けてガルマのあだ討ちの為ホワイトベースを追っているが、付近はキシリアの勢力圏であり、キシリア配下のマクベは、ラルに便宜を計らない。
 その為、戦闘を重ねる毎に戦力が減っていく。

 この、補給が切れる、戦力が持たない、という描写は1stガンダムでは繰り返し為されている。
 無尽蔵の戦力での戦闘と違って物語の前進感がある。後戻りが利かない感じ。
 後発のリアルロボアニメが、無尽蔵な敵との戦いになりがちだった事に対し、このあたりは本当に上手い。

 そして、今回の戦いでランバラル隊は、グフを失う。もはや戦力は無い。
 グフを失って脱出する際に、ガンダム初、戦闘中のパイロット同士の会話が発生する。

 Z以降はやたら装甲越しに会話していたパイロットだけど、1stガンダムでは、ほとんど会話をしない。たいていが独り言の応酬となっている。
 今回の会話も、装甲が破られ、パイロット同士がお互いの顔が見れる距離であったからで、無理やりではあるが必然となっている。
 この辺、ホントに、ちゃんと理由を考え、言い訳が用意されている。

■第20話 死闘!ホワイトベース

 おそらくスポンサーの要請で、合体シーンバンクを放送する為に、空中換装が冒頭あらすじで流れる。もはや理由は無い。たしか20話で最後だったと思うけど、どうだっけ。

 ブリッジでクッション敷いてブライト、セイラ、ミライが束の間の休息を取りながら、脱走から帰ったアムロの処遇を考える。
 カイやハヤトが、アムロに身贔屓過ぎると不満を持っている。

 生活臭、戦闘の疲れ、イライラ、リラックス。色々な状況を含ませつつ画が進む。

 客観的に見れば、アムロの戦闘力は凄まじく、ブライトでなくても彼を身贔屓して当り前だろう。どちらかといえばブライトも、若さとプライドが邪魔をしてアムロの扱いは、悪いほうだ。

 結果、カイ達はホワイトベースを脱走する。男のジェラシーだね。
 しかし追ってきたリュウに促され、ホワイトベースに戻る。

 リュウは常に、ホワイトベースクルーをまとめようと動く。彼はアムロを買っていたし、エリートで打たれ弱いブライトを補佐していく。彼のお陰でまとまりを取り戻していくホワイトベースだけど、これはもう明らかな死亡フラグ。

 そんなモメ方をしている最中、ランバラルはホワイトベースに特攻をかける。
 マクベの派閥志向によって、補給を断たれ、生身での白兵戦を仕掛けたのだ。
 この辺の盛り上がりは大変に見事で、ランバラル編は、ボトルショーが大量に挟まり、マクベ側の話も多く、ブツギレで数話しかないのだけれども、とても印象深い。

 トニーたけざきの漫画で、やたらネタにされている付近だけれど皆の記憶に残っている個所だからだろう。

 ランバラルもクランプも大変魅力的に描かれる。
 処世術に足りない叩き上げ。不器用な大人の魅力。ああオッサンカッコイイ。

■第21話 激闘は憎しみ深く

 今回から、オープニングナレーションでの合体バンク無し。
 そのかわり本編中にホワイトベースからABパーツを発射しての空中換装あり。でもガンペリーからの合体バンクのほうが明らかに絵が良いんだよなー。

 アムロはまた独房へ。
 ラルを失ったラル隊はハモンを中心に立て直し、仇討ちの為ホワイトベースを追う。
 ハモンは、クワウレ・ハモンでありランバ・ラルの嫁とかではない。内縁の妻っぽいけど。
 そういう微妙な立ち位置の人が、周りの信頼を得ている事や、マクベの本隊からロクな補給が得れない事などを含め、複雑な状況が物語を加速させていく。

 ホワイトベースはあちこちボロが来ており、メカマンも怪我を負い修理もままならず、まともな戦闘が出来ない。
 そんな中、リュウは怪我の身を押して、ホワイトベースクルーの為に立ち回る。

 アムロは扱いにくいが強戦力であり、どう扱うかをホワイトベースクルー皆があぐねている。
 ゲーム会社では、すげープログラマとか、めっちゃ上手い絵描きとかがこういう扱いになりやすい。本人の性格に問題なければいいんだけど、性格と能力は両立しにくい。両立してる人で性癖に問題がある人いたなそういえば。
 話が超逸れた。

 ザクをブン投げてマゼラトップにぶつけるなど、如何にアムロが戦力として際立っているかの描写が続く。
 やる気を出したカイがイマイチ、ハヤト、ジョンも毎度イマイチな中でアムロは鬼神の活躍。
 これはリュウがアムロを買っているのは正しいとする描写でもある。
 他のクルーもそれは解っているんだけど、わだかまりが邪魔をする。

 そして爆弾を満載したカーゴと、ハモンのマゼラトップに挟み撃ち状態になるガンダム。引けばホワイトベースを巻き込んでの大爆発。この状況を救ったのはリュウの特攻だった。

 コレまでも死者が出てないわけではないホワイトベースだが、戦死をここまでウェットな演出で描くのは初で、リュウが如何にホワイトベースクルーの精神的支柱になっていたかを伝える。

 今見ると、リュウの死はタメが少なく、あっけない。あっけないが故に重みがある。


■第22話 マクベ包囲網を破れ!

 リュウの死の後、ブライトは過労でダウン。
 フラウとカツレツキッカの入浴シーンとか挟んで暢気な空気の中、ホワイトベースに爆弾が仕掛けられる。
 マクベによる狡猾な作戦にか絡め取られていく。

 金属を一切身につけない兵隊がリフトジェットで空中からこっそり爆弾を貼り付ける、という方法なんだけど、そんなワザが使えるなら普段からもっと使えばいいのにと。
 というか、リフトジェットもオールプラスチックなのか?無茶な。

 まんまと大型メガ粒子砲の斜線におびき出され、致命傷手前のダメージを負うホワイトベース。危機一髪のところをマーカーの機転で切り抜ける。
 発炎筒で大破を偽装し、マクベ隊の追撃をやり過ごしたのだ。

 んが、ホワイトベースを執拗に追っていて、鹵獲したがっていたコレまでの流れを考えるとこれもかなり無理がある感じ。

 リュウが欠けブライトがダウンしたことで、ホワイトベースブリッジがグダグダになっていく状況が書かれる。
 落ち着いて見えていたミライも脆く役立たずな面を見せ、気丈なセイラも空回りを演じる。
 このままピンチ状態が極まったところで、次回Gアーマー登場。
 Gアーマーは、玩具の売り上げの問題から、スポンサーの要請で急遽ねじ込まれたと言われるが、非常にスンナリと出てくる。(ロボットを乗せて空飛ぶ飛行機というバカ具合も、たしか同話でドダイYSで先に見せておいてからの登場)上手いなー。


■第23話 マチルダ救出作戦

 前回、リュウの死後ブライトが倒れ、指揮系統がグダグダな所、マクベの作戦がハマり、ボロボロとなったホワイトベースは、イマイチ不安なミライの指揮の元復旧を進める。

 レビル将軍は、救援としてマチルダ隊にGアーマーを持たせて差し向けるが、途中ジオン軍と遭遇してしまう。

 サブフライトシステム、ドダイYSにグフを乗せたジオン軍は、誰がどう見ても「無茶だろ」って感じの絵なんだけど、ここでこの無茶な絵を通しておかないと、Gアーマーはもっと無茶な絵なので仕方が無い。
 このあたり、流石に気を使った演出だなーと思う。
 玩具的要請で登場したGアーマーですら、ここまで丁寧な積み重ねの上で登場する。

 ちなみに、GアーマーやドダイYSの登場は作画枚数をケチりながらも立体的な戦闘演出を可能にしていて、結果的にとてもよかったと思う。
 この後のスレッガー中尉の特攻も、Gアーマーだからこその演出(ガンダムを前線に運び、分離して特攻)であり、あれはコアブースターでは無理がある。
 メカデザインとしてどうか、世界のリアリティ演出としてどうか、というと、かなりキライなんだけど。

 お話としては、各クルーのキャラ付けが終わり、戦況は折り返し地点のジャブローに近づく。
 マチルダが持ってきた、Gアーマーを受領し、そろそろ本番。

 そして、次はドムだ。
 ぶっちゃけドムはガンダムにおけるモビルスーツの概念を一段進めたデザインだと思う。



■第24話 迫撃!トリプルドム

 今回は本当に見ておく事をお勧め。特にメカフェチは。

 ホワイトベースの男供にモテモテのマチルダ。
 カイがマチルダに写真を頼む>ワラワラと大勢で写真を撮ることになる>アムロも混ぜてもらってひゃっほー。という流れが上手く圧縮されていてお見事。

 そして、ドム登場。
 今までのジオンのメカと異なり、動力パイプが無いボディ。頭部も口を思わせる排気ダクトが無く、カメラアイ(ガンダム世界ではモノアイという)が十字に動くスリットとなっていて、表情は無いけど、視線の表現が出来るという優れモノデザイン。
 その上、重モビルスーツということで、剣道の防具を思わせるズシリとファットなシルエット。
 そしてなんと言っても当時のメカオタが狂喜した、ホバークラフトによる移動。

 素晴らしい。素晴らしすぎる。
 何しろホバークラフト移動は、ロボットがドタバタ走り回ってチャンバラをするという、インチキ臭い絵ヅラを、ロボットならこういう剣劇もアリという、新しい表現に導いた。
 その上、作画枚数が飛躍的に少なくて済む。経済的!

 さらにドムの魅力を何倍にも生かす黒い三連星と呼ばれるジオンの手練(てだれ)3人組によるジェットストリームアタック。
 縦1列に並んで次々に波状攻撃をかけるという「それってヘタしたら串刺しにされない?」という危険な攻撃なんだけども、大変にカッコよろしい。
 似たようなシチュエーションはその後のリアルロボットモノでも随分見たけど、やはり元祖は素晴らしい。

 ちなみに重装甲のドムにはガンダムのバルカンが効かない。
 これはいままでザクマシンガンを平気で受けていたガンダムの有利が崩れた瞬間でもある。(ビームライフルは相変わらず最強だけど。)

 で、こんだけ美味しいキャラなのに、いきなり三連星は1人欠けてしまう。
 そして、死亡フラグを立てまくっていたマチルダの戦死。
 初のGアーマーの分離合体。
 アムロのニュータイプ的表現の発現。
 この一話は本当に色々詰まっていてとても贅沢な作劇。

 メカフェチ的には、ドムとGアーマーに尽きるが、殺陣もしっかりしていてアクションも面白い。
 ぶっちゃけ、リアルロボットモノとされるガンダム以降のロボットアニメで印象に残る殺陣のある作品がどれだけあるか。
 やー。いいもの見た。


■第25話 オデッサの激戦

 連邦軍の中将が実はジオンのスパイであり、それをアムロ、セイラがみつける。これはなかなかに漫画的。
 この裏切りがバレた件と、三連星が仇討ちに拘って前線を放棄した事によって、マクベは追い込まれ、南極条約で禁止された水爆を用いての恫喝にでるが、レビル将軍は応じず、水爆は発射される。

 三連星が仇討ちにこだわるのを嫌って見せたりと、マクベのキャラを書いた後なので水爆使用までの流れはスンナリとしている。
 また、レビル将軍もこういう恫喝に屈しないタイプである事がすでに書かれている為流れに違和感が無い。
 また、その際セリフ無しで身振りとナレーションによる進軍指示がドキュメンタリー風の効果を上げている。

 水爆の弾頭はガンダムにより破壊され不発に終わりマクベは脱出をする。
 ついでに三連星の残り2名もあっさりやられている。この辺の因縁をあっさり流すのは流石。

 オデッサ作戦は成功しマクベ鉱山基地は連邦の手に落ちる。
 この戦況の変化が、ジオン最大戦力を持っての連邦本拠地ジャブローへの攻略作戦を急がせ、結果失敗を招き、以後防戦一方となって行く。

 物語が、ちゃんとつながっているのは、心地いい。

 難を言えば、何話もかけてその動向を注視させてきた「オデッサ作戦」が案外あっさりとして居て、ホワイトベース以外の連邦軍が何やってたかイマイチだったりするところか。
 とはいえ当時のロボットアニメで主役以外をミッチリ書くというのはかなり冒険的なので仕方のない所。ソロモン、アバオアクーでの描写が出来過ぎなのかもしれない。

 そして次回予告で、シャアが後ろ姿で登場する。見事な中だるみキラー。


■第26話 復活のシャア

 タイトルは復活のシャアだがシャアはとくに活躍せず。
 ゴッグの攻撃をバック転で避けるガンダムが、なんともいえないムード。
 ドムに続きゴッグもバルカンが効かず、いままでのガンダムだけの特権がどんどん崩れていくのがいい感じ。かつてガンダムの性能で強かったアムロだが、今はアムロのおかげでガンダムが強い。

 ビームライフルがなく、ガンダム+ガンダムハンマーで出撃し、いったん戻ってGブルで出撃、Gブルのビームでゴッグ1台を倒した後、下半身とドッキング、ガンダムに換装、もう1台を倒す。
 非常に、無理やり、パワーアップメカの玩具CMとして機能している。
 それでもちゃんと、ドラマの中で必然性を持たせているのが素晴らしい。

 ちなみに、自分はロボットアニメは、玩具CMだと思ってみているので、こういうの大歓迎。

 今回は、ブーン、ミハル、帰ってきたシャアの顔見せ以外、物語はあんまり進まない。

 その代わり、毎回びっくりドッキリメカ出すべしというスポンサー指令に答えゴッグ、玩具が売れねぇよ!というツッコミに対してGアーマー大活躍。職人仕事ですな。

 噂ではスポンサーから「こいつが暗くてイカンのだ」といわれて左遷されたというシャアだが、ファンの声によって復活となったという話も聞く。
 毎回のびっくりドッキリメカも、安彦良和は大反対したらしいが、ジオンの試作メカや局地戦用という言い訳を見繕って、なんとかガンダムの世界観の保ったという。

 外圧に負けず良くこのレベルの物語が完成したと感心する。
 外圧自体がプラスに働いているところもあると思う。凄い凄い。


■第27話 女スパイ潜入

 冒頭、Gアーマーの解説をするアムロ。玩具屋の要求にはちゃんと答える。
 説明を聞くホワイトベースクルーとレビル将軍。というか、将軍現場に居過ぎ。

 ズゴック登場。毎回登場のびっくりドッキリメカはやはり効果的。
 すでに、アッザム(1話)ドム(2話)ゴッグ(1話)と簡易に新メカが出ていて、それぞれ、アッザムリーダ、ホバーによる高速戦闘、重装甲、水中戦闘と、違う強さを見せている。
 ゆえに新型が出るたびに今度のコイツはどう強いんだろうと期待させる。この解りやすさは重要だと思う。
 ズゴックはゴッグの性能+素早い、正確な射撃、というのがウリとされている。
 あとものすごいミサイル連射してて噴いた。

 後発のリアルロボアニメは、何が強いんだかわからないけどとにかく前より強い、以上の説明が足りないものが多い。
 ちなみに前回ガンダムを苦しめたゴッグは「同じ手に乗るか」と叫ぶアムロにビームライフル一発で倒される。(あー前回手を焼いたのは、ビームライフルが無かったからだ)

 カイがホワイトベースを降りる。
 1話前に、軍事機密に触れすぎたホワイトベースクルーは軍人を辞めれば禁固刑だと言ってた癖に。

 ジオンのちょっとしたスパイとして生計を立てるミハルがカイにかかわる。
 このミハル周りの話は非常に良く出来ていて、戦災孤児が生きていく大変さ、軍人で無い人の生き方を、戦闘員とはいえ比較的能天気なホワイトベースクルーとの対比で目立たせる。
 そもそも救いが一切無い。
 同じような話を後発のリアルロボモノでやったら、おそらくミハルは強化人間で大型モビルアーマーに乗って戦うハメになっていたと思う。

ゴッグ、ズゴックが各一機破壊された報告を受けるシャアは「まぁそんなトコだ」「ブーンの責任だ」と、下につきたくない上司ッぷりを発揮する。
 ホワイトベースとガンダムにはそれなり以上の戦果を上げてもらわないと(逆に言えば見方に犠牲を出してもらわないと)何度もホワイトベース追撃を失敗してる彼としては困るのだろう。
 上でも下でも組織に居るとマジ困るタイプだ。彼自身ジオン軍の云々に興味が無いからなー。


■第28話 大西洋血に染めて

 玩具的な必要性によって、冒頭はGアーマーのドッキング訓練シーン。
 ガンダムから合体したGアーマー時には、シールドが1枚しかないという、合体変形上の問題を、深刻な軍事的要素のように語るナレーションの苦しさが素敵。
 これが、シールド2枚重ねとなり、当時のメカオタガキ(俺)はそれは無ぇよなぁ。と思っていたけど、最近のGアーマー玩具ではちゃんと2枚重ねを再現する。恐ろしい時代だ。

 今週のビックリドッキリメカはグラブロ
 何にも似つかない独特のシルエット。三角形の潜水艦に太いアームが2つ。そのアームにズゴック2体をぶら下げて巨大さをアピール。水中戦でガンダムの片足を引きちぎる強さを見せる。

 ちなみに、当時のガンプラシーンでは、やはりモビルアーマーは人気がなく、ガンプラブーム中でも結構余ってた。
 当時の人気順序は、以下のようだったと記憶する。
ガンダム>モビルスーツ(ジオン)>モビルスーツ(連邦)>モビルアーマー>艦船
 だがしかし、戦うグラブロはかっこいい。
 対潜攻撃能力をほとんど持たないホワイトベースは海上飛行時の海中からの攻撃に大変弱い。
 モビルスーツで水中戦が出来るのはガンダムぐらいのもので、海中からヒットアンドアウェイを繰り返す敵に苦戦する。
 これまでに、4機のモビルスーツを沈められているマッドアングラー隊だが、その4機+今回のグラブロ+ズゴック*2機でまとめて攻めていたら、ホワイトベースぐらい落とせただろう。
 この辺、シャアの采配の酷さ(ワザとやってるんだもん)は最悪だ。上司に持ちたく無い。

 話の本筋は、スパイとしてホワイトベースに乗り込んだミハルとカイの触れ合いと死別。
 第2次世界大戦メロドラマ的なノリは、今の美少女、美少年ばかりのアニメでは再現不可能だろう。
 恐ろしい事に、このミハルの死には、一切の救いが無い。
 ミハルの幼い兄弟はこの後、ミハルという支柱なしで生きていかねばならないし、ミハルの死は無駄死にでしかない。「あの子たちならちゃんとやっていけるさ、いつまでもこんな世の中じゃないんだろ」と語るカイの脳内ミハルも、脳内なんだからフォローにならない。
 
 ドラマとしてめっちゃ優れてるわけでもなければ、ギミックとして非常に凝ってるわけでもない、それでも、その世界の空気を反映している、いいフィルムだなーと思う。


■第29話 ジャブローに散る

 タイトルはジャブローに散るなんだけど、誰が散るのかと思いきやウッディ大尉。なんだー。と当時思った。わりと1stのタイトルって東スポ的よね。

 ホワイトベースが後を付けられ、南米の連邦軍本拠地ジャブローはジオン軍の総攻撃を受ける。
 ジャブローという名前が出るのが遅かったので、いまいちしっくりこない。
 が、ジオンの大群が降下するというシチュエーションはやはり大変燃える。
 映画版では音の使い方や演出によってかなりの大作戦な印象を受けるけど、TVシリーズだとそれほどでも無い。

 今回のびっくりドッキリメカはシャア専用ズゴック。当時はシャアズゴと略されていた。あとゾック。
 ゾックの扱いは酷くって、あっという間にやられる。(4回射撃して死亡)
 ジムも登場。これも酷い扱いで、出て即シャアズゴに腹をクローで串刺しにされる。
 このシーンは人気があって当時アチコチでジオラマが作成された。
 今みるとたいした画じゃないんだけど、印象に残るシーンとして演出されていて、やはりカッコイイ。腹を貫いた後シャアがニヤリと笑う、スロー多用で素敵。
 ジオラマセットを買って、改造してオイラも作った。いま考えると、ジムとシャアズゴ買っても600円なのに、ジオラマセットだと700円だ!

 えーと。何だっけ。
 お話的にはシャアが帰ってきたぞーと、アムロのニュータイプ関連描写ぐらいすかね。


■第30話小さな防衛線

 ジャブロー降下作戦中。
 1stガンダムがそれまでのロボットアニメと一線を画す要素に、この大軍団同士の戦闘がある。
 敵味方が大量の兵力で押し合い消尽していく。1vs1が基本だったロボットプロレスアニメと比べて戦争状況をよりそれらしく表現している。

 で、そういうリアル寄りの描写のさなか、カツレツキッカのホワイトベースキッズ3人組が、ジオンに爆弾を仕掛けられた連邦のモビルスーツ工場を機転を利かせて救うというお話。えー。

 毎度ネタにされる、潜入作戦に真っ赤な軍服で参加するシャアとか、誰一人居ないジム工場とか、子供が取り外せる爆弾とか、ウキウキとジム工場の見学にいくアムロたちとか、模様を残して逃げるヘビとか。微妙にのほほんとした空気が流れる。

 とはいえ、アニメのターゲット層とされる年齢は、本来はこの辺の作劇でちょうど良い年代であるべきなのかなとも思う。

 ともあれ、子供3人組のお陰で、ジム工場の破壊は免れる。
 この活躍で連邦軍はモビルスーツの大量生産に間に合いソロモン攻略、アバオアクー攻略に成功するので、彼らがいなければジオンは勝利していたかもしれない。(嘘。数ある工場の1コだという説明がなされている。用意周到)

aguy.jpg んで、今回のびっくりドッキリメカはアッガイ
 最近でこそ、可愛いと人気のアッガイだけど、当時はあんまり人気が無かった。
 弱いし。(ガンダムに一瞬にして4機やられる弱さ。)
 でも俺はなぜか当時から大好きで、自分で切った貼ったして劇中っぽいアッガイ作ってたりした。
 ちなみにビックリドッキリメカの名に恥じず、アッガイはこの一話のみで出番を終える。
 そんなメカが、こんだけ人気出てるんだから恐ろしい。

 ちなみにウロウロしてたチビどもを探すセイラがシャアと出会うシーンがあるので、映画版でもカットされていないこの話だけど、アッガイはかなりカットされている。


■第31話ザンジバル追撃

 ジャブローで修理を終えたホワイトベースは宇宙に上がる。
 シャアもザンジバルで追撃。
 映画、機動戦士ガンダムⅡのエンディングにあたる部分が冒頭となっている。

 今回のビックリドッキリメカはビグロ。リックドムも登場。
 ちなみにビグロの当時の模型の再現度はハンパ無い。そっくり。
 当時のガンプラで、ビグロ、ゾックアッザムは、非常に劇中のイメージを再現していて名品なんだけど、どれこもれもそれほど人気があった方ではなかった。地味すぎるからなー。
 今見るとムラムラくる良さがある。

 戦闘のほうは成層圏ギリギリの闘いで、下手すりゃ地球に墜落というロケーション。本当にマンネリ回避の為の戦闘パターン増やすのが上手い。
 ゲームでステージ水増ししなきゃいけない時には是非参考にしよう。
 ホワイトベースとザンジバルが接触するかという距離ですれ違いながら艦砲を打ちまくるというのもなかなか燃えるシチュエーション。

 ドラマの方はスレッガー中尉登場。
 物語も中盤を折り返したところで出てきた新キャラって事は死亡要員確定。Gアーマーによるスレッガーアタックの弾丸が装填されたといったところ。
 体がデカイというだけでリュウと重ね合わせる子供たち、ヤキモキするブライト、空気読まないスレッガー。
 この付近のお話は活躍してるアムロをほっといてドラマパートが進むという感じが多い。
 ニュータイプが戦争の道具かはさておき、アムロは玩具を売るために孤軍奮闘中という印象。


■第32話 強行突破作戦

 今週のびっくりドッキリメカはザクレロ。
 これは凄い。こんなのと出会ったら、絶対道を譲る。
 ザクレロはからカッコイイと思ってた!
 でも物語開始と同時にあっという間にガンダムにやられる。

 毎週新しいやられメカを出せというスポンサーに対する言い訳としての出撃と撃破だろうが、素晴らしくやっつけ仕事な感じ。

 ドラマ的には、シャアがホワイトベースを追って地上に降りている間、宇宙に居たドレンが再登場。
「追いつけますか大佐。」
「ドレン、私を誰だと思っている。」
 ぎゃー。やな上司!シャアが乗っても誰が乗ってもザンジバルの速度は変わらないと思うが、速度3倍属性はシャアユニットの特性だったらしい。
 ただこの辺のやり取りは上手いなーと。

 戦闘的にはガンタンクで宇宙格闘戦に出撃させるブライトはハヤトを殺したいんじゃねーのかというのはさて置き、
 物語初期シャアの副官としてホワイトベースを苦しめたドレンの艦隊がアムロの活躍によって壊滅させられる。
 ニュータイプとしての覚醒をエンディングに向けて進めている感じ。


■第33話コンスコン強襲
 今回のビックリドッキリメカはブラウブロ。
 スポンサーの毎回新しいヤラレメカを出せという要求に答えて、さっさと出てさっさとやられる。
 まさかその後ガンプラブームが来てこんな奴のプラモが出るとは当時は誰も思わなかっただろう。
 これ700円ぐらいしたんだよな当時。当時が如何にブームであったかという。

 小型攻撃端末を飛ばして四方八方から攻撃するオールレンジ攻撃と呼ばれる戦法を使うブラウブロは、ガンダム世界におけるニュータイプ用兵器の初登場。
 そんなの単機で作らないで複数の機体で四方八方から攻撃すりゃいいじゃん、という種類の突っ込みは無粋。単機の能力を際限なく上げていく方向は男の子の燃えだから。

 ドラマパートはキャラクタの登場が多い。
 ミライのフィアンセ、カムラン登場。彼は映画版ガンダムにも、映画版逆襲のシャアにも登場するという、アムロ、ブライト、シャア並みの有名キャラ。
 彼を殴ると、女にモテるという縁起のいいキャラでもある。ただしモテた後は死ぬ。

 アムロの父テム、第1話以降の再登場。いい感じに酸素欠乏症にかかってる。少年の成長譚なので父も母も乗り越えるべき対象として描かれる。

 ジオン軍のコンスコン登場。今回のやられキャラ。
 彼はシャアに対して「奴はなぜマスクを外さんのか」と今まで誰も突っ込まなかった所に触れる空気読まねぇ男らしさ。
 そんなことだから12機のリックドムを3分も経たずに全滅させられてしまう。
 アムロのニュータイプ覚醒も極まってきた。

 そんなわけで、終盤に向かっての準備が色々整ってきた感じ。


■第34話 宿命の出会い

 中立区域で、シャアとアムロが初めて出会う。
 34話まで装甲越しでしか出会っていないし、そもそも会話もしていない。互いに独り言をつぶやいていただけ。
 それでドラマを引っ張れるんだから本当にたいしたモンだ。
 安易に敵味方を出会わせたり、コクピット明けて話したりというのは不要という事で。

 そしてアムロとララァの出会い。この二人は数分しかまともに出会っていないのに、恋愛感情に近い何かを抱く。コレは無茶な話だなと思うけど、心で交流出来るニュータイプ同士ならばそれもアリかも知れぬ。
 だけど物語のキーになる人物がこのタイミングに出てくるのは作劇として遅いんじゃなかろうか。それがリアルと言えばリアルだけども。(まぁ打ち切りだしな)

 この話は、映画では一つにまとめられていたコンスコンとの2度目の戦いなので、戦闘自体はワリと大きな見所無し。びっくりどっきりメカも無し。
 1stガンダムは大きく3つに分けて見ることが出来、それは「宇宙編」「地上編」「宇宙編2」なのだけど、大枠のキャラの立ち位置やドラマは「地上編」で固まっている為「宇宙編2」はダレ場になっている。
 が、そこで、ホワイトベース内の安定を乱すスレッガーの投入、立場が固いと思っていたミライの揺らぎといった内輪ドラマと、ソロモン攻略戦、アバオアクー攻略戦、と大掛かりな戦場の推移、ソーラシステム、ソーラレイというSFビッグアイデアの投入と、ダレ場をダレさせない畳み掛けが素晴らしい。

 逆に言うと、30分アニメを1年間毎週放送するならそれぐらいやらないと間が持たないと言う事で。
 大変だなぁ。

■第35話 ソロモン攻略戦

 ワッケイン指令久々の登場。
「ご苦労だったなブライト君。」
「ご無沙汰であります。ワッケイン指令。」
「指令はやめてもらおう。お偉方が集まれば私等は、あっという間に下っ端だ。」
「はぁ」
「貴様もいっぱしの指揮官ヅラになっってきた。」
 コレだけの会話で、流れた時間とその間の状況の変化、関係者の立ち位置の説明が済んでいる。見事ったらありゃしない。

 ジオン軍の拠点の一つ宇宙に浮かぶ巨大な岩石要塞ソロモンに、連邦軍が総攻撃をかける。
 ソロモン、ティアンム艦隊共に補給をする描写が入り、大作戦がこれから始まるというのを印象つける。
 パブリク突撃艇がビーム攪乱膜を張り、遠距離攻撃を無効化してからモビルスーツ戦闘開始。大量のジム、ボールがソロモンに向かう。ホワイトベースもこの戦争に参加する。
 アムロが「これが戦場か」と漏らす大戦闘。でもこれは、本命の作戦の陽動でしかない。

 今週の山場は、ソーラシステム。これが本命の作戦。
 ソーラシステムは本当にSF的なビッグアイデアだと思う。
 コロニーに使われるミラーを転用し、凹面鏡状に宇宙空間に並べ、太陽光を収束し敵を焼くという攻撃。
 宇宙空間の大面積に大量のミラーを並べるという、絵的なハッタリも素晴らしい。

 次回に向けて、今までシャアの元上官で今は折り合いが悪いジオンのエライ人としてのみ描かれていたドズル中将の描写が細かくなり、軍人らしい軍人である事、家庭人である事が触れられる。
 名前はドズルですよ。ボヤッキーとかトンズラーとあんまり変わりませんよ。それが家庭人ですよ。しかもこんなフィギュアまで出てる。
「たった一機のビグザムだけだと!?」
 こんなものをよこすぐらいならドムの10機も遣さんかと怒るドズルだけど、コンスコンに12機のドムを渡してホワイトベース隊に2分ちょいで全滅させられた後だからなー。


■第36話 恐怖機動ビグザム

 今回のビックリドッキリメカはタイトルどおりビグザム。当時の模型は足短くて独特の雰囲気なんだけど、最近はえらくカッチョ良いアレンジがされている。
 その巨大さ、不気味さの演出の為、頭部だけ、足だけと、部分ずつしか見えないカットが続く。カッコイイ。

 物語はソロモン攻略の最中。
 ホワイトベースクルーも全員がノーマルスーツを着用しており、緊張感が増している。
 被弾して退避してきたスレッガーのGアーマーも修理と補給を10分で済ませてまた出撃と、佳境であることが示される。
 その修理と補給の間、ミライはスレッガーに好意を寄せる。スレッガーはそれを嗜めるが、母親の形見という指輪をミライに託す。
 この辺は機転を利かせたスレッガーの嘘っぽいのだけども、戦場メロドラマとして高い効果を上げている。
 あわせて、ドズル中将が脱出させた妻と娘を気遣う描写が入り、決戦にふさわしい盛り上がりを見せる。
 皆して死亡フラグを立てまくってる状況。

 ドズルが脱出させた妻と娘は、マクベの艦隊に拾われる。
 マクベの「脱出ロケットなぞ構わずに」との発言に、バロムは「失礼だが、マ・クベ殿は宇宙の兵士の気持ちをわかっておられん」と異を唱え「このような時、仲間が救出してくれると信じるから兵士達は死と隣り合わせの宇宙でも戦えるのです」と主張する。
 こう言われて素直に救出することにしたマクベは、兵の気持ちが解らない政治屋だが、だからと言って頑迷というわけでもないらしい。

 大量のジオン軍、連邦軍が入り乱れ、消尽していく。ホワイトベースクルーもその戦火の中で一戦力として戦っている。
 しかし、ソーラレイに戦力を削がれ、ソロモンの陥落は時間の問題となっていく。
 ドズルは、ソロモンを放棄させ、部下を脱出させ、自分一人で特攻をかける。撤退する兵の為の時間稼ぎとして、少しでも連邦の兵力を道連れにする。

 ビグザム1機の使い道としてはそれぐらいしか無いもんなー。ギレンも酷いわ。

 ビグザムの猛攻を見て、スレッガーはアムロにドッキングして接近する事を提案する。
 ビームバリアに守れれているビグザムは遠距離からの射撃では倒せないのだ。
 Gアーマーは、ガンダムを遠距離輸送しそのまま戦場に投入するサポートメカなので大変正しい使い方。
 至近距離からのビーム発射を試みるが、ビグザムの足に接近を阻まれる。
 そこでガンダムと分離し、スレッガーは死亡、アムロはビグザムを倒す。
 ドズルがスタンド攻撃するけど、あれをどう解釈すべきかは色々あるので深く考えない。

 ちなみに映画版のコアブースター特攻シーンはものすごく作画が良い。猛スピードで突っ込んで破壊されながらも慣性でパーツやスレッガーが飛んでいくところは目を奪われる。
 TVシリーズでも作画は荒いながらも、Gアーマーによる似たようなシーンあったような偽記憶が醸造されてた。やべぇ。

 スレッガーの死をアムロから聞き、悲しむミライにかぶせて、挿入歌。
 ホワイトベースクルーも大量に負傷しており、通路に治療中で寝転がっている。

 自分はこの負傷兵が日常の背景に大量に転がっている絵ヅラのインパクトが好きで、何か機会があったら絶対に使おうと思っている。



■第37話 テキサスの攻防

 ソロモンの攻略戦が終わった。ドズル中将旗下の宇宙攻撃軍は事実上壊滅した。
 ジオン公国にとっては予想だにしなかった敗北であった。
 デギン・ザビ公王は、ドズルにしてもっともな事であるよ、とギレンに答えたという。
 ギレンはその公王に怒りを覚えつつも、綺羅星のごとく居並ぶ高官達の前で叫んだ。
 ア・バオア・クーを最終防衛線として連邦を撃つ、と
 このナレーションは冴え過ぎだろう。なかなか書ける文章じゃない。そして声も素晴らしい。
 雰囲気バツグンだ。しかもあんまり意味が無い。
 こういうのは富野とか高橋がすげぇ上手いと思う。

 そして2話にわたって続いたソロモン攻略戦後の疲弊したクルーたちのちょっとした休息。
 身体検査をしたり、横たわったり、フロに入ったりの細かいカットで状況を説明する。毎度ながら上手い。

 今回のビックリドッキリメカはギャン。
 長らくTVシリーズの映像を見る手段が無かったために、ゲームに出てくるギャンしか知らない人も多い。
 べつにいいじゃんと思うなかれ。
 ゲームに出てくるギャンはその時代の影響で、サムライスピリッツのシャルロットみたいな動きをする。あれは違う。勘弁してくれ。
 ギャンはキシリアがマクベ専用に用意したモビルスーツなのだ。後付設定では、ゲルググとギャンで量産化の獲得競争があった機体とされてるが、そんな事は知らぬ。打倒ガンダムとマクベ自ら設計した機体なんだから。(この辺の漫画っぽさが映画でカットされた所以だろう)
 だから、これは専用機とか、特殊武装が好きな男の子の香りのするロボだと思う。乗ってるのがマクベじゃなかったらもっと人気があったろう。

 あとシャア専用ゲルググも登場。
 マクベがガンダムにやられれば良いと思って傍観を決め込んでいたので、イマイチ活躍しない。
 というか、毎度毎度、シャアはひでぇ。ホワイトベース隊のキルデスレシオが良い原因はシャアが味方を見捨てたりしてるからだ。

 お話的にはお互いを感知しあう、アムロとララァぐらい。
 ララァの特殊能力と、いずれ戦場に出るコトを匂わせて、対決までを盛り上げていく感じ。


■第38話 再開シャアとセイラ

 前回の「テキサスの攻防」の続き。
 宇宙に上がって以降、話の切れ目が解り難くなり連続物的な雰囲気に。これまで一話完結のボトルショーによって話を積み重ねてあるので、連続物としても間が持つ。
 この辺、後発のガンダムは最初から連続物的な物語構成をするからついていくのに疲れちゃう。
 時代の問題でしかないけど、一話完結ロボットプロレスアニメの血を濃く引いていたので、個人的に1stガンダムは見てて疲れなかったんだなと思う。

 ニュータイプとして覚醒したアムロにとってシャアはもう敵ではなく、ゲルググはカンタンに退けられてしまう。爆発を偽装して逃げたシャアは、アムロを探しに来たセイラと出会う。
 その会話を、ブライトは通信越しに聞いてしまう。 

 ここでやっと、シャアとセイラの過去と現在がどういったものであるかが語られる。
 彼らはジオン公国の名前となっている、革命家ジオンダイクンの子息であり、ジオンダイクンはデギンザビに暗殺されたとされている。シャアは仇討ちの為に軍に入り、ザビ家に近づいていた。
 宇宙世紀にもなって、時代劇のような仇討ち人情劇。
 シャアがガルマを罠にハメてからはるばる28話してやっと語られる真相。

 しかし、これはTVシリーズだけ追ってると解りにくいだろう。
 当時のアニメは、それこそロボットプロレスアニメだったので、プロレスを見るように毎回のバトルだけ見れればOKという感じだったから、こういった大河ドラマ的な作りは珍しかった。

 ニュータイプ論もここでようやくその骨子が明らかになる。

 そんなわけで、物語に決着を着けるために必要な要素がここでやっと全て出揃う。

 1年かけてアニメを放送ってのはもう、最近のTV事情としては無理だなぁと感じる。暢気に過ぎる。


■第39話ニュータイプ、シャリアブル

 木星帰りの男。シャリアブル。
 ニュータイプの資質ありとして、以前にチラと顔見せしたブラウブロのパイロットとして登場。
 戦後の政争を睨んで、ギレンがキシリアの元に送り込んだ人物でもある。

 ニュータイプとして、洞察力というより読心術に近い力を発揮しているような演出もある。
 ニュータイプの能力によって道具のように使われる事を嫌い、しかしうまく立ち回れず難渋しているナイスミドル。なんつう通好みのキャラだ。
 ブラウブロと一緒に久々の登場の技術仕官のシムス中尉も、年増のメガネ娘スキーには人気が高いというマニアックキャラ。
 なんとも濃ゆいキャラクター構成。

 ララァがエルメスで連邦軍をボコり倒したり、その雰囲気をミライが感じ取ったり、シャリアブルがバリバリオールレンジ攻撃を仕掛けたり、セイラも「てぃきーん」を出したり、アムロがマクー空間に入ったり、ニュータイプ演習が雨あられ。ちょっと前衛実験アニメのようになっている。薬でもキメたような映像。

 以下はシャアとシャリアブルの会話。
「いえ、もし我々がニュータイプなら、ニュータイプ全体の平和の為に案ずるのです」
「人類全体の為に、という意味にとっていいのだな?」

 ニュータイプとは何ぞやという話が多くあり、物語の決着をニュータイプでつける為の準備が進む。

 そのニュータイプの発現として反応速度が上がりすぎたアムロにガンダムがついてこなくなる。
 ガンダムのおかげで強かったアムロが、やがてアムロのおかげでガンダムが強くなり、ついにはアムロの強さにガンダムがついて来れなくなる。

 いよいよ最終話が近い。あと4話だ。


■第40話 エルメスのララァ

 アムロの能力が極まってしまい、ガンダムの性能が追い付かなくなっている。
 主人公の成長物語として、ガンダムによって強かったアムロが、やがてガンダムを使いこなし、更にはガンダムでは事足り無くなっていくのは非常に上手い。
 またこの辺の話を、カツレツキッカの会話で説明し、ブライトとフラウ、ミライの会話につなげていく所も、説明が見事。
 そしてガンダムはマグネットコーティングされ、動きが以前より滑らかとなる。

 ジオン公国は本土決戦にそなえ、ソーラシステム(ソーラレイ)の構築を急ぐ。
 宇宙コロニーマハルより150万人を疎開させ、他コロニーからも太陽電池を運び込み、コロニーをレーザー砲とするという、SF的ビッグアイデア。
 しかも、疎開や、作戦をめぐるデギンとギレンの会話で、ジオン公国の立ち位置や戦況を視聴者に伝えていく。この辺も説明セリフになり過ぎず、多重的に出来ごとに触れていくのが非常に上手い。
 で、話がややこしくなったところで、エルメスが出撃する。

 エルメスはボコボコ戦艦を落としていく。通算1日に4隻。
 実際物語終盤ではかなり簡単に戦艦が落ちるので「ルウム戦役で5隻の戦艦を沈めたシャア」もカタ無し。
 実際何100機もMSが破壊されていそうな大規模戦闘だったソロモンですら、10機のザクが云々と言っていたり、1stガンダムに置ける戦力の表現はかなりいい加減なのだけども。

 そして「シャアが来る」の楽曲に乗せて、ガンダム、エルメス、シャアゲルググ、ドムのバトル。
 でも、強まったアムロとガンダムに対し、シャアはいい所無し。
 初手で即死しそうな所をララァに救われ、その後も「大佐、邪魔です」扱い。1コーラス中に腕を破壊され、顔面キックを食らう始末。
 シャアの強さを唄った歌にのせてこのやられっぷりは非常に悲しい。
 アムロとシャアは完全に力関係が逆転しており、赤い彗星も形無し、白い悪魔恐るべし、といった感じ。
 残り話数も迫ってきた。
 やはり1つの物語を40話以上かけて紡ぐというのは、ちょっと無理があると感じる。
 もともとTVアニメはビデオやDVDなどにならず、繰り返し見る事を対象とされない娯楽であったわけだし、玩具を作って売るには1年のスパンは必要だったのだろうけれども。
 だからこそガンダムも1話完結のボトルショーが大量にあり、キャラクターもどんどん使い捨てられていったのだろう。
 映画版のガンダムが余分をシェイプし、つながりを調整して物語として綺麗に纏まってるのを見ると尚更思う。
 でも捨てられた余分にも魅力的な所は有るんだよなー。


■第41話 光る宇宙
 
 物語も終盤で、ホワイトベースクルーも疲弊している。ブリッジでの談話もかなりダレだ雰囲気。
 初期はやたらキリキリしていたブライトも人当たりが良くなり、アムロも尖ったところが取れている。長い戦闘と共同生活でそれぞれ大人になり、相手を気遣えるようになっている。リュウもこの光景を見たら安心できたろうにと。

 アムロ・セイラvsシャア・ララァ。因縁のありすぎる戦い。
 シャアをかばったララァはアムロのビームサーベルに焼かれる。

 映画版では全面的に描き直されていて、こちらの画を見る機会が少なかった為かなり新鮮な印象。
 でも描き直されてはいるんだけど、構図はあまり変えてない。結構お気に入りの演出だったんだな。
 ララァを失ってシャアが感情を露にする。アムロも嗚咽する。 

 そしてソーラレイ発射。
 ララァの死とソーラレイ発射という大型イベントを1話に収めたのは、打ち切りが迫っていたからなのか、同時に描く事で、命が散っていくところを多層的にしたかったのかは解らないけれど、凄く効果が出ている。
 ジオンの内側、ギレン、デギン、キシリアのそれぞれの思惑を近い距離で描きつつ、連邦の動きは、レビル将軍含めナレーションなどで距離を置いた描写。大変見事。

 あと2話。


■第42話 宇宙要塞ア・バオア・クー

 ソーラレイが発射される。
 スペースコロニーを砲身として放たれた極太レーザーは、連邦の艦隊の30%を消滅させる。その光は和平交渉のため連邦に接触を図っていたデギン公王を乗せたグレートデギンをも消滅させた。
 ちなみにレビル将軍も一緒に消えてる。

 ギレンの謀略によるものだが、キシリアはそれを許さず、ギレンを殺害する。政争的なものか、それ以外のものか、複雑な感情が混じる。
 ここでの会話も恫喝交じりではあるが、お互いの本心ではない言葉が続いており、こういうシナリオがちゃんと書かれているのは大きい。腹芸の出来てないアニメが多すぎるし、それが視聴者に腹芸として伝わらなければクソ以下なので、やはりこのサジ加減は見事だと思う。

 この辺、解釈の自由が大きい物語は、やはり面白い。

 アムロは最後の戦場への出撃に「ニュータイプのカン」として「作戦は成功する」とクルーを安心させる。
 カイはそれを嘘だろうと見破るが、以前のように茶化さない。
 クルー全てが、第1話の頃から比べて成長している事がわかる演出。

 アムロがかつては邪険に扱っていたフラウに優しい言葉をかける、フラウも答える、その後ハヤトがフラウに絡みに行く。もう全員がかつての自分と違う立ち位置振る舞いを把握している。

 戦場では、ジオン、連邦が入り乱れて消尽していく中、ガンダムが2丁バズーカで立体的に暴れまわる。
 この2丁バズーカガンダムを実現するには、1/144ガンダムを1コ、武器セットを2コ必要とし、900円かかるというのが当時の思い出。子供にゃ買えねーよ。今なら、大人買いOKです。

 シャアはジオングで出撃をする。
 足が無い機体は、正に最終防衛ラインでの戦闘である事を感じさせる。
 その事を指摘するシャアに、「あんなの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ」と答える技師のセリフは有名だけど、確かに印象に残る。

ナレーション「シャアは激しい焦りを感じ始めていた。ニュータイプ用に開発されたこのジオングのパワーを最大限に発揮できぬ自分に。あのガンダムのパイロットは今確実に自分を追い込んでいる」
シャア「しかし、私もニュータイプのはずだ」

 ちなみにア・バオア・クーって変な名前だけど、名前の元ネタはインドの化け物。
 富野がララァネタ探してる時にでも見つけたんじゃねーかと勝手に思ってるけどどうなんでしょうね。
 ラスト1話。


■第43話 脱出

 ジオン軍最終防衛ラインである、ア・バオア・クーでの最終決戦。

 ホワイトベースはエンジンを破壊され、敵拠点ど真ん中に着艇し防衛戦を開始。どんだけ強襲揚陸艦。
 ガンキャノン、ガンタンクも破壊され、ホワイトベースクルーは銃を手に白兵戦。

 拡大しきった戦線は、事態を収拾できずただただ、戦力を互いに消耗していく。

 シャアのジオング、アムロのガンダムも各部を破壊し、殆ど原型をとどめなくなる。物語として後戻りが効かない状況となっていく。

 戦えぬ機体を捨てて、肉弾での一騎打ちへともつれ込む2人は、もはや戦争ではなく私闘。

 ニュータイプとしての能力を発現させたアムロは、野放しの核兵器のようなもので、シャアから見ればその存在は危うすぎる。
 アムロから見ればシャアの行動は私怨と利己に過ぎない。

 議論しながらチャンバラするという、ガンダムシリーズの定番演出だけど、1stガンダムではまともに会話が成立したのはこの最終話までほぼ無し。(殆どが独り言なので。ガンダムvsランバラルグフの時に、脱出間際に会話が成立した程度。)
 ガンダムらしさの一部でもあったため、後続作品では無批判に初期から議論しながらの戦闘があったけど、あれはやはりちょっと考え足り無い感じが。ニュータイプなのか通信してんのか。
 そもそも1stガンダムでは、戦争は状況であってドラマは戦争と違う場所で回っていた。アムロの成長、クルー内の揉め事、ザビ家の政争、戦争の中の出会いと別れ。そういうのが軸なので、装甲越しの会話の必要性が少なかった。

 シャア、アムロの決戦は爆風で水入りとなる。
 シャアはキシリアを殺害し行方不明。アムロは仲間のもとに帰る。

 アムロの脱出劇は、破壊されたガンダムに残されたコアファイターを用いたものであり、スポンサーの要請によって毎話しつこくガンダムの合体変形を繰り返してきたが、それが伏線になっていたのは素晴らしい。(なんか変な方向で刺さってるけどな)

 沈んだホワイトベースから脱出したクルーが、アムロを探す。
 子供たちがニュータイプの可能性を見せアムロを導き、物語は人類の進化を示して結ばれる。

 宇宙世紀0080。この戦いの後、地球連邦政府とジオン共和国の間で終戦協定が結ばれた。


 あとで、総括的な感想を書いて、ガンダム全話感想のシメとしたい。

■機動戦士ガンダム(TV版)感想総括

 バンダイチャンネルのおかげで全話を纏めてみる事が出来たので、纏め感想を書いてみる。
 機動戦士ガンダムはどうにも複雑だなと思う。
 勝手な視点から勝手に分析してみる。エライ長文になっちゃったのでヒマな時にでもどうぞ。

■プロジェクトとしてのガンダム

A:なんか凄いことやって一旗上げたい。
B:宇宙戦艦ヤマトのハイティーン向けの成功を見て、同じくハイティーン向けを狙った。
C:ザンボット、ダイターンの玩具売り上げを継ぐ作品が欲しかった。(ローティーン向け)

 関係者が皆揃ってバラバラな方向を見てる。
 普通のプロジェクトだったら、十中八九迷走する。
 しかし、結果的に大ヒットを収める。運が良かったのか。監督が凄かったのか、それ以外の誰かが凄かったのか。
 複数人数の才能が上手く噛み合ったんじゃないかなと勝手に想像するが、そう世の中上手く行く事ばかりじゃないだろうから、誰か縁の下の力持ちが居たのかな。
 我が身を振り返って「状況の中、やるべき努力を全てやってるか」という非常に心に痛いものを感じる。頑張らなきゃ。


■フォーマットとしてのガンダム

 ガンダムはマジンガーZの血を引く、ロボットアニメのフォーマットの「そういうもんだから」に全て「理屈を与え」ている。
 戦う土壌は、独立戦争だから。
 ロボットが戦うのは、軍用兵器だから。
 肉弾戦になるのは、ミノフスキー粒子の所為でレーダーが効かず遠距離戦闘が不可能だから。
 周りが皆若いのは、難民を乗せての逃避行中に、軍人が死んでいったから。
 主人公が子供なのに活躍するのはニュータイプだから。
 ロボットが合体変形するのは、脱出装置の延長。安くシステム運用するためのものだから。
 正直「よくもまぁ」と思う徹底加減。そしてそれらは裏設定でなく劇中で巧妙に語られていく。
「劇中で巧妙に語る」ことに関し、監督の富野は本当に優れていて、多層的な演出のなかでサラリとその印象を強くするような表現が多く目に付く。
 結果的に子供より可処分所得の高いハイティーンを顧客として成功。プラモを筆頭に関連商品は多く売れたし、映画化した後もブームは終焉せず現在に至る。
 この「こういった手法で関連商品を売る」というフォーマットはガンダムで確立した。
 面白いだけでは商売にならない。ちゃんと関連商品が売れる道筋がついた結果ここまでの歴史的作品になったと考える。
 半分ぐらいはマグレに見えるけど、マーチャンダイジングで食っていく、というTVアニメの発明の後、その年齢層を上げるというのは必然で、ターニングポイント付近の作品かと。


■物語としてのガンダム

 戦争に巻き込まれた少年主人公が、仲間と修羅を潜り抜ける過程で、戦士としても人間的にも成長する。その成長は、人類の未来をも感じさせる。(人類の未来への飛躍っぷりはアンマリだが)
 大筋はこれだけ。
 プラスαとして、敵側の組織内の政争、サブキャラクターの宿命等で話の密度を上げている。

 ロボットアニメのフォーマットを作ったマジンガーZに限らず、ウルトラマン、仮面ライダーなど、当時の児童向け番組は、敵が出る->倒すをほぼ1話完結で進めていくという構造だった。
 ビデオもなかった時代なので、大河的なストーリーは難しかったし、興味の移ろいが早い児童は1話で完結しない話にあからさまな不満を持つ。(自分もそうだった)

 紙芝居のように毎回設定のあらましを入れ、戦いが有り、時代劇の定番のように、見せ場としての殺陣が有り、大団円が有って、一話完結という、若年層向けのフォーマットは大変優れていて、ちゃんと沿っていれば、それだけで何とか視聴に耐えるものになりやすい。

 ガンダムはそのフォーマットに従ったまま、バックグラウンドの物語を濃くしている。
 ボルテスVやダイモスなども、バックグラウンドの物語が濃かったが、ガンダムは、既存フォーマットを嫌うかのようにお約束部分を形骸化させドラマに重点を置いていく。
 正直ギリギリのバランスだと思う。後続のアニメでは、お約束を形骸化させるというお約束になってしまい、お約束を破壊していく快感はない。


■コマーシャルフィルムとしてのガンダム

 全話を見直して、改めて思ったのは「Gアーマー大活躍だな」と。毎回何らかの見せ場が用意される。それも、バンクを使いながらも意味合いの違う活躍をしている。
 玩具を売るために、合体変形のバンクシーンを毎話見せるというのは、当時のお約束で、それと真っ向から対決する為に、そのお約束に無理やり意味を持たせてある。

 初期、Gアーマー登場前は、偵察任務等でコアファイターで出撃し帰還しそのまま換装してガンダムで再出撃や、空中でガンダムに換装する部分を見せ場にしている。
 ドラマ的に余分なので、空中換装の訓練をしていた、それを思い出していたなど、苦肉の策で冒頭のナレーションに挿入してあったりする。
 しかし玩具がよほど売れなかったか、テコ入れとしてGアーマーが投入され、可能な限り本編中で運用されるようになる。
 長距離運用にはGアーマーに合体。ビーム砲はGブルの方が強い。速度はガンダムスカイが速い。
 そんな理由をつけてGアーマーで出撃、小回りの効くガンダムに分離、アムロの才能で大活躍する。といったパターンが多用される。

 週に1度見る分にはこれでいいが、1日1話ペースで見た今回、非常にツラかった。やはり戦場で合体変形する意味は難しく、言い訳に終始している感じがある。
 が、その苦しい言い訳が、Gアーマーの存在感を増した。

 旧来の変形合体ロボが、お約束だからとりあえず変形合体していた感(出撃したら即変形合体する。丸ごとバンク等)が強いが、そんなお約束に真っ向から取り組んだのは、結果として大きい成果を上げたのではないか。
 今まで残るガンダムのトイシーンでの絶対的な強さは、この必然性の為の演出によって、作られた部分が大きいと考える。
 その後この辺をちゃんとやってる作品がどれだけあるかというとかなり寂しいが。
 だからこそ色あせぬのかも知れない。


■マンネリを回避するガンダム。

 毎回敵が出てきて倒して終わり。当時のロボアニメの基本パターンで、ガンダムもこれを踏襲している。
 しかし、マンネリを回避する為に相当な工夫が凝らされていると思う。
 特に毎回の戦闘の目新しさ、その決着をどうつけるか(どう決着を先送りするか)は良くぞこれ程と感心する。

 まず、戦場を上手く変化させている。コロニー内、宇宙、大気圏降下中、地上、夜間、都市部、砂漠、海上、ジャングル、洞窟内、また宇宙、といった具合。場所によって戦いも変化している。物語冒頭と後半が同じ宇宙だが、これも比べると格段にホワイトベースクルーが戦い慣れしていて、アムロの強さも極まっており、まさに比較用といった塩梅。

 決着の先送りの方法も上手い。シャアとアムロの決着が何度も水入りになり、最終話まで持ち越されたにもかかわらず、マンネリ感を上手くごまかしている。
 弾切れ、作戦変更、深追いはするな、大気圏突入等、手を変え品を変えだが、実際の対決回数を減らしているのが手堅い。
 その話で死で困るキャラクターは出撃させず、戦力は壊滅させて、カタルシスを発生させたり、ガルマ、ランバラル、黒い三連星、マクベ、と次々に主な敵役を交代させ、それぞれ打ち破って行って、話にケリをつけていくなどだ。
 極めつけにシャアは一時期左遷になっていたので、敵として現れていない。

 ヘタな後続アニメでは、キャラクター人気から出ずっぱりなのに殺せないなどで、戦闘が形骸化し、緊張感を保てず、毎回同じことをやっているようなストレスが溜まる。

 もう本当に上手い。マンネリを如何に避けるか。如何に緊張感を保つか。
 教科書だなと思う。


■メカモノとしてのガンダム。
 毎回ジオン軍が新メカを送り込むのは、玩具屋のテコ入れによるものだそうだが。
ザクMS一般機。マシンガン。
シャアザクMS ザクより3倍早い。
旧ザクMSザクより弱上に武器なし。
グフMSザクより断然強い。鞭とサーベル、シールド付。
アッザム MA鳥カゴ電子レンジ攻撃。
グフ&ドダイMSの上に乗って飛ぶロボという凄い絵ヅラ。後のGアーマーへの布石でもある。
ドムMS 重量級ながらホバーで高速移動。バズーカと刀。
ゴッグMS水陸両用。重装甲。バルカンやハンマーをものともせず。カギ爪
ズゴックMSゴッグの力+スピード。頭部のミサイル6門。カギ爪とその中心にビーム砲。
グラブロ MAズゴックを2体ぶら下げる巨大さ。水中での超パワー。
シャアズゴックMSズゴックが赤く塗ってある。シャア属性で強い。
ゾックMSメガ粒子砲を9門装備。見かけだおし。
アッガイMS手が伸びる。別に強くない。
ビグロMAグラブロのデカさ。宇宙戦で超高速。
ザクレロMAインパクト最大のコワモテ。
ブラウブロMA四方八方からのオールレンジ攻撃。
ビグザムMA巨大。MSを溶かすほどのメガ粒子砲とビームバリア。
ギャンMS大量の機雷を撒くなど、卑怯な戦法が得意。
シャアゲルググMSゲルググのシャア属性。ジオンによる初ビームライフル機体。
ゲルググMS ジオン軍のガンダムを意識した機体。
エルメスMAサイコミュ(無線誘導のオールレンジ攻撃端末)装備。
ジオングMAサイコミュを導入したMS型。シャア属性。頭部だけでも戦える。

 ざっと記憶で列挙したが、見事なほどに、性能被り、キャラ被りが無い。
 新型が登場した時に、その新型が旧型に比べどこが強いかが一目瞭然。
 正直、後継の作品は、新型が旧型より強いのは強いとして、ドコがどう強いのか?と言う部分の説明が無いものが多い。そこをお約束で処理してしまっては、メカ戦の面白さなど消えてしまう。
 量産型というアイデアで、ロボットバトルを旧来から飛躍的に進めたガンダムだけど、それでも一戦一戦がマンネリにならないように、大変考えられているのが解る。
 ZやZZ等が続編であるが故に、最初から全メカがビームライフイル、ビームサーベルを使う状態で始まってしまった事は、メカの差別化において不幸だなと思った。

 しかもこれ、MAは殆ど毎回1話で破壊されている。MSも1話しか登場しない機体がいくつかある。この辺はマジンガーZからの伝統だけど、だからこそ解りやすい。
 使い捨ての敵は、特徴的に強く、それゆえに弱点がありアムロが機転を利かせて倒せる。
 アムロの強さを印象付けるし、ヤラレメカなりの存在感を放つ。そしてその戦いが殺陣として成立する。

 特に意識せずに量産形を導入した後続のアニメでは、この辺が大変甘く、メカに特徴が足りないから、メカ戦の殺陣も面白くない。
 玩具的なデザインが優先され、演出に差が出ないメカが多すぎる。
 相手が遠距離用だから懐に飛び込む必要があるし、水中用だからハンデがある。重装甲だから弱点を探す。それが無いなら戦闘なんざ消化試合になってしまう。

 一時期大量に発生した「画面を横切りながら銃を射っているだけ、誘導ミサイルを発射してるだけのアニメ」は殺陣の概念が希薄で個人的にどうしても評価が低めになってしまっている。

 1stは一時代を築いた作品だけあって、フォーマットの中身の埋め方が大変に見事。


■人間ドラマとしてのガンダム。

 当時余り気にしていなかったのだけど、改めて見ると、腹芸会話が異常に多い。
 ホワイトベースクルーもお互いが馴染むまでは、相手との距離を測りながら会話をしている。
 サビ家の上の方の連中は常に本心を語らない。ドズル、ガルマは素直に本心を語るキャラだったので真っ直ぐに戦死する。
 突然わけのわからないことを喋りだした相手に対し、さらに噛み合ってないセリフを返す、噛み合わないセリフの応酬、みたいなのがシレっと普通のドラマに混ざっている。
 他の作品とかと比べると、これは富野の芸による部分が大きい気がする。


■1stガンダムまとめ。

 その後30年もつ作品というのは、やはり熱量がとんでもない。情報量も莫大。
 その上で荒削りだから、色々考える余地が有る。

 あの時代の特殊な状況と時代性によって出来上がった、運とマグレを含む結晶だけども、それが結晶するだけの熱量を持っていた、凄いものを作ろうとした人が何人か居た。
 そうじゃなきゃこれ出来無いよなという印象。

 冨野メモ見る限り、ギレンとアムロの一騎打ちまで構想されていたわけだから、打ち切りでちょうど良かったとか、アムロとシャア共に戦死予定を、後につなげるために殺さないという判断が提案されたとか、運によるものも大きいけども、やはり、運だけではこうは行かない。

 恵まれた状況だったとは、まったく思えない製作環境の中で、これだけのものが出来るというのは、本当に凄い。
 個人的な話をすると、ここんとこ凹むことが多くあったんだけど「逆境でも、やりゃあ何か残る」という例がこんなトコに転がってるとは思わなかった。

 凄い作品だなと思う。


 一気に書いたので、あとで「てにをは」とか間違いがあったら修正します。

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一日一話ずつ切り替わっていくとはいえ、ブログ貼り付けまで出来るというのは凄い。というかガンダムは、こうやって無料で見せて裾野を広げた方が、商売が広がる域にまで達したということか。 機動戦士ガンダム TVシリーズ:全話感想:島国大和のド畜生 毎日ガンダム1話
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